残存している錫の浚渫(しゅんせつ)工場


マレーシアの前身である英領マラヤ時代、錫は生ゴムと並んでマラヤの一大産出物でした。半島部中部では錫鉱山や露天掘りが開発されて、膨大な錫鉱石が掘り起こされて錫を産出し、巨万の富を蓄えた中国華僑が輩出したことは歴史の本にも載っていることです。19世紀中ごろから20世紀中ごろにかけて続いた錫産出もほとんど掘り尽くしてしまい、20世紀後半には錫産出産業は極めて低調となり、現在ではもう稼動していません。そのため当時の錫しゅんせつ工場や精錬所は廃棄されたり、壊されたりして残っているのはごく少ないのが現状です。

その中で唯一まともな姿で残っているのが、ペラ州のTanjung Tualang に残存している 錫しゅんせつ工場だそうです。ということで私は友人の車でハリラヤの時期に見物して来ました。

行き方と住所:イポーの南に BatuGajahという市があります。車の場合は南北ハイウエーのGopeng インターチェンジで降りてBatuGajah へ行き、その市内を通り抜ける A15号線を6Km ぐらい南下した道路際にあります。その場所は小さな町 Tanjung Tualang の中心部ではなく郊外です。 BatuGajah −Tanjung Tualang を結ぶ乗り合いバスがあるので、バスでも訪れることはできるでしょう、ただしその場所をバスの運転手が知らないと困ったことになるでしょう。道路際に下左写真で示す小さな立て札が立っていますので、その立て札の三叉路を左折した瞬間、大きな工場の姿が目に入ります。三叉路から200メートルぐらいの位置にあります。

立て札のマレーシア語では、錫鉱石のマッチ箱船の遺跡 と なっています。船のような形だからこういう名称なのか、本来は船として作られたしゅんせつ工場なのか、説明する文書類がないので私にはわかりません。

 

このしゅんせつ工場は1938年に建設されて、1980年代前半まで稼動していたとのこと。ただしこういった説明を書いた文書類も表示板もなにもありません。右上写真に写っているように、一応所有社の管理棟らしき建物がありますが何の表示もなく、勝手に工場を周囲から歩いて見物できます(将来は多分有料にもなるでしょうが現時点では見学無料)。

 

写真でお分かりのように、周囲は池に囲まれているので工場内には入ることは不可能ですし、私有財産なのでそれが許されないのは当然です。

 

錫鉱石をこの部分から運びこむのだと思われます。右の写真は真後ろから撮ったものです。

 

全体の長さは75メートルもあります。右上の写真が前部で、この配管を通して、どの程度の純度か知りませんが、錫となって排出されてきたことでしょう

 

上左が前方からのしゅんせつ工場全景です。このしゅんせつ工場の背後は上右写真のように、錫鉱石を掘った後にできた大きな池となっています。

残存する貴重なしゅんせつ工場ですから、この場所を整備するれば、錫しゅんせつ施設の博物館となるはずですね。ペラ州政府が資金を出して、歴史を知る文化的観光施設化すべきだと思います。

2007年10月21日掲載

追記: 2008年2月4日の新聞の記事から

ペラ州のTanjung Tualang に残る錫の浚渫(しゅんせつ)工場が2月1日から一般公開されました。T.T. No.5と呼ばれるこの浚渫工場の一般公開を運営する会社 Osborne & Chapper 会社の取締役は説明する、「ペラ州で錫しゅんせつ産業が盛んだった昔、Chemor, Ipoh, Gopeng, Batu gajah、Papan, Toronoh, Malim Nawar では40機ほどの浚渫機が稼動していた。T.T. No.5 は当時最後の最も大きな装置の一つであり、1938年にW.F. Payne & Sons によって製造され、Pernas Chartered management 社が使用しました」 。 「最盛期浚渫機は電気で24時間稼動して、40人の労働者が2交代で働いていたとのことです」

このT.T. No.5はその後Southern Malaysian Tin Dredging会社にも一時属したことがあり40年以上運営されていましたが、錫産業全体の凋落から1983年に稼動を停止しました。 それ以来浚渫機は周りを人造池に囲まれたこの地に眠っていました。最近 Osborne & Chapper 会社はこの浚渫工場 T.T. No.5 の公開用にRM 10万をかけて化粧直しなどを行いました。

1997年所有者のPernas Chartered management 社がこの浚渫機をペラ州政府に寄贈しました。州政府は一般見学用にするために RM50万ほど費やしたとのことです。見学料金は、浚渫博物館、紹介映画、外側から浚渫機見学:大人 RM 10, 子供RM 3、 加えて内部見学: 大人 RM 15、子供 RM 5 下の写真を参照のこと。
運営する会社は華人鉱山協会や旅行会社などの協力で、今年末までに40万人を呼び込みたいとしています。

 
この2枚の写真は友人からの提供です(2008年10月10日掲載)。