雪深い野沢温泉にイノシシ 暖冬傾向で北に?

積雪量の多い地域での生息は適さないとされるイノシシを、下高井郡野沢温泉村平林
の山中で同村猟友会の平田孝一さん(39)がこのほど仕留めた。「祖父の代からの
鉄砲打ち」という平田さんも、村内でイノシシを仕留めた例は聞いた事がないとい
う。暖冬傾向で積雪量が減ったり開発で山が狭くなるなどして生息域が北に広がった
のでは―と指摘する声もある。

平田さんによると、イノシシは体長約一七〇センチで体重は約一三〇キロ。昨年の大
みそかに知人から「イノシシを見た」と連絡を受け、雪の上に付いた跡をたどり、散
弾銃で一発で仕留めたという。仕留めた場所は積雪量が約六〇センチあり、一人では
里に下ろせなかったため、携帯電話で応援を頼み、七人がかりで搬出した。

飯山市周辺では昨年夏ごろにも、猟友会関係者らの間で「イノシシがいるらしい」と
の話があった。平田さんは「深い雪の中でどう生きていくのか知らないが、南の方か
ら流れてきたのでは」と話している。

県自然保護研究所によると、イノシシは足が短い体型に加え、地中の芋類や虫などを
主食にしていることから、雪深い場所には生息しにくいという。県内では、江戸時代
には戸隠や飯綱あたりにいた記録はあるものの、現在の分布域は長野市松代町あたり
が北限とされている。今回の獲物は大型のため、「(イノシシと豚をかけ合わせた)
イノブタでは」と指摘する声もあるが、飯山地方ではイノブタを飼育している所はな
いという。

同研究所の岸元良輔研究員は「奥山にすむ熊と異なり、イノシシはもともと里にも出
没する動物。生息域が狭まっているかどうか一概にはいえないが、雪の少なくなった
北信濃に居場所を求めて移ってきた可能性はある」としている。(1月10日 信濃毎
日新聞)

ACHP編集部

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