ペットをマレーシアに持ち込むための手続き

はじめに  

現代日本のペット事情を垣間見ると、日本はペット好きな国の1つであると言っても過言ではないように感じます。マレーシアマイセカンドホームプログラム参加希望者の中にも、(日本の)家でペットを飼っていらっしゃる方々が少なくないことは容易に推測できます。

さてひとたび海外、ここではマレーシア、に住むと決まっても、ペットを連れて行くことはそれほど簡単にはいかないと思っていらっしゃることでしょう。ペットは荷物のように荷造りして発送するわけにはいきませんし、一般に検疫という手続きが控えていますから、確かに”簡単”にはいきません。

イントラアジアはどの国であれペットを飼ったことはないし、飼うつもりも全くありませんが、ペット関連の話を書いたり、ペット輸入の規則などを説明することはできます。マレーシアに限れば、そして犬と猫に限れば、ペットを持ち込むのは簡単ではなくても手が出ないほど難しいことではありません。
むしろ、ペットを連れて行く、連れて行かないというのはマレーシアで住む住居要因の方がずっと大きいはずです。しばらく前に書いた、コンドミニアムでペットを飼えるかといった話題を下段に載せてあります。

それでは規則の翻訳と説明に移ります。以下はマレーシアマイセカンドホームプログラム公式サイトに載っている該当ページの内容です。

動物・ペットのマレーシアへの輸入に関しては、獣医サービス庁のホームページの SERVICESメニュー内の該当ページに詳細な規則が載っています。マレーシアマイセカンドホームプログラムサイトでは、ペット持込の概略としてその一部を抜き出して載せているだけであるということがわかります。
ペットの持ち込みをお考えの方は、獣医サービス庁のホームページに掲載されている諸規則をあらかじめ読んで、ある程度知っておくべきでしょう。

なおこの動物・ペットのマレーシアへの輸入に関する規則は、マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者に限らず、マレーシアに在住する全ての外国人に適用されます

【ペットをマレーシアに持ち込むための手続き】


1.まず www.dvs.gov.myを開いて、動物輸入規則をチェックすることでご自分のペットをマレーシアに持ち込めるかを確認してください。

Intraasia注:www.dvs.gov.my (獣医サービス庁のサイト)を開くと、「よくある質問とその答え」メニューがあります。ペットに関しては、そのメニュー内のページにある "FAQ Import Haiwan Kesayangan" をクリックすると、たくさんの質問と答えが載っています。(時期未定でそのうち訳してこのブログに載せますかな)

2. 輸入許可を申請するには申請書式 Aを完成させます。犬と猫対象の最新の予防注射記録をそれに付けます。輸入手数料として犬、猫は1匹に付きRM 5、鳥は1羽につきRM 0.10を支払います。申請書は農業及び農業基盤産業省下にある獣医サービス庁に提出します。
その住所:Department of Veterinary Services, Wisma Tani, Block Podium, Lot 4G1, Precinct 4, Federal Government Adiministration Centre, 62630 Putrajaya

または各州の獣医局に提出します。
申請書は1労働日以内に処理されます。

Intraasia注:www.dvs.gov.my (Department of Veterinary Services)を開くと、申請書類の「ダウンロード用」メニューがあります。ただそのメニュー内のページの一部はマレーシア語で書かれているので、とまどう方も少なくないことでしょう。
申請書式 A というのは Borang A : Haiwan Hidup になりますよ。

3.次に掲げた制限されている犬種に関しては特別許可を申請してください:
ロットウエイラー、ドーベルマン、ベルギーシェパードと東欧シェパードを含むジャーマンシェパード、ブルマスチフ、ブルテリア、カナリア諸島犬(Perro de Presa Canario)
4.次に掲げた犬種は持ち込み(輸入)禁止です:
ピットブル/ピットブルテリア(アメリカピットブル、アメリカンピットブルテリア、アメリカンスタッフォードシアテリア、スタッフォードシアブルテリア)アメリカンブルドッグ、ナポリマスチフ、土佐犬、秋田犬、Dogo Argentino, Fila Braziliero 
詳しいことは獣医サービス庁のホームページ www.dvs.gov.myをご覧ください。

5.輸入許可を取得した後で、特定種の動物と鳥の検疫については獣医サービス庁に予約してください。検疫期間は最低7日間からです。もしその動物が感染している場合は検閲期間が、最長30日間まで延長されます。

6.検疫する動物と鳥は全て検疫手数料が課されます。例えば、犬の場合は1日1匹あたりRM 10です。詳しくは獣医サービス庁のホームページ www.dvs.gov.myをご覧ください。

7.ペットの持ち主はペットをマレーシアへ送る前に行動しなければなりません:
 a. 本国の国家公務員である獣医からそのペットの動物健康証明書を取得すること。これはペットを国外へ送り出す(輸出する)日の7日から10日前にする必要があります。

Intraasia注:いつもながら意味不明な原文英語です。原文通りに訳せば、輸出から7日から10日以内となってしまいますが、そんなことは不可能ですし、7日経つ前に目的地に着いてしまいますからこれは英語間違いですね。ということで「輸出する前の」という表現にしてあります。

8.マレーシア到着時に、輸入地にいる獣医サービス庁の係官に次に掲げた書類の原本を提出します:
 a. 輸入許可証の原本
 b. 本国で発行された動物健康証明書の原本
 c. 予防注射証明書の原本
 d. 上記の書類は全て英語で記載されていること、または認証付き翻訳版であること
 e. 税関書式 No.1(K1) には輸入用の関税コード 0106(動物園とペット)を記入し、それを完成させること

9.ペットが検疫を受ける必要がある場合は、そのペットは検疫所に連れて行かれます。

10.検疫期間が終わってからペットを受け取ります。

注記: bold
a. 輸入許可証は積荷(貨物)に基いて発行します。

b. 輸入許可証は有効期間が30日間です、請求があれば60日間まで延長できます。

c. ペットの持ち主は輸入規則を知っておくこと、そしてその規則の条件を順守するようにしてください。詳しくは獣医サービス庁のホームページ をご覧ください。

d. 次に掲げた狂犬病のない国からの犬の場合は、検疫はありません:
英国、北アイルランド、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、ブルネイ、日本、シンガポール

e. 野生の風変わりなペットは野生動物保護条約の適用を受けることになります。野生動物及び国立公園庁のホームページ www.wildlife.gov.myをご覧ください。

2011年9月初め掲載


ペットが飼える、飼えないの説明

以前「何でも伝言板」 と「ゲストブック」 に書いたものに一部追加して再録しておきます。

さてペットを飼えるかという場合、2つの面から見る必要があります。法律又は条例上から許されているかという点、及び現実として飼っている人はいるのかという点です。昔からの慣習が厳しく且つビル建築など一才ない田舎は別でしょうが、少なくとも町規模以上であれば、条例でペットに関して決められているはずです。

クアラルンプールでは、猫については知りませんが、数階規模以上のアパートとコンドミニアムでは犬を飼うのは条例で禁止されています。一般住宅でも犬は全て登録しなければなりませんし、多くの場合は飼う犬の数が決められているはずです。数ヶ月前この条例をさらに厳しくしようと、市が提案したのですが、愛犬家などから猛反対で、現在はその案を引っ込めたのです(当サイトの新聞の記事で一度報道済み)

はっきり言えるのは、イスラム国家であるマレーシアで犬を飼う事が無条件で許されていることはありえません。飼ってはいけないということでなく、条件付だということです。ですから犬を飼っている人の大多数は華人となります、特に華人集中居住地などの住宅で犬を飼っている華人は多い。アパート・コンドミニアムでも犬を飼っている華人は珍しくない。

そこで上記であげた第2の点にうつります。私は何でも伝言板に次のように書きました。「ペットを家で飼ってもいいかどうかは、ペットの種類とその人の住む自治体の条例によって違いが出てきます。一般のコンドミニアムやアパートでは多分ペットは飼えない事になていると思いますが、例えばクアラルンプールでは犬は飼えない。それに従うか従わないかは、まさに住民とそのコンドミニアムやアパートの運営次第です。無視する人も一杯います、それがマレーシアです。
ペットを飼えるか飼えないかの質問は、このように自治体と住む場所と動物の種類と且つ住民の意識の違いで相当違うので、統一した答えは不可能です。」

アパート・コンドミニアムでは条例で飼ってはいけないのにどうして飼っている人がいるかは、そこがマレーシアです。居住者で組合を作って自治管理していたり、コンドミニアムの運営会社がそういう細かい事まで、きっちりと管理しているそういうコンドミニアムもあるし、皆適当にやってるコンドミニアムもあります。アパートになれば管理程度はさらに下がります。現実に私の住むアパートでも犬を飼っている家が少なからずあります。(鳴き声がうるさいのですぐ分る)

条例で禁止されているからといって、皆がそれを守るわけではないし、あの家が犬を飼っているからと市庁に訴える人もいるが、そうしない人もずっと多い。市庁はそういう訴えに対してすべて対応できっこないです。長年住んでいる者としていえば、犬飼ってるぐらいで係官が取り調べにはまず来ないでしょう。またコンドミニアムでも住人が互いに無言の黙認をしておれば、飼う家が増えるでしょう。コンドミニアムは一般にマレー人が少ないのも一因です。

結論
さらに自治体によって条例の違いは間違いなくあるでしょう、だから飼えるとか飼えないとか一概に答えられないのです。
ある事柄を考える場合はこのようにいくつかの状況と条件をあげていかねばなりません。

コンドミニアム・アパートでは守る守らないは別にして上記のように規則は厳しいのですが、土地の上に建つ一般家屋になればそこまで制限する規則はありません。自治体には届け出る必要はあっても、飼ってはいけないとはならないのが普通でしょう。だから上記で書いたように、華人集中居住地などの住宅で犬を飼っている華人はたいへん多い、うるさいほど多いのです。だからそういう場所に住めば、犬を飼える飼えないなどと心配する必要は、初めから起きてきません。

参考:犬を飼っている愛犬家のサイトもあります、例えばビジネスサイトで http://puppy.com.my/ というものです。別にこれをお勧めしているのではなくこういうサイトもあるということです。 ペットなど動物の愛護を柱とした団体 Malaysia National Animal Welfare Foundation もあります: www.mnawf.org.my

参考:2004年11月後半の新聞記事から 「マレーシア初のペットホテルオープン」
マレーシア初のペットホテル De'Ritz がクアラルンプールの郊外にある Ikano power Centre 内の PetSafari Kuala Lumpur、広さ8000平米、にオープンしました。ペットの5星クラスとのことで、広さ1200平米、完全冷房です。ホテル以外にもペットクリニック、ペットショップが揃っています。ホテルの料金は、体重 10Kg 以下が 1泊RM 35, 10Kg を超えると RM 45です。ペットのチェックインは簡単ですと、ホテル側は説明する。


クアラルンプールにおける飼い犬に関する記事 (2005年4月20日付け)

クアラルンプール市庁の犬と犬小屋に関する免許条例、改2001年、によれば、広さ200平米以下の家に住む人は犬を1匹飼えます。200平米を超える広さの家に住む人は、最多 2匹まで飼えます。高層建築物では犬を飼うことは許されません。市当局またはそれから契約を得たものは、野良犬を捕獲することができます。
クアラルンプールでは、犬を飼う場合隣人から同意を得ることは義務付けていません、しかし犬の存在が迷惑であれば当局は取り締まることはできます。犬の飼い主は1匹当り年間RM 10 の免許代を納めます。

Intraasiaのコメント:いくら規則があってもそれが守られているか、当局と住民が守らせているかが大事ですね。少なくとも私の住む下町のような地区では、これらの規則は現実にはあまり守られていない、といえるでしょう。

2002年3月10日掲載、最終更新2005年5月