ヒマラヤ挑戦 夢の授業 クラーク記念国際高「地球全体が教室」

●ヒマラヤ挑戦 夢の授業 クラーク記念国際高「地球全体が教室」
 生徒ら自ら企画 10月20日5人出発

東京と兵庫の高校生五人が11月、世界の屋根ヒマラヤの5,000メートル級の山の登頂
に挑む。ヒマラヤに行きたいと願う一人の生徒の夢を、学校側も総合学習の一環とし
て「地球教室」を開講し見守った。生徒らは自ら計画を立て、仲間を募り、トレーニ
ングを積んできた。「強い思いがあれば夢はかなう」。そんなメッセージを登頂を通
じて同世代の若者たちに伝えたい、という生徒らは10月20日関西空港を出発す
る。

登山隊のメンバーは広域通信制のクラーク記念国際高校の東京キャンパス(新宿区)
の2年生、篠原妙子さん(17)と芦屋キャンパス(兵庫県芦屋市)の3年生大釜一
典君(17)門谷優君(18)増田夏樹君(18)、2年生大矢洋君(17)。目標
はネパールの北東に聳えるゴーキョピーク(5,360メーター)で、順調に行けば
11月2日に登頂する。

「学校の仲間でヒマラヤに行きたい」。昨年4月、大釜君が同校の東秀訓教諭(4
0)に提案したのがきっかけだった。大釜君はヒマラヤ遠征の登山隊長を務めたこと
がある東教諭の影響で、一年生のときからスポーツクライミングに出かけており、
「いつかは自分も」と夢見てきた。

同校の校長は世界七大陸最高峰の滑降で知られるプロスキーヤーの三浦雄一郎さん
(68)。東教諭から相談を受けた三浦校長は「生徒の貴重な体験になる」と賛成し
た。学校側は芦屋キャンパスの総合学習の一環として地球全体を教室と捉え、異文化
理解や国際協力、環境保護などを体験的に学ぶ「地球教室」を昨年12月に開講し、
ヒマラヤ登山を目標に掲げた。

大釜君が気の合う仲間とポスターを作って受講生を募ったところ、最終的に遠征を手
助けする生徒も含め、16人が集まった。

生徒らは文献や東教諭の話を参考に、登山経験の少ない生徒でも登頂可能なゴーキョ
ピークに目標を定め、インターネットで現地情報を集めて登山計画を立てた。登山装
備の使用法や高山病への対処方法も勉強し、関西の六甲山や大峰山のほか、富士山に
登って体力をつくった。

大釜君らの呼びかけで参加を決めた篠原さんは「体力や高山病が心配で不安ですが、
ヒマラヤに挑んだあと、少しでもたくましく成長した自分が発見できれば」。大釜君
は「学校の先生や友達の協力で、自分たちの夢を、自分たちの努力で実現できる喜び
を味わいました。自分の限界に挑んでいきたい」と話した。

生徒らは下山後、エベレスト初登頂のエドモンド・ヒラリー財団によって設立された
歴史を持つ、現地のクムジュン・セカンダリー・スクールの生徒と交流し、環境問題
などについて意見を交わす。

登山隊を引率する三浦校長は「豊かな日本を離れ、スケールの大きいヒマラヤの自然
の中で暮らすことで、生徒は生きることの厳しさとすばらしさを実感するはずです。
仮に頂上に立てなくても、ベストを尽くしてくれることでしょう」と話した。

クラーク記念国際高校(本校・北海道深川市)は1992年に開校され、現在、3お
都道府県に約5000人の生徒がいる。(10月19日 朝日新聞 朝刊)

ACHP編集部

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