研修登山の事故、遺族が慰霊登山

慰霊登山を終え、2人の写真を見ながら思い出を語る遺族=立山町芦峅寺の民宿で

北アルプス・大日岳(2051メートル)頂上付近で00年3月、旧文部省登山研修
所(立山町)の研修登山に参加した大学生2人が雪のひさしの崩落に巻き込まれて死
亡した事故で、2人の両親ら遺族6人が15日、大日山谷の慰霊登山をした。文部科
学省登山研修所職員と当時の講師計11人も同行した。

死亡したのは、東京都立大2年内藤三恭司(さくじ)さん(当時22)と神戸大2年
溝上国秀さん(同20)。両親らは、内藤さんが発見された00年5月15日と溝上
さんが発見された7月11日に毎年、登山してきた。

15日は上市町伊折の馬場島(750メートル)を午前11時過ぎに出発。高さ約5
メートルの雪渓が点在する玉砂利を約1時間歩いた。岩の上に遺影を並べ、花束や線
香の急ごしらえの祭壇に手を合わせた。

2人の両親は今年3月、国が任命した講師らがルート選定を誤ったなどとして国に約
2億790万円の損害賠償を求め、富山地裁へ提訴している。下山後、立山町内の民
宿で心境をそれぞれ語った。

内藤さんの父悟さん(53)=横浜市=は「息子は僕の人生そのものだった。(裁判
で)2人の潔白を晴らしたいと誓いました」。母の万佐代さん(54)は「事故がな
ぜ起きたのか、知らないままでは、前向きに生きられない」と話した。

溝上さんの父不二男さん(56)=兵庫県尼崎市=は「何をしてもむなしく、心の中
では僕は生きていない」。母の洋子さん(47)は「また帰ってくるような気がする
んです」と語った。

2人の両親は22日、同訴訟の第1回口頭弁論で意見陳述する。(5/16 asahi.com
富山)

ACHP編集部

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