はじめに
外国企業、外国人がマレーシアの企業を買収、合併する、不動産を取得するといった広い意味での投資に関わる事象に関しては、外国投資委員会(Foreign Investment Commite、略称 FIC)の定める規則に従がうことが必要です。そこでマレーシアにとっての外国人・企業すなわち日本人または日系の会社がマレーシアの不動産を購入する場合に直接関与する ”外国投資委員会のガイドライン” を抜粋して訳出しました。日本人または日系の会社にあまり関係なさそうな部分は省略しました。
出典は Foreign Investment Commitee の公式サイトに掲げてある ”Guidliens for the acquisition of properties by local and foreign interests " からです。
このページは印刷しやすいように別ページで開きます。
初掲載2005年4月5日
外国投資委員会が定める、
マレーシアの勢力・関係者及び外国の勢力・関係者による不動産の取得に関するガイドライン
T背景
1. このガイドラインの目的は、マレーシアと外国の勢力・関係者が不動産を取得することに関して、外国投資委員会(FIC)の定める規則と規制を明確に示すことです。
U 発効日
2. このガイドラインは2004年8月1日から有効となります。
V.定義
3. 内容上他の意味を要求している場合を除いて、このガイドラインにおける単語の定義です。
- 取得: 不動産のある者から他者への移転に関わる取引を意味する
- 農業用地: 1965年国家土地法によって農業用の土地と分類されている土地を意味する
- ブミプトラ勢力・関係者: 次ぎの a または b をいう、またはこのa または b が寄り合って集まったグループ、またはこのa または b のどちらかと協力して行動する集団をいう
- a) ブミプトラ個人、 b) 地元の会社または団体で、その会社・団体の決定権の50%を超える分をブミプトラが握っている場合
- 商業ユニット: 店舗家屋、店舗事務所、店舗用の用地、事務所用の場所、ビジネス用の場所、ショールームといったビジネス目的に使われる、土地を含む屋敷・店舗 のことをいう
- 工場用地: 工業活動用に区切られた地域内に存在するある面積を持った土地をいう
- 外国企業: 会社法1965年 に定めてある外国の企業をいう
- 外国の勢力・関係者: 次ぎの a または b または c をいう、またはこのa または b または c が寄り合って集まったグループ、またはこのa または b またはc のどれかと協力して行動する集団をいう
- a) マレーシア市民でない個人(永住許可者も含む)をいう、外国人とも表現する b) 外国企業、 c) この a または b または a& b がその会社または団体の決定権の50%を超える分を保持しているような、地元の会社または団体をいう
- 工業用地: 国家土地法1965年 で規定されている、工業地として分類される土地をいう
- 工業不動産: 工業用地、工場、または工場用地をいう
- 利権: ある会社において投票権、株式、またはその他の権利を有することをいう
- 地元企業: 会社法1965年 に基づいてマレーシアで設立された会社をいう
- 地元の勢力・関係者:次ぎの a または b をいう、またはこのa または b が寄り合って集まったグループ、またはこのa または b のどちらかと協力して行動する集団をいう
- a) マレーシア市民である個人、 b) その会社の決定権の50%を超える分をマレーシア市民が保持するような、地元の会社または団体をいう
- 不動産:土地、建物付きの土地、商業ユニット、または住居ユニットをいう
- 居住ユニット:居住のための面積を持った場所、敷地、建物をいう
W 申請
4.地元の勢力・関係者による不動産の取得
4.1地元の勢力・関係者による価値RM 1000万未満の不動産取得の場合は、外国投資委員会の許可を得る必要はない。
外国投資委員会に通知する必要がある取得
4.2 価値がRM 1000万から RM2000万未満の間の不動産を取得した場合は、外国投資委員会に通知することが必要です。それは次ぎの関係者の場合である:
省略
外国投資委員会からの許可を必要とする取得
4.3 その取得が下記に定める関係者と価値である場合は、外国投資委員会の許可を必要とする:
省略
5. 取得の条件
5.1不動産の取得は地元企業の下に登録されなければならない、そして不動産の取得は株式、雇用、資本、土地再開発に関する次ぎのような条件に従うことが必要である:
株式の条件
- もしその会社のブミプトラ所有の株式がゼロか30%未満である時は、ブミプトラ株式の割合を少なくとも30%に増やすこと。
- もしその会社のブミプトラ所有の株式が30%以上であれば、常時ブミプトラ株式の割合を最低限30%は維持すること。
- もしその会社のブミプトラ所有の株式が51%以上であれば、常時ブミプトラ株式の割合を最低限51%は維持すること。
株式資本の条件
- 外国の勢力・関係者が所有する地元企業で、その払い込み資本の額がRM 25万未満の場合は、株式資本を最低RM 25万までに増資することが必要であり、これは外国投資委員会が提出書を受け取った日から6ヶ月以内になされなければならない。
- 外国の勢力・関係者が所有する地元企業で、その払い込み資本の額がRM 10万未満の場合は、株式資本を最低RM 10万までに増資することが必要であり、これは外国投資委員会が提出書を受け取った日から6ヶ月以内になされなければならない。
不動産開発の条件
- 取得した不動産が住宅または商業プロジェクトとして開発されるのであれば、そのプロジェクトに用いられる建設資材と附帯品の総額の少なくとも75%は、マレーシア産の資材でなければならない。
- 会社は、使用されたマレーシア産資材と附帯品の総額を、プロジェクト開始の6ヶ月後及びプロジェクト完成時に、資格を持ったコンサルタントが発行する証明証によって提出する必要がある。
- 開発された不動産を外国の勢力・関係者が取得した場合は常に外国投資委員会の許可が必要です。
雇用の条件
- 全ての企業は、その雇用のどのレベルにおいても、国の人口構成を反映すべくように、精一杯の努力をしてマレーシア市民を雇用し訓練しなければならない。
株式条件の免除
- 上場時に株式条件にすでに合致した上場企業は、さらに株式条件を課せられることはない。
- 自らの住居として取得した不動産は上記の条件を免除します。
6. 株式条件に従がうようにする期間
6.1 もし株式条件が課せられているのであれば、外国投資委員会が提出書を受け取った日または不動産の開発を始めた日のどちらか早い方の日から、2年以内に条件を満たさなければならない。
6.2 条件を満たしつつある状況は、その期限の最低1ヶ月前、または外国投資委員会が要求した時はいつでも、またはその両方に対して、外国投資委員会に報告しなければならない。
6.3 条件を満たす期限は、そのケースの利点を考慮して1年間延長されることもありえる。
7.外国の勢力・関係者による不動産の取得
7.1 永住者も含めて、外国の勢力・関係者による不動産の取得は、どのような場合でも外国投資委員会の許可を必要とする。
7.2 外国の勢力・関係者は価値 RM15万を超える不動産を取得することが許されています、ただし第8節と9節に定めた条件を満たすことが必要です。
7.3 州当局は、不動産の地区、場所、種類、さらにプロジェクトにおけるその不動産の全ユニットに対する割合に基づいて、取得を認める認めないの自由裁量権を有しています。
公開入札による不動産の取得
7.4 外国銀行を含む外国の勢力・関係者は、価値がRM15万を超える不動産を公開入札で取得することが許されています、ただしこの場合も第8節と9節に定めてある条件を満たすことが必要です。
永住者に対する緩和措置
省略
マルチメディアスーパー回廊(MSC)にある不動産の取得
7.7 外国の勢力・関係者が所有する地元企業でマルチメディアスーパー回廊企業の認定を獲得した企業は、マルチメディアスーパー回廊内にある不動産であればどの不動産でも、外国投資委員会の承認を得ることなく取得することが許されます。ただしその不動産はその会社の事業活動のためだけに使われる、これにはその会社の従業員のための住居として使われることも含む、という条件付です。
7.8 外国の勢力・関係者が所有する地元企業でマルチメディアスーパー回廊企業の認定がない企業が、マルチメディアスーパー回廊内にある不動産を取得する場合は、第5節と第6節に定めてある条件を満たす必要があります。
製造企業が住居ユニットを取得する
7.9 外国の勢力・関係者が所有する地元製造企業は価値がRM 6万を超える住宅用ユニットを取得することが許されます。ただしそれには次ぎの2つの条件を満たす必要があります:
- その住居ユニットはその企業の従業員のためだけに用いられること
- その住居ユニットはマレー人保留地に建設されていない且つ州当局が規定する、不動産開発プロジェクトにおいてブミプトラ用に割り当てられていないこと
「マレーシアは第2の我が家」 プログラム下で住居ユニットを取得
7.10 このプログラムの下で住居ユニットを取得する場合は、必要なのは州当局の許可だけです。
資金融資の源泉
7.11 国内及び国外からの資金融資は、すべての不動産取得の際に許されています。
8. 制限
8.1 外国の勢力・関係者は次ぎの物件を取得することは許されていません:
- 州当局が規定する、低価格不動産及び中価格不動産と分類されている全ての不動産
- マレー人保留地に建てられている全ての不動産
- 州当局が規定する、不動産開発プロジェクトにおいてブミプトラ用に割り当てられている不動産
- 作業場、売店
- 所有者が不動産デベロッパーでない、1階建てと2階建てのショップハウス
- 入植用に開発された農業用地
9. 外国の勢力・関係者が不動産取得するための条件
9.1 次ぎに示す、外国の勢力・関係者による不動産取得は、第5節と第6節に定めてある条件を満たすことが必要です:
- 1回の取引の価値がRM 1000万以上である、1ユニットまたは複数ユニットの不動産を取得する場合
- 価値の大小に関わらず、建物全部または不動産プロジェクト全体を取得する場合
- 商業基盤の再開発用の土地または建物付き土地を取得する場合
免除
9.2 外国の勢力・関係者による次ぎの取得の場合は、第5節と第6節に定められている条件を免除します:
- 自らの住居として住居ユニットを取得する場合
- 1回の取引の価値がRM 1000万未満である、1ユニットまたは複数ユニットの不動産を取得する場合
10. 外国人に不動産を譲渡する
10.1 愛情、好意によって不動産を外国人に譲渡する時は、外国投資委員会の許可が必要です、そしてこの譲渡は直系家族間でのみ許されます。
10.2 遺言と裁判所命令に従がって不動産を譲渡する時は、外国投資委員会の許可を得る条件を免除します。
11.外国の勢力・関係者による農業用地の取得
省略
12. 外国の勢力・関係者による工業不動産の取得
12.1 外国の勢力・関係者は工業用不動産に関しては、その価値の大小に関わりなく取得が許されます、ただし第5節と第6節に定めてある条件を満たすことが必要です。
免除
12.2 不動産取得の目的が自らの製造業務のためであれば、第5節の5.1 に定めてある株式の条件に従がうことは免除されます。
13. 国内不動産の管理を国外の銀行に委ねる
13.1 国内にある不動産の管理をマレーシア国外にある銀行に委ねることは、外国投資委員会の許可が必要です。
13.2 国外にあるプロジェクトに対する金融のために、国内にある不動産の管理をマレーシア国外にある銀行に委ねることは認められない。
14. 不動産のリース
14.1 外国の勢力・関係者による期間が10年を超える不動産のリースは、外国投資委員会の許可が必要です。
15. 外国の勢力・関係者による不動産の処分
15.1 外国の勢力・関係者がその不動産を外国の勢力・関係者相手に処分する場合は、外国投資委員会の許可が必要です、そしてこれは第7節から14節に定めてある条件に合致する必要があります。
15.2 外国の勢力・関係者がその不動産を地元の勢力・関係者相手に処分しその価値がRM 2000万未満の時は、外国投資委員会に通知するだけで十分です。
16. ラブアン島にある不動産の取得
省略
X 申請の手続き
17. 外国投資委員会に提出した全ての申請は次ぎに定める手続きに則る必要がある:
この部分全て省略
Y 申請者の責任
18. 申請する者は次ぎのことに関して責任があります:
- このガイドラインに定めてある全ての規則と規制に従がうこと
- 提出する情報は事実であり完全であること
Z 申請書の提出
19. 申請書の提出先
The Secretary
Foreign Investment Committee
Level-1, Block B5, Economic Planning Unit
Prime Mister's Department
62502 Putrajaya , Malaysia
www.epu.jpm.my
[ 廃止
20.次ぎの表に載せたガイドラインは廃止します。
省略
以上 訳文責は Intraasiaにありますが、法律上の理解を含めた精細に関しては、弁護士など専門家に相談してください。
注意
「住居の探し方、及び住居を買うための条件緩和」 のページも必ずご覧ください。その後発表された条件緩和措置があります。