上高地 人や車「総量規制」 県が導入めざし協議へ

県は三十日、北アルプス・上高地(南安曇郡安曇村)への人や車の入り込み数を抑制
する「総量規制」導入を目指し、関係者と協議していく方針を固めた。具体策や導入
時期は未定だが、実現すれば、一九七五年のマイカー規制導入以来の抜本的な環境保
全策となる。

今後、環境省や県、村などの地元でつくる「上高地自動車利用適正化連絡協議会」に
専門的に議論する小委員会を設けて、集中的に議論できないか提案する方針だ。

上高地のマイカー規制は徐々に規制期間が拡大され、現在は通年規制となっている。
しかし、対象外のバスの増加などで入り込みは増えており、近年は年間延べ二百万人
前後が入山、バス渋滞も含めて環境への負荷が指摘されている。県は「環境の過剰利
用ではないか」との受け止めで、持続的発展ができる利用のためには新たな規制が欠
かせない―とみて、問題提起することにした。

具体策の検討はこれからだが、上高地に向かう現在の「釜トンネル」(同村)に代わ
る新トンネルが二〇〇五年度に完成する予定で、導入時期の一つのめどになるとみら
れる。

方法は人や車の入山数制限や、予約制による入り込みの分散化、低公害車以外の通行
規制など多様にある。また、観光業者など地元関係者らを含めて慎重な意見もあると
みられ、どう県民合意を図っていくかが課題だ。

環境省によると、四月の自然公園法改正で、国立公園への入り込みの総量規制策とし
て、一日当たりの人数などを環境相が設定できる「利用調整地区」制度が創設された
が、実施例はまだない。(10月31日 信濃毎日新聞)

ACHP編集部

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