世界の「富士」と美化推進 他国の「名峰」を見習おう

米ワシントン州・レーニア山。「タコマ富士」とも呼ばれる=富士山クラブ提供

富士山と形がそっくりの世界の山々を「姉妹山」とする構想が進んでいる。提携の相
手は世界遺産のニュージーランド・ナウルホエ山など3カ国の三つの山。環境破壊が
進む富士山を名実ともに美しい山として復活させるため、他国の「名峰」を見習おう
という狙いだ。

構想を進めているのは静岡県三島市に本部のある非営利組織(NPO)「富士山クラ
ブ」(秋山英敏理事長)。

クラブが2月に東京でシンポジウムを開いた際、出席した海外の識者から「富士山の
ごみや環境汚染はひどい。保全や管理の仕組みを整える必要がある」と苦言が寄せら
れた。

このため、海外の山の自然保全のための活動や環境ボランティアと交流を深め、富士
山の環境運動を盛り上げようと、「姉妹山」構想が生まれた。

対象の山は、ナウルホエ山のほか、米国ワシントン州・レーニア山、マレーシア・キ
ナバル山。

ナウルホエ山があるニュージーランド・トンガリロ国立公園ルアペフ地域マネジャー
のマーク・デイビスさんは「素晴らしい考え。できるだけ早く実現したい」と、構想
を後押しする。

実は、富士山の姉妹山交流は戦前もあり、米国・レーニア山とは35年に山の石が交
換された。しかし、交流はそれ以降途絶えた。

第2次大戦の影響もあるが、富士山は静岡、山梨両県にまたがり、国や周辺市町村も
含めて管理がバラバラという事情もあったらしい。

今回の構想は、富士山の管理に関する現状に一石を投じる狙いもある。

富士山クラブの渡辺豊博事務局長は「三つの山の管理事務所は提携に問題はないと
言っている。8月には交流を始めたい」としている。(5月11日 asahi.com19:08)

ACHP編集部

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