サバ州立鉄道乗車記


Keningau の中心、ミニバス等近遠郊行き乗り場前には中国寺院と中国型小学校がでんと構えている。
さてここから例のミニバスと呼ばれる乗合いバンでTenom に向かう。道路はもう辺ぴな山間のそれではない。きれいな舗装道路である。45分後Tenom 到着。小さな町なのでそこらの人に、「Kereta Api mana?汽車はどこ?」と聞けばすぐわかります。

百年以上の歴史を持つサバ鉄道

客車汽車?といってもディーゼル車だが、サバ州立鉄道である。サバ、サラワク、カリマンタンのあるボルネオ島唯一の鉄道網で英国北ボルネオ会社統治時代に建設された歴史ある鉄道だ。

筆者は約6年前にコタキナバルを訪れた時に乗りそびれたので、今回は是非乗るつもりであった。鉄道旅の好きな筆者はシベリア鉄道を始め数々の鉄道に乗りまくってきたのでこれはどうしても見逃せない。

最初はコタキナバルの始発駅 Tanjung Aru から乗るつもりだったが、Keningauに来た以上終点駅Tenomから上がり便に乗ればいいのだ。地元の人もTenom といえば”Kereta Api” というぐらい身近な鉄道のようだ。

本数が大変少ない

前にも書いたように筆者はガイドブック類は持ちませんので、観光局のパンフの地図に路線図が描かれているのをみてTenomに着いたのですが、出発時間がわからないので、列車が出たすぐ後でないことを願っていました。本数はものすごく限られてるでしょうからね。

「ラッキー」 というところ。規模以上に立派な駅舎に着いて時刻表を見れば、30分後の10時半に上り便が出るではありませんか。これに遅れたら午後まで待たねばならないのだ。
Tenom 発の時刻表(月から土)
Tenom - Beaufort
7:30発
Tenom - Tanjung Aru
10:30発
Tenom - Beaufort
15:00発


Tenom景色やっぱり本数は極少数である。つまり下り便も同じ本数だからTnjung Aru からTenom まで来るのは朝の1便だけということ。尚Beaufort 止まりが2本。

列車はすでにホームに入っており乗客が座っている。多少時間があるので駅舎の周りを散歩。しずかな田舎町である。駅前のサッカー広場の向こうにモスクが輝いていた。(右の写真)

列車は庶民の交通の足

客車内さてBeaufort まで切符RM2.8 を買って乗車。駅員に「Tanjung Aruまで一日1本だけなの?」 と確かめたら、にこり笑って、「そうだよ」 。 3両編成の乗客用車両はご覧のとおりです。さすが年代ものです。窓ガラスはなく日よけ窓のみ。

1両1両はたいへん小振りの車両で、はっきりいってぼろで汚い。別にそんなことはどうでもよいが。(写真左が客車の車内)

さらにディーゼル車には貨物車両やや自動車を積んだ車両も連結されている。
列車連結70年頃までは蒸気機関車が使われていたそうである。(先頭がディーゼル車)

定刻より5分ほど遅れて、ガーガーと列車は出発。旅行者は筆者と白人の一組だけ、あとはすべて地元の人だ。果物、飲み物のもの売りが乗車して狭い車両内を何回もうろついている。発車時に下車するのかな、と思っていたらその内の2,3人はそのまま車内に残ってしまった。

ジャングル内を走る気分

沿線風景Tenomを出てすぐ列車は山の中を走る。進行方向に向かって左側は大きな川 Padas River,であり、右側は大体が林か山ばかり、つまり川に沿ってジャングル内を走っている気分だ。

河川の流れが見え隠れし自然の風景はすばらしい。列車のスピードはものすごくゆっくり、時速3,40キロかな、でも風景を楽しむ旅行者にはこれぐらいがちょうどいいのである。

初めはゆるやかだった泥色の川がだんだんと急流に変わっていく。どこの地点だったか忘れたが、コタキナバルから川下りラフティングのツアーがある。 この水じゃ泥川下りですな。(右の写真がその川)

停車場でたびたび停車

停車場単線狭軌の列車は所々で停車する。驚くべきことにこんな辺ぴなところでも人が住んでいる、集落、時にはわずか数件の家しかなさそうな停車場である。軒先に停まるから、駅と言うよりも停車場と呼ぶのがぴったり。プラットフォームなんかもちろんないからバス停の感覚だ。

車掌が旗を振って再発進。またがたごとと列車は進む。

待ち合い駅舎この路線は生活路線そのものである。車内の床には収穫物や荷物箱などが無造作に置いてあり、老若男女乗客もさまざま。昼頃になって学校の目の前で停車したら、学校を終えた生徒も乗ってきた。通学にも利用するのか。
(右の写真は停車場の待ち合い舎、生徒が見える)

英国の置き土産をサバ州政府は整備し運航している、値段も安いし沿線の人には貴重な足であろう。まさにBorneoの列車というところだ。

サバ鉄道はIntraasia お勧めです

安全だしのんびりと乗車しながら風景を楽しめるから、このサバ鉄道はお勧めです。。コタキナバルのTanjung Aru駅(発10時)からTenom駅(着16時) までずっと乗ってもいいでしょうが、あまりに遅いので半日かかりますから、途中のPapar からかBeaufortから乗るとか、筆者のようにTenom − Beaufort間だけでもいいでしょう。とにかくこのサバ鉄道はIntraasia 一番のお勧めですよ。

そうこうしているうちにBeaufort 駅に着いた。2時間強の旅でした。昼すぎで腹も減っていたので、筆者は結局ここで降りてしまいました。あとでちょっと後悔したのですがもう少し乗って景色を楽しめばよかったと。ただこのBeaufortでは多数の乗客が降りてしまいます。コタキナバルなどへ行くには、ここから乗合いバンに乗り換えた方が早く着きます。この列車しばらく停車してから Tanjung Aruまで続行していきます。

Beaufort 発の時刻表(月から土)
Beaufoet - Tenom
8:15発
Beaufoet - Tenom
13;30発
Beaufoet - Tenom
15:10発
Beaufort - Tnjung Aru
13:05発


いくつかのサバ鉄道駅舎はりっぱな建物

Beaufort駅このBeaufortの駅舎(右の写真)も立派で列車のおんぼろさとは似合わないのがなんともいえません。バスの車窓から見たTanjung Aru駅はKLの高架鉄道駅かと見間違える建物です。ここらが面白いですな。

さてヒ筆者は当初Beaufortに着くまでは、そこに1泊でもしようかなと考えていましたが、Beaufortがあまりに普通の田舎町なので、考えを変えて、予定より一日早いけどコタキナバルへ行くことにしました。

蒸し暑さでぶらぶらする気もせず、昼食後、気長に待った乗合バンに乗り、1時間半後コタキナバルのバス・バン乗り場に着いたのです。

1997年12月4日

新聞に載った情報から - 2000年8月10日に追記

North Borneo Raylway
英国製の蒸気機関車を使ったノスタルジア鉄道の旅
植民地時代仕様の客車5両連結、定員180名。加えてバー車両1台連結。
運行路線:Kota KinabaluのTanjung Aru駅と Papar間の往復66Km、運行日:水曜日と土曜日
料金:大人RM160、子供RM130、昼食付き

運行社:Setera Harbour Resort とSabah State Railway庁の合弁事業
問い合わせ:088-253131, 又は088-263933


サバ州鉄道の改良工事は遅延している  −2009年7月3日の新聞の記事から

サバ州立鉄道を改良するプロジェクトは当初昨年8月に終わるはずでしたが、技術的な問題で遅延しています。改良する134kmの線路において、とりわけbaufort- pangi 区間では線路を移す作業に技術的に支障が出ています。これは土地が十分でないことです。また petagas 地区でも線路架設に土地の問題がでています。

2005年11月に開始された改良工事では 60ポンドの線路を80ポンドの線路に変更します、80ポンド線路はマレー鉄道が使用しているものと同じです。さらに 10の駅を新設し、3つの駅を改良します。プロジェクトではさらに新しくディーゼル機関車を購入します:2機が客車用、2機が貨物用です。そしてマラヤ鉄道から改装した3台の客車も得ます。 こうした新規編成によって、乗客数を現行の1列車あたり100人から210人に増やせることになります。 現在工事のため Tanjung Aru - Papar 間は運休中で、Papar −Tenom 間だけで運行しています。