水上家屋郡と民宿のあるククップKUKUP

概観
ククップはジョーホール州の西海岸側の最も南方にある町で、マレー半島の最南端の町といってもいいでしょう。尚地理的に最も南端はTanjung Piaiピアイ岬です。ここには浜辺に沿って水上家屋の並ぶ漁村があり、従って新鮮な魚類を供するレストランがいくつかあることで以前から知られていたそうですが、今では加えて手ごろなホリデー民宿の地としても知られています。さらにククップはインドネシアスマトラ島の属島へのフェリー便が発着する出入国地点でもあるのです。

行き方:

ジョーホールバルのLarkinバスターミナルからTransit Linkバスなどの冷房バスに乗り、乗車時間1時間強、運賃RM2.80で西海岸の田舎町Pontianに着きます。このバス便はジョーホールバルとの間は30分に1本ぐらいの頻度です。PontianとBatu Pahat間にもバス便がありますが、非常に少ない。

ここからククップまでは乗り合いタクシーしかありません。バス乗降広場の一画にあるタクシー乗り場で待ちます。ククップまで1台RM8なので4人揃えば1人RM2ですね。ククップまで約20Kmの距離です。 

Pontianの町
取りたてて注目する町ではない。小さな安ホテルが2軒ある。1泊RM40.中心部には華人の店、飲食店が目立つ。
海岸側に面して1Kmほどの遊歩道が作られており、夕方日が落ちてからそこを散歩すると気持ちがよい。また遊歩道に隣接する一画に10店ほどのマレー屋台街が夜出る(左下の写真)。

 

ククップの町
Pontianからの道路が行き止まりになるあたりがククップの町のはずれでそこが波止場であり、道路の両側にImigresen出入国管理庁の建物、フェリー乗り場、海鮮レストランなどが固まっている。海鮮レストランは大小10軒弱ほどあります。レストランは高いので筆者には手が出ませんので、味と価格は調べていません。又マレー大衆食堂が1軒ある。
その他このレストラン周りには土産物店があり、Keropokなどの海産物土産を売っている。

インドネシア行きフェリー乗り場
上右写真で示した乗り場前の建物が出入国チェックポイント(上右の写真)で、その裏がフェリー乗り場。フェリー便の情報は当サイトの 「自由旅行者のための情報コーナー」にある該当項目をご覧ください。

水上家屋

なんといってもこのククップの見所又は滞在所は水上家屋郡でしょう。フェリー乗り場兼出入国チェックオポイントの建物が波止場の中心なので、それに向かって左側の家屋郡と右側の家屋郡に別れている。 両郡に大きな違いはないが、左側の家屋郡の方がホリデー民宿の数が多い。案内板によると左側だけで40軒近くもあり、民宿をしていない一般民家数よりも多いのです。尚水道と電気は陸上と全く変わらなく供給されている。

  

水上家屋郡は狭い主通路が海岸に平行するように伸びその主通路のから細路が何本も広がってその回りに民家が建てられています、通路も家も名前通り水上つまり波打ち際に造られているので、床下高さが1mから2mぐらいあるのです(上の2枚の写真がその様子です)。引き潮の時は床下と通路下は泥の浜になり、満潮になれば潮が満ちてくるということですね。通路には昔ながらの木の通路に混じってコンクリート化した通路もあります。当然自動車は1台も通行しませんしできません。バイクと自転車が交通手段です。
下中の写真がコンクリートの通路で、その横のきれいな家は民宿です。

  

家屋郡は昔からの構造ですから、汚水と排水はそのまま床下につまり岸辺にそのままたれ流す仕組みです。従って、通路や各家の床下回りの汚さは相当なものです(上左の写真)。大きなごみだけはさすがにもう捨ててはいないようですが、長年捨ててきたごみが散乱し、環境面と美観面の両方から感心しません。さらにホリデー客目当ての民宿に改造しそれが乱立していることから、昔より排水汚水の出る量は各段に増えていると推測できます。
上右の写真は水上家屋郡で極少数派のマレー人家の少年がつりをしていたのを撮りました。

  

床下、通路下の浜には無数のMudskipperつまりムツゴロウが生息しています、大きいのは体長20Cm近くはあるみたいです(上右写真)。
左側郡には水上家屋に混じって華語小学校1校あり(上左の写真)、両郡ともそれぞれ数軒の道教寺院(上中の写真)と廟があります。これらは華人コミュニティーの象徴ですね。

民宿 ホリデーハウス

ククップというよりこの水上家屋郡にある宿泊施設はすべて民宿です。華語で”海上渡暇屋”と書かれています。とりわけこの数年改築した又は増築したと見られるぴかぴかで大きな民宿が多いのです。古い住家に混じっているのでその新しく大きな建物は誠に目立ちます。それだけこの水上家屋郡の民宿産業が好調であることを示していますね、それでなければこれほど多くの住家が民宿用に投資して改築・増築をしていないはずです。

どこの民宿も同じようなプログラムを提供していると見られ、3食つき、湾内にある養魚場見学、夜は水上ベランダでのバーベキューというメニューです。筆者の泊まった民宿では最低10人グループで1人当りRM75だとのことなので、ほかの民宿でも価格的には同じでしょう。またカラオケ設備、マージャン道具があることを看板に書いている民宿もあります。民宿は概して縦長で中には2階建てに改造した家もある。エアコン付き部屋に2段ベッドを入れて1部屋に7,8人詰め込むと言うスタイルで、バストイレは共同使用ですね。ここを訪れる客の大多数はこういう方式に抵抗がないのでしょう。

  

客層は当然ながら華人中心で、設備と食事の面からムスリムが泊まることはありえない、それもシンガポールからが多数を占めると推測されます。多人数の複数家族連れ又は友人グループがほとんどでしょう、こういう行動を好む華人らしいところですね。そうでないと1部屋が埋まらないわけです。筆者は1人だけでしたから、3ヶ所尋ねた民宿のどこでも不思議がられました。現実問題として、1人2人だけで訪れると休暇時期には別のグループと相部屋になり互いに不都合ですから、1,2人では訪れにくく感じます。

筆者の訪れた時期は学校休みの時期でもない平日でしたので、水上家屋郡には観光客のほとんどいない静かな時期であり、泊まった民宿も客は筆者一人でしたので素泊まりにしてもらい、部屋を独り占めできラッキーでした。上の写真2枚がその民宿の外観とリビングルーム内の祭壇です。ひんやりとした敷石が気持ちよいリビングルームで、泊り客もオーナー一家に混じってテレビ見たり雑談するスタイルです。もっとも英語は通じません。

養魚場
水上家屋郡からほど近い湾内にはざっと見て20近い浮かぶ養魚場が設置されている(下左の写真)。聞いたところによると稚魚を1年ほど生育させて、成魚になたところをジョーホールバルやシンガポールのレストランに卸すそうです。このククップの大きな産業といってもいいでしょう。

住家の軒先又は倉庫みたいな庭先でBelacanブランチャンを干している光景を数カ所見ました。数日天日で乾燥させるそうです。

 

2000年6月25日掲載