八甲田山雪中行軍の本出版 遭難の真相探る

199人の犠牲者を出した1902年1月の旧青森歩兵第五連隊八甲田山雪中行軍に
ついて、十和田市の文筆業川口泰英さん(42)が大量遭難の真相を探った「雪の八
甲田で何が起(おこ)ったのか」(北方新社)がこのほど出版された。本は、半分以
上を割いて当時の史料をほぼ原文通りに収録しており、資料集としての価値もある。
川口さんは「来年は事件から100年。大惨事を風化させることなく、後世に伝えた
い」と話している。

雪中行軍遭難は1902年1月23日、旧青森歩兵第五連隊が青森市を出発、三本木
(現十和田市)に向かう途中に起きた。日露戦争に向けた寒冷地戦の想定訓練だった
が、暴風雪で八甲田山中を3昼夜さまよい、隊員210人中、生存者はわずか11人
だった。装備や食糧などの不備が原因だったが、当時は「軍国美談」とされ、事実は
明らかにされなかった。

川口さんは20年ほど前、作家新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨(ほうこう)」を
読んだり、映画「八甲田山」を見たりして、史実を詳しく知りたいと思っていた。そ
の後、遭難当時の新聞や歩兵第五連隊が出した「遭難始末」など50以上の文献を集
め、99年5月から約1年かけ執筆した。

史料を調べると、これまでの史実を覆す事実がいくつか分かったという。例えば、事
件の記念碑として遭難現場付近に銅像が建てられている、生存者の後藤房之助伍長
(宮城県栗駒町出身)。捜索隊が発見した時、後藤伍長は吹雪の中、仮死状態で立ち
つくしていたとされているが、川口さんは「実際は後藤伍長は歩いていた」と指摘し
ている。

川口さんは「犠牲者の9割が岩手県や宮城県など東北の兵士たち。この本で真相を知
り、悲惨な歴史を忘れないでほしい」と話している。

本はB5判296ページ。消費税抜きで2000円。問い合わせは北方新社0172
(36)2821へ。(河北新報 2001年02月01日)

ACHP編集部

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