出し平ダムと宇奈月ダムの連携排砂 今年の実施見送り

黒部川の関西電力・出し平ダムと建設省・宇奈月ダムによる連携排砂は、31日に今
年の実施期間が満了し、下流への土砂排出は見送られた。これを受け、建設省と関電
は同日、県庁で記者会見し、出し平ダムにたまる土砂約20万トンの変質抑制策を発
表した。抑制策は、1―13日に黒部川流域で10ミリ程度の雨量があれば1回実施
され、期間中に降雨がなければ、上流の黒部ダムからの放水を最大限生かしながら1
4日に行われる。

作業はまず、出し平ダム上部の洪水用ゲートを開放すると同時に下部の排砂ゲート
(長さ5メートル)を1メートルだけ開け、31日現在で340メートルの水位を3
25メートルまで下げることで、発生する水流で約8時間、土砂のたい積面に酸素を
多く含む水を供給し、土砂の変質を防ぐ。
 排砂ゲートを開けるため、1千―2千トンの土砂が排出されるが、下流の宇奈月ダ
ムの排砂ゲートは閉められており、「影響はまったくない」(関電)という。また、
出し平ダムからの濁水が流入してダム湖の濁りが長期化しないよう、宇奈月ダムでは
抑制策終了後から2日がかりでダム水位を調節する措置も取られる。

建設省と関電では、抑制策の効果を確認するため、実施前後の出し平ダムの底質を調
査するほか、同ダム湖に計画通りに水流が起きているかどうかをレーザー機器で観測
する。県漁連などは恒久的な変質防止策を求めているが、「試行錯誤の状態であり、
どの程度変質が抑制されるかは調査結果次第」(関電)と不透明な部分もある。
(9月1日 Yomiuri On-Line 北陸版)

★ お知らせへ戻る ★ INDEXへ戻る