尾瀬の携帯計画「救助効果は限定的」

【県 見直し要望書提出】

日光国立公園・尾瀬の一部で携帯電話を使えるようにする計画について、県は基地局
の設置を見直すよう求める要望書をNTTドコモ群馬支店と片品村に出した。「遭難
や災害が起きたときの緊急連絡のため」として進められてきた計画だが、県は過去の
遭難事故を調べた上で「救助の効果は極めて限定的なものになる」と結論付けた。

要望書は、通話できるようになる地域は、尾瀬の中でも観光客が多い尾瀬沼、尾瀬ケ
原周辺に限られると指摘。着信音や話し声で静けさが失われ、「自然景観・風致を損
なう懸念がある」とした。小寺弘之知事名で梅沢羊太・同村長と関本哲也・同支店長
に渡された。

県尾瀬保全推進室によると、99〜01年に18人が残雪の時期に道に迷ったり、心
臓発作が起きたりして遭難。このうち6人が死亡していたが、いずれも計画されてい
る通話範囲の外だった。

渡知多美(ちたび)室長は「無線が使える山小屋などもあり、携帯電話が使えるよう
になっても効果は限られている」と話す。

基地局は鳩待峠、大清水の2カ所に設置される計画で、環境省が昨年11月に許可し
た。同社は今年の雪解け後にも着工する予定だ。

同室によると、さらに尾瀬ケ原、尾瀬沼に中継局を設ける計画となっている。同社は
設置の許可申請は出しておらず、「県からの要望書が出ているということもあり、片
品村を含めてさまざまな意見を聞いた上で検討する」(広報部)としている。

基地局の設置については、群馬、福島などの自然保護団体が反対しているほか、小寺
知事も3月、理事長を務める尾瀬保護財団の理事会で「個人的には反対」との意向を
示した。(4/19 asahi.com 群馬版)

ACHP編集部


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