アイスクライミング質問(1)/回答<10>
獨標登高会の寺田です。

●プロテクションセット時のセルフビレイ
いろいろと皆さんの話を読んでいると、私の方法はかなり古典的なテクニックでお恥
ずかしいのですが、ご参考までに紹介させていただきます。基本的にフィフィは使い
ません。スリングのみです。斜度の緩い氷の際は左手のピッケルで支えながら、右手
をフリーにしてスリューやスナーグをセットします。問題は垂直の氷の場合です。1
メートル程(全長は2メートル程のループ)のスリングをハーネスに直結して、反対
側は首にかけておきます。左手はそのままですが、右手のアックスのピック(リバー
スタイプ)の上に、首にかけたスリングをかけかえます。この方法ですと体重をかけ
た際ピックの歯が氷に食い込む方向に荷重がかかり、かつ石突が氷に押しつけられ安
定度が非常に高いです。(ピックの歯もヤスリ掛けするのはお約束)スクリューのき
っかけやスナーグ用に、サブハンマーが有ればベターです。スタイルとしてはなるべ
くテンションをかけないようにしますが、垂直の場合セットに手間取るとどうしても
テンションがかかってしまいます。
具体的な作り方を説明しましょう。スリングは15ミリ幅のトロールのスリング(ショ
ッキング・ピンクの奴ね!)を2メーター使用しています。末端をテープ結びでつな
ぎます。必要に応じてバックアップでフィフィも通しておくとよいでしょう。結び目
がハーネス側に来るようにビレイループ(シーットハーネスの場合は安環付カラビナ
)にガースヒッチで結びます。反対側を首にかけます。結構余裕があるので、ヘルメ
ット被っていても問題有りません。後は登攀前にザック、ギアラック(右側)、スリ
ング(左側)の順でかけてから、このループを首にかけないと使えません。(当たり
前か)アイスクライミングを始めた頃ですから、15年ほど前に上野アートスポーツの
鳥海さんから伝授していただいたテクニックです。身長や使用するハーネスに合わせ
て長さは調整してください。
フィフィをリストループ脇の小ループにかけるより、スピーディにセット出来ます。
バイルを打った位置が低い場合は、ハンマーのくびれた部分に何回か巻き付けて調整
します。首にスリングをかけると危険と感じるでしょうが、何かの拍子にスリングが
引っかかっても首の前部は絞まらないし、いままでそれが原因で墜ちて怪我をしたこ
ともありません。
メインロープをセルフビレイに使用する方法は、セット時に墜落した際墜落距離が大
きくなるのでは?また石突の穴にスリングのループを通しフィフィをかける方法はア
ックスが不安定で、場合によってはピックの抜ける方向に荷重がかかるのでこちらも
避けた方が良いと思います。
蛇足ながら左手の位置が低いときや態勢を変えたい時、リストループでなく腕を伸ば
してアックスのヘッドを握ると多少凌げます。フリーのガバホールドでレストする感
じです。


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