山の遭難が後絶たず、昨年より大幅増加

県内の北アルプスの夏山で、遭難事故が多発している。昨年、大幅に減少した遭難件
数は一昨年を上回るペースで推移し、今月十二日から二十日にかけては四件の死亡事
故が相次いだ。登山道で誤って足を滑らせ、転倒したり、転落・滑落するケースが目
立つ。登山歴二十年以上のベテランの死亡事故もあり、県警山岳警備隊は「自らの経
験や体力に合わせた余裕のある行動をしてほしい」と呼び掛けている。

■発生件数 

七月一日からの夏山期間に、県内で発生した山岳遭難事故は、二十日までに六十二件
(六十七人)。昨年同期の三十九件(四十二人)に比べると、大幅に増加した。

だが、二〇〇〇年以前(七、八月の二か月間)を見ると、同年が五十九件(五十九
人)、一九九九年が五十七件(六十人)、九八年が四十五件(四十七人)、九七年が
三十九件(四十三人)。死者は九九年が四人、二〇〇〇年が四人、昨年が三人、今年
が四人。

■ヘリ出動 

県警ヘリが夏山期間に山岳遭難者の捜索や救助に出動した回数は、昨年の二十九回か
ら、今年は三十一回。県消防防災ヘリが出動したのは、昨年の七件から十六件と大幅
に増加した。

■出身地 

遭難者は、首都圏からの登山者が圧倒的で、最多は東京都の七人、次いで神奈川県の
三人。以下、埼玉、千葉、群馬、茨城、滋賀、福井、奈良、兵庫、広島県が一人。県
内はわずか二人。

■一転、若年化 

今年遭難した二十一人の平均年齢は四十八歳。昨年は六十・一歳で、二〇〇〇年の四
十八・九歳から大幅に高齢化しが、今年は再び若返った。

■事故原因 

圧倒的に多いのが、木道や石畳の登山道で足を滑らせたり、石につまずいたりして転
倒するケース。重傷者には、登山歴七年や十年といった人もおり、県警山岳警備隊は
「滑りやすい所で滑るのは細心の注意が足りないということ」と指摘する。

さらに、遭難死した人の中には登山歴二十年以上というベテランもいる。同隊は「山
には山ほどの危険があるということ。登山靴やカッパなど装備も万全に整えてほし
い」と話している。

■見付かった左足 

一方、黒部川上流・下ノ廊下の左岸砂地(標高約千百五十メートル)では十三日夕、
登山靴を履いた状態で白骨化した左足が見つかった。

周辺の山域では一九七一年以降、八人が行方不明になっており、同隊は今後、不明者
の遺族から血液の提供を受けてDNA鑑定を行うなどして、身元を特定したい方針。
お盆直前に見付かったこともあり、関係者は「遭難者が見付けてほしいと出てきたか
のようで……。早く遺族の元に返してあげたい」と話す。

【県内で起きた重傷以上の山岳遭難】(7月1日以降、県警山岳警備隊調べ)

発生日 場所        遭難者     安否

7/13 弥陀ヶ原     奈良・男性(49) 重傷

7/18 薬師岳・太郎平小屋近く東京・女性(48) 重傷

7/21 ブナグラ谷    富山・女性(56) 重傷

7/21 黒部奥山     福井・男性(33) 不明  (2日後無事発見)

7/22 五輪尾根     神奈川・女性(52)重傷

7/22 黒部源流・祖父沢 広島・男性(26) 不明  (翌日無事発見)

7/27 黒部奥山     東京・男性(67) 重傷

7/29 薬師沢出合い近く 兵庫・女性(46) 重傷

8/4 立山・浄土山   富山・女性(39) 重傷

8/5 薬師沢小屋近く  埼玉・女性(19) 重傷

8/10 黒部五郎岳近く  東京・男性(64) 重傷

8/10 薬師沢出合い近く 神奈川・男性(66)重傷

8/12 五竜岳      神奈川・女性(60)死亡

8/12 剣岳・八ツ峰6峰 東京・男性(37) 重傷

8/15 太郎平と折立の間 滋賀・男性(55) 重傷

8/16 雲ノ平・奥スイス園近く東京・女性(53) 重傷

8/16 剣岳・池ノ谷乗越 千葉・女性(53) 重傷

8/17 五竜岳      東京・女性(58) 死亡

8/18 太郎山と三角点の中間点茨城・女性(36) 重傷

8/19 剣岳・長次郎谷  東京・男性(47) 死亡

8/20 黒部峡谷・下ノ廊下群馬・男性(44) 死亡

(8月23日 Yomiuri On-Line 富山版)

ACHP編集部

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