富士山・雲海荘 申請外の地下室建設 県が指摘 恩組、経営県議を指導

富士山六合目の山小屋「雲海荘」の新築工事で、同所県有地の分割利用の許可者であ
る富士吉田市外二ケ村恩賜県有財産保護組合(吉田恩組)が二十二日までに、県など
に提出された申請図面とは異なる食堂地下室があるなどとして、山小屋の実質的経営
者の流石喜久巳県議らに、工事中止を口頭で指導していたことが分かった。吉田恩組
が県から指摘を受け、行った。

県富士北麓・東部地域振興局吉田林務環境部によると、山小屋建設地は吉田恩組が県
から借りた土地を分割利用地としている部分。三月十二日付で吉田恩組から県に対
し、図面を添付した「恩賜県有財産借地内工作物新築承認申請」が出され、県が同二
十日付で許可。自然公園法を所管する環境省などへの申請関係書類は流石県議名で提
出された。

申請によると、山小屋は鉄筋造り平屋で半地下式、建築面積は約三百二十平方メート
ル。四月に着工し、六月末の完成を予定していた。しかし、今月十七日に県が工事現
場を調査した結果、宿泊棟の半地下室以外に申請図面にはない食堂用の地下スペース
が造られていた。さらに、申請では建物の基礎部分までの深さが一・三メートルとさ
れているが、約二メートルあったという。

現場は国立公園の特別保護地区で、富士山で最も規制が厳しい地域。県などは二十三
日に申請図面を基に測量を行うなど、さらに詳しく調べた上で、原状回復の指導など
を含めた今後の対応について環境省など関係機関と協議する。

流石県議はこの日所在が不明で、取材に応じていない。同県議の家族は「出掛けてい
て、どこにいるか分からない」と話している。

流石県議は一九九八年にも、全焼した当時の雲海荘で行われていた工事が自然公園法
に基づく環境庁(当時)への申請が出されていなかったとして、口頭注意を受けてい
る。(5月23日 山梨日日新聞)

ACHP編集部

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