清里高原有料通路 県赤字改善策に着手

アクセス道路改良
累積拡大懸念 県費投入論も

山梨県と県道路公社が建設した清里高原有料道路の通行台数が計画の三割にとどまり
「赤字」が続いている問題で、県は通行量アップやコスト削減など経営改善策に乗り
出した。中央自動車道からのアクセス向上を図るため県道交差点の改良に着手したほ
か、有利子債の低利借り換えや道路を経営する同公社の人員削減などを検討してい
る。一方、通行台数が低迷したまま推移すれば「累積赤字」は県建設の有料道路とし
ては過去最悪になり、同道路の建設費そのものを上回る可能性も出ている。同公社の
収益の半分を占める富士山有料道路(富士スバルライン)が二○○五年三月末に無料
開放されるため、今後の同公社経営もにらみ、県費投入による借入金返済を迫られる
事態も懸念されている。

県道路建設課によると、改良工事を行うのは中央道長坂インター東側の県道五丁田交
差点。長坂インターを下車した後の清里高原有料道路への進入路となるが「変則的な
形状で見通しも悪く、利用者には分かりにくい」との指摘がある。改良工事は幅員を
広げるとともに交差点の形状を十字路に変更、右折レーンも設置する。現在、用地測
量などを進めていて、本年度中には用地買収に入る予定。同課は「有料道路へのアク
セスの向上を図ることで、通行台数を増やしたい」という。

道路建設の際に借り入れた有利子債八億一千万円については、借入先の公営企業金融
公庫に対し、低利借り換えを求めている。同公庫からの借入金の多くは年利3%を超
えており、償還までに同公社が支払う利子は計四億円近くになる。同公庫は年利7%
以上の借入金しか借り換えを認めていないが、同課は全国の自治体でつくる「地方有
料道路連絡協議会」を通じ、低利借り換えの実現を働き掛けている。

清里高原有料道路を経営する県道路公社の経費削減では、県から出向している職員を
削減する。県出向職員の人件費は同公社の会計から支出されていて、同課は現在、三
十人いる同公社職員のうち、四人程度の削減を検討している。

一方、通行台数は依然として低迷が続いている。本年度の通行台数は十二月末まで
で、計三十六万二千六百九十九台。前年同期に比べ、一万千五百二十台(3・3%)
増えたものの、計画交通量の三割程度にとどまっている。

開通から三年間の収支は計一億三千万円余りの「赤字」となっていて、通行台数が伸
び悩むと、さらに赤字額は膨らむ見通しだ。最終的な赤字額が、事業費の五十四億円
を上回る可能性が出ている。

昨年十月に償還期限を迎えた八ケ岳横断有料道路で、県は赤字分約六億円を一般会計
から補てん。御岳昇仙峡有料道路(昇仙峡グリーンライン)でも約十四億三千万円を
補てんしたが、補てん額はいずれも道路建設費より少なかった。このため庁内では
「清里高原有料道路事業を続けて赤字額を増やすよりも、傷が浅いうちに県費を投入
し、早期無料化に踏み切るべきではないか」との声が出始めている。

“早期無料化論”の背景にあるのが、同公社の「ドル箱」である富士スバルラインと
河口湖大橋の○五年三月末の無料開放。同公社の二○○○年度損益計算書によると、
両道路の料金収入は約八億七千三百七十万円で、総収益の48・8%を占めている。
○五年四月以降、同公社が管理する道路は、赤字続きの清里高原有料道路と雁坂トン
ネルだけとなり、経営が悪化するのは必至だ。

「河口湖大橋も開通当初は通行量が少なかったが、今では公社の稼ぎ頭。開通後数年
間の通行量だけで判断するのは早計」との指摘もあるが、近い将来、県費投入をめぐ
り県が選択を迫られるのは確実な情勢になっている。(2月25日 山梨日日新聞)

そういえば八ヶ岳横断道路も昨年無料になったのですね。

ACHP編集部

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