幻の山 崑崙山脈チョンムスターグ 初登頂目指す早大隊

幻の山 崑崙山脈チョンムスターグ 初登頂目指す早大隊
現役部員主将は初の女性

中国の新彊ウイグル自治区とチベット自治区の境界にそびえる崑崙山脈の未踏峰チョ
ンムスターグ(6,962メートル)の初登頂に今夏、早大隊(山田新隊長ら12人、朝日新聞
社後援)が挑む。

同峰は早大隊が昨年、周辺の偵察をするまで、写真すらない「幻の山」だった。タク
ラマカン砂漠南縁
のオアシスの町から乾燥しきった高原砂漠を縦断する約190キロのアプローチそのもの
が未知の要素に溢れた大きな挑戦となる。

ケリヤ川上流のベースキャンプ予定地周辺は、1898年にインド測量局の英国人デー
ジーが測量のために入った記録があるだけで、その後外国人としては早大の偵察隊が
初めて入った。

チョンムスターグ峰の登頂を初めて目指したのは1988年の京大隊だ。同隊は崑崙山脈
南側のチベット高原南側に回り込み、四輪駆動社でケリヤ川上流に入ろうとしたが、
悪路に阻まれた。その後、この山を目指す隊が無かったのは、接近の難しさが登山者
に二の足を踏ませてきたためと言える。

計画によると、遺跡で知られるニヤの街から崑崙山脈の麓に入る。7月下旬、牧民の
最後の集落カラサイからロバに約2トンの食料、装備を背負わせキャラバンを始める。
途中標高5,100メートルの峠を越え、チョンムスターグ峰北方の4,800メートルにベースキャン
プを設営する。

チョンムスターグはウイグル語で「大きな氷雪の山」を意味するが、偵察の結果、山
は三つの顕著なピークを持つ山塊である事が分かった。主峰の登頂予定ルートは標高
6,000メートル以上が岩と雪の稜線となっている。早大隊は3つの前進キャンプを出し、8
月中旬に登頂を目指す。

登山隊には早大山岳部OBの他、5人の現役部員全員が参加する。部員をまとめるのは
今年創部80周年を迎える同部史上初の女性キャプテン、渡辺佳苗さん(21)だ。大学
山岳部は近年、「きつい、きたない、危険」の3Kスポーツとして敬遠されている。早
大山岳部もご多分にもれない。

渡辺さんは「皆が楽しかったと思えるような、いい登山にしたい。それが山岳部の活
力につながると思う」と張切っている。(7月1日 朝日新聞 朝刊)

ACHP編集部

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