北岳で酸性雨増加 三宅島噴火が影響か

南アルプスの北岳周辺で昨年6月から10月にかけて、酸性雨が4地点で計6回確認
されたことが、日本高山植物保護協会(本部・甲府市、清水建美会長)が実施した2
000年調査でわかった。1999年の調査では、確認されたのは2地点で計2回
だったから、酸性雨の傾向が強まったことになる。同協会は、昨年7月からの三宅島
の噴火活動による火山性ガスが影響したと見ている。

調査は、北岳山頂付近の北岳山荘(標高2,900メートル)、北岳の登山口である
広河原山荘(同1,520メートル)、北岳の前衛の夜叉神(やしゃじん)峠(同
1,770メートル)、南アルプスの玄関口となる芦安村チロル学園(同750メー
トル)の4地点で実施。6〜10月に、1カ月ごとの降雨を計測した。

調査結果によると、4地点すべてで、同協会が酸性雨と定義する水素イオン濃度指数
(pH)5・0以下を確認した。チロル学園で3回、ほかの3地点で1回ずつだっ
た。広河原山荘で8月に確認されたpH4.86が最も強い酸性雨だった。

酸性雨の確認が98年の調査以来、最多となったことについて、同協会は「昨年7月
からの三宅島の火山活動の影響が大きかった」と分析する。酸性雨の主な原因物質と
なる二酸化硫黄や硫化水素を含む火山性ガスが大気中に大量に放出されたため、酸性
雨の確認回数が増えたと見ている。

同協会によると、北岳の山頂付近でしか見られず、絶滅の恐れがある「キタダケソ
ウ」は、アルカリ性土壌を好むため、酸性雨の影響が懸念される。しかし、今回の結
果は、キタダケソウにすぐ影響が出るレベルではないという。

同協会は「キタダケソウへの影響が確認されてからでは遅すぎる。調査や植物の観察
など広い視野で継続的に酸性雨に対応していきたい」としている。(3/13 asahi.com
山梨版)

ACHP編集部

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る