コフラックバーティカルと相性の悪いシャルレのアイゼン


増田@YCCです。

亀レスですが、昨シーズンこの話題を振りだした責任上一応情報を。

> 今期、初めてプラブーツ(やっぱりバーチカル)を購入しました。
> ミックス用(いずれはアイスに)にと思い、シャルレブラックアイスを
> 試してみましたが、ワイヤーの形状がバーチカルのカーブと合わない。
> それに、ソールとの隙間がかなりできるので、
> アブミに乗ったり、石に乗ったりすると靴に押付けられて緩み
> ワイヤーが抜けそうな印象を受けたので結局
> 比較的相性の良かったシモンマカルーにしました。

コフラックバーティカルと相性の悪いシャルレのアイゼンは、おそらく97年
以前のモデルと思われます。98年以降のモデルは
1)ワイヤーの形状が変更されてコフラックにも合うようになった(それまで
  の半円形ではなく、若干角張った多角形状に変更された)。
2)ワイヤー脱落防止用のリングがステンレスの薄いベルトでワイヤーに付
  き、足首のベルトをこのリングに通すようになった。
3)このリングはヨーロッパっでは付いているものが多くブラックダイアモン
  ドのアイゼンもヨーロッパで販売されているものはリング付きになってい
  た。
店によっては旧モデルの在庫があるかもしれませんが新しい年式のものを選べ
ばよろしいかと。

> その時の店員の話では・・
> アイスをやる人などはカーブが合わないから大半は、
> ワイヤータイプでなしにバンドタイプを使ってるとのことでした。
> これって本当でしょうか??

やはりワイヤー式をきつめに調整して思いっきり締め上げたときの安定感はバ
ンドタイプにはないものです。ただしそれなりの靴を履いた場合に限ります。
セミストラップ(フロントのみバンドかかとはワンタッチ)のタイプは私も長
らく使っていましたが、古い(出し縫いの)皮登山靴や縦走用の底が柔らかい
靴には今だにワイヤー式より有効です。

日本の登山用品店ではあまり明確に説明してくれませんが、アイゼンの固定形
式は登山靴の性格と登るルートの傾斜によって選択基準が大体決まっていま
す。
たとえばサロモン社の資料を参考にすると(記憶に頼っていますので正確なと
ころは靴の説明書をお読み下さい)、まず靴を3種類に分けています。
1)平らな氷河と岩場歩き(ロックアンドスノー)タイプ
2)氷河から氷雪壁のクラシックルート(傾斜60度位まで)(スノーアンド
  アイス)タイプ
3)バーティカルアイスタイプ
に分けています。
これは、底の硬さと足首の固定度に関係しているようです。
それに対してアイゼンの固定方法を
a)ストラップ
b)脱落防止リング付きワイヤー
c)ワイヤーのみ
と分けて
1)の靴で平坦な氷河歩きをする時はa)b)c)とも可。クラシックルートへ
  行くときはa)のみ可。バーティカッルアイスは不可。
2)の靴で平坦な氷河歩きをする時はa)b)c)とも可。クラシックルートへ
  行くときはa)b)c)とも可。
  バーティカルアイスへ行くときはa)b)が可。
3)の靴の場合はどこへ行くときもすべてのタイプが可。
となっていたと思います。

また、シャモニのスネルスポーツのカタログにも靴毎にお勧めのアイゼン固定
方式が載っていました。

このあたり日本の登山用品店には一部不勉強な所もあるようで、山でルートと
靴とアイゼン(固定方法だけでなく)のマッチングに問題がある人を見かけま
す(店だけでなく、絶対に指名買いする意固地な客にも問題ありですが)。

例えば、ワイヤーのかかる溝があるからといって底がしなりやすい、また柔ら
かいゴム部分に溝が切ってある靴に無定見にワンタッチアイゼンを履いていた
りします(客もワンタッチを希望しますが)。
この場合メーカーはこの組み合わせを平坦な氷河歩き用に想定していますが、
ユーザーは八ヶ岳あたりでアイスクライミングをやって「はずれた〜」といっ
て騒いでいたりします。

アイスバイルがいろいろ話題になっていますが、トランゴのベントシャフトが
コストパフォーマンスが良いようです。
ピックのできもまずまずだし、なんといってもストラップつきで実売1万3千
台は魅力で、金のない初心者に勧めても恨まれることはないと思います。


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