遭難救助(8)
中田@高知労山です。

 僕の所属する会の県連盟で、県の防災ヘリのパイロットと山岳救助について懇談する機会を先日もったの
ですが、パイロットはレスキューにものすごく情熱を持っていて、県によってはえらいさんが出動をしぶる
とこもあるようなのですが、「ヘリは使ってなんぼの道具。救助に役立つならがんがん呼んでくれ」と言っ
てくれまして、感動したことでした。ヘリなんて北アルプスだけの話と思ってましたが、これからは地方の
山でもヘリによるピックアップをシュミレートしたセルフレスキューを、真剣にやらないと駄目だなと実感
してます。いかにヘリをすばやく呼ぶかという通信手段が重要になってくると思います。

 遭難者とヘリとの通信手段のことですけど、現状で登山者が電波を発信することができるといえば、アマ
チュア無線か携帯電話になると思いますが、電波法などややこしいことがいろいろあって、今はなかなかう
まいやり方がないのが実際ではないようです。アマ無線をヘリが使ってくれれば、こんないいことは無いわ
けですが、現行法制では問題があるようで、うちの県のヘリには装備されていません。携帯電話は稜線から
はずれると使えないと思いますが、つながる状態だとしても、遭難者とヘリが携帯電話で通話するのも、法
的にはまずいらしいです。

 一番いろんな状況に対応できそうなのは、ヘリがアマ無線を使うことなんですけど、法的に問題があるな
ら、「消防救急のような行為にあたるものは緊急時にはアマ無線を使ってもよいというように法律を変えて
ほしいものです。ひょっとしたら、単なる解釈の問題かもしれないのですが、アマ無線使ってるとこってあ
るのでしょうか。


有持です。 自慢になる事ではありませんが、去年から今年にかけてクラブで墜落事故があり、甲斐駒、北岳、小 川山と3回ともへりでの搬出となりました。甲斐駒、北岳の時は私が状況判断をしてへりをすぐに依頼 して、気象条件もよかったこともあり、短時間での救助ができ、2人とも命に別状もなく搬出されまし た。この時にやはり問題となったのが現場との連絡です。 甲斐駒では携帯電話が使えたので、だいたい連絡が取れましたが、北岳では場所によっては通話でき ず、結構やきもきしました。その時へりにアマチュア無線の使用を依頼しましたが、登載していないし 資格がないので使えないという事でした。しかし搭乗している人がアマチュア無線の資格があり、移動 局の上空とうい免許申請してあれば、非常通信としての使用は可能です。救助隊の方々もこのことはし らないのではないでしょうか?? どうしても使用しなければならない時は、免許所持者をへりに同乗させてもらえば、全く問題はあり ません。 それからへりを要請する場合は、119番に電話をして防災へりを要請してください。富山県以外の 警察へりは防災へりより高高度での性能が悪く、ウインチのワイヤーの長さもかなり短いので、岩壁で の救助には限界があります。甲斐駒の時には、最初は警察へりが来ましたがピックアップできず、防災 へりを再度依頼してピックアップしました。北岳の時は最初から防災へりを要請したので、日没直前に 即効救助ができました。 110番だと、最初に警察へりが出動するので、岩壁などでの救助の時は、最初から119番で防災へりを 依頼した方が確実です。 法的に問題があるというのは、搭乗員がアマチュア無線の資格を持っていないために使えないという 事です。本来のアマチュア無線の目的とは外れてしまいますが、搭乗員が個人で免許をとって個人の無 線機を携帯していれば、万が一の時には非常通信として使えるのです。これも趣味として無線を携帯し ているわけではありませんから、法の抜け道ですね。

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