富士山レーダー払い下げ「うちへ」 ふもとで綱引き

富士山頂にあるレーダードームの払い下げをめぐって山ろくの山梨県富士吉田市と静
岡県御殿場市が、綱引きをしている。今月中に解体作業が始まり、タイムリミットが
迫る。職員交流もする縁の深い両市が、レーダーとのゆかりの深さを競い合ってい
る。

富士山測候所のレーダーは老朽化したため、99年10月末に業務を終えた。気象庁
では予算繰りができたため、数千万円をかけて、冬が来る前の9月中に撤去する計画
だ。

富士吉田市は廃止された直後の99年、市長名で払い下げを求める要望書を気象庁に
だした。同市は、元気象庁職員で小説「富士山頂」を書いた作家新田次郎さん(故
人)の文学館を建設する計画があり、その周辺にレーダードームを展示したいとの構
想がある。

武川勉市長は1日の会見で、「文書で要望をだし、陳情もしてきた。これまでの経過
から当市に払い下げられると期待している。富士山と共生している当市としてはドー
ムを末永く後世に伝えたい」と自信をみせた。

これに対して、御殿場市の長田開蔵市長は「歴史的経過からほかは考えられない」と
訴える。

同市に住んでいた野中至さん(故人)が1895(明治28)年、山頂に私設の観測
所を造り、初めて観測したことや、ドームの建設、その後の山頂への物資運搬に同市
が尽くしてきた点を挙げる。

同市の担当者は「払い下げの要望は過去に口頭では伝えていた」と主張しながらも、
7月25日に市長名で正式に要望書を提出した。

両市は、職員の人事交流や、道路建設での期成同盟、防災などで協力し合ってきた。
気象庁は「あくまでも両市の話し合いで決めてほしい」と戸惑っている。(8月2日
asahi.com 08:30)

ACHP編集部

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