チューリヒ湖のフェリーも割引の対象

スイス旅行の友「半額割引券」に値上げ圧力

【チューリヒ】登山電車、バス、湖上フェリーなど多様な公共交通機関が発達した観
光大国スイスで、旅行者の強い味方である「半額割引券」への風当たりが強まってい
る。登山鉄道など一部の運輸会社が「割引率が大きすぎて運賃収入が増えない」と悲
鳴を上げ、割引券が使える提携グループからの脱退も広がり始めた。

割引券はクレジットカード大で、「ハルプタックス・アボ」と呼ばれる。値段は1年
券が150スイスフラン(約1万950円、1スイスフラン=約73円)、2年券が222スイ
スフラン(約1万6200円)など。この券があれば、発行主体である国鉄をはじめ、提
携する私鉄、バス、フェリー、登山用のケーブルカーなどスイスの大部分の公共交通
機関の切符や定期券を半額で買える。

通勤用だけでなく、山岳地帯などの観光名所にも格安で行けるとあって、90スイスフ
ラン(約6570円)の1カ月券を中心に、スイスを訪れる外国人旅行者にも人気があ
る。

半額割引券は1980年代以降、環境問題への関心の高まりを背景にスイス政府が補助金
を出して普及を後押しした。ところが、ここに来て政府財政が厳しくなって補助が打
ち切られたこともあり、収入が減った運輸会社の間で不満が募っている。この夏に
は、東部山岳地帯の一部の登山鉄道が割引券の取り扱いをやめ、代わりに運賃を
10―20%引き下げた。

1年券の価格は93年5月以来、2年券は97年8月以来、据え置きになっている。昨
秋、国鉄は提携グループとの交渉で2年券の250スイスフランへの引き上げを拒否し
たが、交通関係者の間では、値上げは時間の問題との見方が強まっている。 (9/7 
日本経済新聞)

ACHP編集部

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