追悼曲携え慰霊登山/ヒマラヤ

 2年前の夏、ヒマラヤ山脈にあるパキスタン・カラコルム山脈でスキルブルム峰(73 60)に登頂後、雪崩で6人を亡くした「神奈川ヒマラヤ登山隊1997」の隊員と遺族ら 12人が7月26日、慰霊のため現地に向かう。一行は5300メートルの同峰のベースキャ ンプを訪ね、追悼曲を収めたテープを流すなどした遭難死した隊員達の冥福を祈る。

 慰霊に訪れる隊の名称は「スキルブルムBCトレッキング隊」。雪崩事故から生還し た神奈川県立小田原高校教諭、尾上弘司さんがリーダーを務める。計画では遺族らと 一緒に氷河をさかのぼり最初にBC手前の岩壁に「信じ合い、励まし合った我らの仲 間がここに眠る」と彫られた縦15センチ、横25センチのプレートを埋め込む。さらに ルートを延ばして8月10日、事故が起きたBCに到着する予定。

 BCには遭難死した隊員達の遺体が、今もクレバスの中に埋葬されている。一行は亡 くなった隊員が好きだったビールやかりんとうをなどを持参し、友人が作曲した追悼 曲のテープを流す。尾上さんは「事故当時、遺族を現地に連れていけず、悔いが残っ た。やっと死んだ仲間達と再会していただける」と感慨深げだ。

 「神奈川ヒマラヤ登山隊1997」は神奈川県内の高校教師らで組織。隊員16人の内8人 が50歳以上で「高校生に夢を!中高年にすばらしさを!」を合い言葉に同峰に挑み、 8人が登頂を果たした。だが1997年8月20日未明、BCの約800メートル上部の岩壁か ら氷河が崩れ、狭い谷を流れ落ちる間に空気が圧縮され、猛烈な突風が発生。就寝中 の隊員達をテントごと吹き飛ばし、広島三郎隊長(当時54)ら6人が死亡した。(7月 24日 朝日新聞 朝刊)

 ACHP編集部


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