内陸部の町、ダボンとジュラワンジャングルリゾート

チョコレートさん作

マレー鉄道で早朝に到着

クアラルンプール駅を1時間15分遅れで発車した Ekspres Wau は遅れをほぼ取り戻し、まだ真っ暗な早朝5時半にダボン駅に到着した。検札の際に Dabong で降りると車掌さんがチェックすると、「朝早いから寝過ごして Kuala Krai まで行くなよ〜」と笑っていたが彼はきちんとダボン到着前に僕の寝台まで来て起きているか確認してくれた。こんな朝早くに到着されても店も開いていないしすることがない。クアラルンプールで発車が大幅に遅れるとアナウンスがあったんだから、そのまま遅れていればいいのにこのタコ急行め、と思ったがしかたない。駅のベンチでは10数人が次の Gua Musang 行き鈍行列車を待っていたので、僕もそこで過ごすことにした。
ダボンはクランタン州の内陸部にある小さな町だ。以前のマレーシア訪問ではダボン到着が駅近くの学校の下校時刻とかさなったこともあって、たくさんの生徒達にかこまれ、まるで宇宙人でも来たかのように扱われ、カタコトのマレー語と英語でたくさん話をした思い出がある。そして、1人の女の子から「この近くにジャングルのリゾートと大きな滝がある」という話も聞いていた。今回はそこを訪れるのが目的である。

ダボンには朝7時少し前になると Gua Musang 行きの列車が到着する。この列車の到着にあわせて駅前の店は開店するようだ。僕もやっと落ち着ける場所ができたと駅隣りの店でテーを飲む。列車が到着するとものすごい数の生徒達が下車し、学校へと向かう。ダボン周辺の小さな駅から乗ってきてここの学校に通っている生徒達だろう。男子生徒は僕のいる駅前の店で食事をする子も多く、7割くらいの子はスプーンやフォークを使わずに手で食べていた。女の子達は食事はせずに学校へまっすぐ向かう子がほとんどで少しの子達が店でおかしを買って行くくらいだ。まだ薄暗い中で青いスカート(?)と白いトゥドゥン姿の子が百人以上も通っていくのを眺めるのは圧巻であった。

  
1時間遅れのタコ急行         ムスリム学生の集団登校

渡し舟乗り場へ

あたりが明るくなってくると、やっと活動できる。Intraasia さんが Gunung Setong の項目で書かれているクランタン川(正確にはゲラス川というそうで、地図を見ると少し下流でいくつかの流れがあつまりクランタン川になるらしい)を渡る渡し舟、もしくは Kuala Krai まで下るボートを経験してみたくてボート乗り場を探した。何の看板もないという情報だったが、写真のような目印は見つけることができた。これは集会場の横、川へ下るまえのところにある。川を見るといくつかボートはあるものの人影はまったくない。とりあえず川まで降りてみる。しかし、半分ほど下るともう足元はぬかるみでどろどろである。荷物を持ったままこんなところでコケたら最悪だなぁ、と思いつつなんとか進んだものの、すねあたりが痛かゆい・・・。ヒルである。一旦戻ってみてズボンを捲り上げると大量のヒルが足に吸い付いていた。ヒルを取り除き、誰か来るのを待ってみたが悲しいほどに誰も通らず、少し戻って家の前ににいた女性に尋ねるもいまいち会話が成り立たず、そのときはこのまま渡し舟体験やジャングルリゾートはあきらめることになってしまうのかと思った。

  
クランタン川             渡し船乗り場の看板

田舎町も徐々に変わってきている

ボート乗り場を離れ、学校横の店でテーを飲みながらどうするか考えた。そのとき、店のおばさんや通りかかったおじさんと「どうしてダボンなんかにきた?」 「これからどうするんだ?」という話になり、「ボートで対岸へ渡り、ジュラワンジャングルの大きな滝が見たい!」ということをいうと、「なら、タクシーだな。駅前からRM 5で行けるだろう」と教えてくれた。以前、ダボンを訪れたときには町には車などまったくといっていいほどなく、よくてバイクくらいしか見かけなかった。しかし、駅まで戻ってみるとホームと反対側に何台か車が止まっている。また、2年半前はなかった道路と線路を越える橋も見えた。どうやら新しく道路ができたらしい。ここには写真のように料金表があり、個人所有の車をタクシーに使う、というか、有料でヒッチハイクすることができるようだ。もちろん、交渉してみて目的地まで行ってくれるかくれないかはわからないし、値段もおおよその目安でしかない。僕は店から駅までバイクの後ろに乗っけてくれたおじさんが話をつけてくれたのでスムースにいきましたよ。

(左写真)有料ヒッチハイク料金早見表

料金の例(乗り合い/1人貸しきりの料金) 
   Kuala Krai RM 17.50 / RM 70.00
   Kemubu RM 3.00 / RM 12.00
   Jelawang RM 2.00 / RM 8.00
   Jeli RM 10.00 / RM 40.00

中年マレー人夫婦の車に乗せてもらい、ジュラワンジャングルをめざす。道路はいとも簡単にマレー鉄道の線路とクランタン川を越えてしまい、ものの10分か15分くらいでジュラワンジャングルリゾート、ストンヒルパークに到着した。車からIntraasia さんが写真で撮っているような滝の様子を眺めることができます。(逆にリゾートに入ってしまうと近すぎて登らない限り見ることができません。)


素朴と言うか寂れていると言うか・・・

公園に到着すると1人の男が出てきた。あとでわかったことだが、どうやらここは宿泊以外にも日帰りで来る人もいて、入園料RM 1をとっているようだ。僕は日帰りにするという選択肢をまったく考えていなかったので、すぐに1泊したいという話をしてしまい、ちょっと高くとられたかな、と今考えると後悔。
敷地内には小さな川が流れていて(これをさかのぼっていくとつり橋や滝がある)、それに沿ってコテージが点々と建っている。エアコンはなく、ファンだが木陰に建っているので暑くはなく、蚊などの虫も多くない。コテージの中は正直言ってきれいではないので期待はしないほうがいいと思います。
このマレー系の男と話をすると、今の時期はいいシーズンではないから泊まりで来るお客はめったにいない、地元の少年らが川や滝で泳ぎにくるくらいだそうで実際、リゾートと言うか公園の管理をしているスタッフも夕方まではこの男1人であったし、ほとんど人はこない、今夜泊まるのも僕一人、とかなり寂れている雰囲気。しかし、シーズンにはトレッキングをしにシンガポールや欧米からの客もいるとのこと。また、パッケージツアーも主催しているそうです。

  
ストン山ナショナルパーク                 ストンヒルリゾート

僕はとくにトレッキングの準備などしていなかったので、とりあえずいけるところまで川に沿って上ってみることにした。まずコテージを離れると小さな3段の滝があり、それを見渡せるようにつり橋がかかっている。ここでやっと人と出合った。地元の少年で1人で泳いでいたようだ。手を振っただけで話ができなかったのが残念。男から滝は危ないから1人では入っちゃダメだよ、と言われていたし、実際、滑ったり落ちたりしたら大変なので自分もさすがに入ろうとは思わなかったが、ガイド付なら滝で泳いだり楽しめるのだろう。滝の横には小さな道が作られていて、坂も石で組んだ階段になっていたり、掴まるためのチェーンがあるのでとくに装備がなくてもなんとか登っていくことができる。途中にはいくつも東屋があるので急な雨や疲れてしまったときも安心だろう。僕はこの1本道をできる限り上っていったけど、東南アジア最大落差という滝までたどりつくのはやはり無理でした。装備とガイドが必要でしょう。

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素朴なコテージ              コテージ前の小さな滝

このリゾート滞在中は昼食、夕食、朝食ともに例のマレー系のおとこの車で近くの集落まで行って食べる、もしくは持ち帰り食にしてもらうことで済ませた。今がシーズン外れで食堂が休止なのかそもそも食堂などないのか確認できなかったのではっきりしないが、このリゾートに入ってしまうと食料や水などは買えないのでご注意を。リゾートから集落までは歩いていくにはちょっと厳しい距離があります。事前に飲み物や少しくらいの食料は持っていったほうがいいかもしれません。

  
東南アジア最大落差の滝             こんな立て看板も・・・

Gunung Stong 標高1433m
Air Terjun Jelawang 落差303m

※ 僕が訪れたのは、Intraasia さんの紹介されている Stong 山ふもとのロッジとはまた別ですね。

Intraasia注:いや、このロッジですね。文章をお読みした限り、私が泊まった時から何年か経った後の姿だと感じました。さらに、あのあたりに複数のロッジを営業するほど客数がないでしょう。最近の姿を知ることができて私もうれしいですね。

マレーシアを何度か訪問されている方やタマンネガラでは飽き足らないというような方は"シーズン中に"このリゾートを訪れてトレッキングや釣り、川下りを楽しまれるといいかもしれません♪

2007年2月11日掲載 (旅行時期は1月です)

Intraasia注記:この文章と写真はチョコレートさんの寄稿そのままです。Intraasiaは、ホームページ画面で読みやすいように、ページ背景の色付け、小見出しのサイズ変更、写真配置だけを施しました。