槍ヶ岳遭難に関する新聞報道

◆北アルプスの登山者から救助要請 岐阜県警

4日午前8時20分ごろ、岐阜県上宝村の北アルプスの槍ケ岳と槍平小屋の中間付近
で、登山者から携帯電話で神岡署に救助要請があった。県警山岳警備隊は5日朝にも
救助に向かう。

救助を要請しているのは、東京都調布市国領町5丁目の会社員幡谷扇一さん(37)
と神奈川県相模原市矢部1丁目の会社員永井滋光さん(37)。

永井さんからは、同日午後にも神岡署に「幡谷さんの意識がもうろうとしている」と
連絡があり、永井さん自身も手が凍傷になったという。

2人は12月31日に上宝村の新穂高温泉を出発して槍ケ岳を目指し、2日に下山す
る予定だったという。(1月4日asahi.com 22:36)

◆北アルプスで救助要請の2人、山岳警備隊が現場へ出発

北アルプス槍ケ岳へ登っていた東京都調布市国領町5丁目、会社員幡谷扇一さん(3
7)と神奈川県相模原市矢部1丁目、会社員永井滋光さん(37)が携帯電話で救助
を求め、5日早朝から岐阜県警山岳警備隊員ら14人が、現場へ救助に向かった。

2人は4日午前「凍傷になった」と携帯電話で救助を要請。同日午後には永井さんか
ら「幡谷さんの意識がもうろうとしている」と連絡があった。救助要請を受けた神岡
署は、永井さんの携帯電話に定期的に連絡を入れるなどしている。(1月5日
asahi.com 11:20)

◆ヘリ飛べず、2パーティ11人救助待ち 北アルプス

岐阜県上宝村の北アルプスの槍ケ岳山荘冬期小屋で救助を要請している首都圏の2
パーティー計11人について、岐阜県警は5日、現場付近の悪天候でヘリコプターを
派遣できず、小屋での待機を指示している。

同県警神岡署が、救助要請をしている「同流山岳会」(東京都渋谷区広尾)と横浜山
岳会(横浜市旭区南本宿町)を通じて連絡を取っているが、11人は比較的元気で、
食料も数日分残っているという。県警は地上から小屋に行くのは困難として、天候が
回復ししだい、ヘリを向かわせることにしている。(1月5日 asahi.com 12:31)

◆北アルプスで救助要請の登山者1人死亡、1人は救助

北アルプス槍ケ岳で遭難した東京都調布市国領町5丁目、会社員幡谷扇一さん(3
7)と神奈川県相模原市矢部1丁目、会社員永井滋光さん(37)の救助に向かって
いた岐阜県警山岳警備隊は5日午後3時半ごろ、槍ケ岳と槍平小屋の中間付近で2人
と合流したが、幡谷さんはすでに死亡していた。永井さんも手足に凍傷を負っている
が、命に別条はないという。

現場付近は4日夜からの雪で約1.5メートルの積雪があり視界も悪いため、幡谷さ
んの遺体は槍平小屋に一時収容する。永井さんは隊員らと下山し、病院に向かうとい
う。

岐阜県警神岡署によると、2人は12月31日に同県上宝村の新穂高温泉から槍ケ岳
を目指し、2日に下山する予定だった。しかし、4日朝に、幡谷さんが凍傷で動けな
くなったと、永井さんから携帯電話で同署に救助要請があった。

     ◇

救助に向かっていた岐阜県警山岳警備隊は5日午後、槍ケ岳と槍平小屋の中間付近で
2人と合流したが、幡谷さんは死亡していた。永井さんも手足に凍傷を負っている
が、命に別条はないという。しかし、付近で雪崩が発生したため、下山を断念。槍平
冬期小屋に避難し、6日朝に再度下山を試みる。

岐阜県警神岡署によると、雪崩によるけが人や行方不明者はなかったが、現場付近は
悪天候で吹雪の状態が続いており、今後も雪崩が発生する可能性があるという。この
ため、6日午前6時に新穂高温泉から同隊員ら6人を槍平冬期小屋方面に派遣し、下
山の補助に当たるという。(1月5日 asahi.com 20:17)

◆槍ケ岳で救助要請の11人無事救助 岐阜県警航空隊ヘリ

北アルプスの槍ケ岳で悪天候のため下山できず、救助を要請していた東京と横浜の2
つのパーティーの計11人は6日午後、岐阜県警航空隊のヘリコプターで救助され
た。全員無事だという。

救助されたのは同流山岳会(東京都渋谷区)の3人と横浜山岳会(横浜市旭区)の8
人。11人は、いずれも年末に北アルプスに入り、2日に下山予定だったが、悪天候
で下山できず、標高約3000メートルにある槍ケ岳山荘冬期小屋に避難して救助を
待っていた。(1月6日 asahi.com 16:02)

◆凍傷の永井さん下山 槍ヶ岳

北アルプスの槍ケ岳(3180メートル)で東京都調布市国領町5丁目、会社員幡谷
扇一さん(37)が死亡し、神奈川県相模原市矢部1丁目、会社員永井滋光さん(3
7)が手足に凍傷を負った遭難事故で、救助に向かった岐阜県警山岳警備隊は6日午
前9時半ごろ、永井さんとともに岐阜県上宝村の新穂高温泉に下山した。永井さんは
病院に運ばれたが、命に別条はないという。

山岳警備隊は5日午後、槍ケ岳と槍平小屋の中間付近で、永井さんと死亡している幡
谷さんを発見。下山を試みたが、現場付近は約1.5メートルの積雪があり、雪崩も
発生したため、下山を見合わせ、近くの槍平冬期小屋に避難していた。

同隊は6日午前7時ごろから再度下山を開始、午前6時に新穂高温泉の山岳指導セン
ターを出発したサポート隊と合流して下山した。幡谷さんの遺体は午後1時前、ヘリ
コプターで冬期小屋から岐阜県警神岡署に移された。(1月6日 asahi.com 6:03)

◆荒天の山 懸命の救出 槍ケ岳の遭難

雪が緩まないうちに救出を−−。上宝村の槍ケ岳周辺で起きた3パーティー13人の
遭難事故。地上と空からの救出は、迅速さが要求された。死者1人、負傷者1人。二
重遭難と紙一重だった県警山岳警備隊の「3日間」を追った。

【4日】

8・18 神奈川県相模原市の会社員永井滋光さん(37)から携帯電話で神岡署に
救助要請。「槍ケ岳と槍平小屋の中間で(一緒の)幡谷扇一さんが凍傷で動けな
い」。だが、悪天候で県警ヘリコプターは飛べない。地元スキー場の圧雪車を出し、
新穂高温泉から白出小屋までの林道を圧雪、地上からの救出に備える。

15・00 永井さんから神岡署に再度の連絡。「幡谷さんは意識もうろう。自分も
手に凍傷」。通信が切れ、詳細が確認できなくなる。

【5日】

5・30 県警山岳警備隊員の谷口光洋リーダーら7人、民間の北飛山岳救助隊7人
の計14人が徒歩で出発。時間短縮のため山中泊の用具を割愛。

15・30 救助隊が遭難者2人を発見。幡谷さんはすでに死亡。積雪約1・5メー
トル。

16・50 槍平冬期小屋まで下山。幡谷さんの遺体を小屋に収容。

17・00 永井さんをスノーボートに乗せ小屋を出発。深雪で進まない。

18・15 神岡署に救助隊から緊急無線。「雪崩発生」。署内が緊張。救助隊は下
山路を絶たれて槍平冬期小屋での宿泊を余儀なくされた。

19・00ごろ 遭難者2人の母親や家族が前後して神岡署に到着。

【6日】

7・00 槍平冬期小屋から救助隊出発。永井さんも自力で歩いて下山。「(雪が締
まっている)朝のうちに雪崩の多発地帯を越えなければ……」

9・30 新穂高温泉の登山指導センターに到着。永井さんは救急車で神岡町病院
へ。

12・26 天候回復の兆し。県警ヘリ若鮎2が槍平冬期小屋から幡谷さんの遺体を
つり上げ、神岡署に搬送。

14・40 わずかに青空がのぞく。槍岳山荘冬期小屋に避難していた11人を若鮎
2が2度の飛行で全員救助した。

安ど… 思わず涙

助された人たちは安どの表情を見せた。

永井さんは雪上車で新穂高温泉に下山した。意識はしっかりしており、救急隊員の質
問にも答えていた。

県警ヘリコプターで救助された同流山岳会(東京都渋谷区)の3人と横浜山岳会(横
浜市旭区)の8人は、上宝村の鍋平防災ヘリポートに到着。全員がヘリから降りる
と、思わず涙ぐむ人も。

同流山岳会は天候の悪化で1日に槍岳山荘冬期小屋に避難した。リーダーの三堀信二
さん(27)は「下山路が雪で確認できなくなった。雪崩の危険もあり、小屋で安全
を確保した」と話した。

横浜山岳会の古田亜未さん(29)は冬山は初めてだったという。「春になって雪の
中から発見されるのでは、と不安でした」。リーダーの池田新吾さん(38)は「自
力で下山したかったが、メンバーの体力なども考え、安全地帯を放棄できなかった。
力量と天候のかねあいを見極められなかった」と話した。(1/7 asahi.com 岐阜版)

ACHP編集部

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