「冬山経験なし」36% 冬の上高地利用調査

冬の北アルプス・上高地を訪れる人が近年増えていることから、環境省中部地区自然
保護事務所が今年一月から行っている初の利用実態調査の中間報告がまとまり、二十
日、松本市で開いた「南安曇郡山岳観光地におけるし尿処理対策研究会」で発表され
た。百三十九の個人・パーティーのうち、36%に当たる五十個人・パーティーは、
いずれも冬山未経験者だった。雪崩に巻き込まれて脱出した例もあり、安全対策の検
討が必要なことを裏付けた。

これまでの調査は、二月中旬までに多くの利用者が見込まれた計十八日間で実施。南
安曇郡安曇村中ノ湯で、国道158号から上高地に向かう個人やパーティー、団体ツ
アーを対象に行った。

中間報告によると、91%に当たる百二十七の個人・パーティーは県外から。八十二
個人・パーティー(59%)が日帰りで、九十六個人・パーティー(69%)は以前
にも上高地を訪れた経験があった。また、調査したツアー十団体のうち、冬山の未経
験者が引率したケースが複数あったという。

この日の研究会で、同事務所は、この冬、上高地で雪崩に巻き込まれて首まで埋まり
自力で脱出した事例や、雪崩の多い地点で写真撮影をする人も目立っていることなど
を挙げ、「経験者といっても装備が怪しい人も多く、雪崩への認識も低い」と危険性
を指摘。「リピーター(繰り返し訪れる人)が多く、今後も利用者が増加する可能性
がある。管理体制など上高地の在り方について議論が必要だ」と訴えた。

夏とは打って変わる銀世界と静寂の冬の上高地は、九七年の安房トンネル(長野・岐
阜県境)開通もきっかけに人気を呼び、来訪者が増えている。今回の調査は三月まで
続ける。(2月21日 信濃毎日新聞)

ACHP編集部

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