三たび挑むガネッシュII峰/信大山岳会/未踏の西面から

 信州大学山岳会が今春、ネパール・ヒマラヤのガネッシュII峰(7,111メートル)に登山 隊(朝日新聞社後援)を派遣する。大学の創立五十周年記念事業。三回目の挑戦とな る今回は、日本を代表する強力メンバーを揃え、未踏の西面ルートから山頂を目指す。

 一行は吉田秀樹隊長(46)らOB、現役部員の7人。計画では3月20日、カトマンズ入 り。4月10日、4,200メートル付近の氷河脇にベースキャンプを設けて、登山活動に入り、 5月中旬のアタックを予定している。

 信州大にとってガネッシュII峰は、思い入れの深い山だ。ヒマラヤ登山がまだ「夢」 だった1967年、4人の現役部員がネパールを訪れたのを皮切りに、未踏峰だった同峰 へ計4回の偵察を試みた。だが80年、82年の2回の遠征では、頂上真近に迫ったものの 、共に急峻な尾根を突破できず敗退。81年に西ドイツ隊、九州歯科大隊が別のルート から登頂を果たした。

 3回目の挑戦は、亡くなった仲間の追悼でもある。80年に参加した二俣勇司隊員、福 島渉隊員がその後、ヒマラヤやヨーロッパアルプスで遭難死。吉田隊長は「夢を果た せづ亡くなった二人に気持ちを、山頂まで持っていきたい」と話す。

 今回吉田隊長を含む3人が八千メートル峰の登頂者。登攀隊長の田辺治さん(39)は、 冬のエベレスト南西壁登頂を始め、八千メートル峰六座を制覇した国内有数の登山家だ。 「82年に参加した時は、技術や経験が無かった。今回はこれまでのヒマラヤの経験を 生かして山頂を極めたい」と意気込んでいる。(1月22日 朝日新聞 朝刊)


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