「今週のマレーシア」 2009年1月から3月分のトピックス


・ マレーシア映画2本にはいささか失望し、台湾映画1本には賞賛を覚えた  ・ヨガを実践することは反イスラム教的なのか
・ マレーシア語紙の身の上相談ページから   ・数字で見たマレーシアシリーズ その33
・ ”マレーシアマイセカンドホーム”プログラムの最新規定と条件を一覧し、参加状況を考える
・ Intraasia の雑文集 −2009年第1四半期分



マレーシア映画2本にはいささか失望し、台湾映画1本には賞賛を覚えた


これまでにもこの「今週のマレーシア」で何回か映画コラムを載せてきましたように、Intraasia は昔から映画好きですので毎年かなりの数の映画を見ます。なお 100% シネマ・映画館へ足を運んで観るのであり、VCD/DVD の形で観ることは例外なくありません。
そこでこの1ヶ月の間に観た中から、純マレーシア製作映画2本と台湾映画1本についてここでちょっと書いてみます。

広東語格闘技映画 ”Kinta”

「新聞の記事から」の12月10日の記事で紹介した作品 Kinta(近打)にはがっかりしました。

記事を再録
マレーシア初の全面的な格闘技映画 Kinta が公開されました。この映画は今年のカンヌ国際映画祭に出品され、中国と日本とヨーロッパの配給会社がそれぞれ配給権を購入したとのことです。さらに米国で通常の映画館で公開される初のマレーシア映画にもなりそうです。ここまではこの映画Kinta は大きな成功になりそうだと言えます。しかしマレーシア華人監督が最初狙ったものとは大きく違う作品になりました。

2年前にこの映画を製作する前には、初のマレーシアの華人格闘技映画という歌い文句でした。主演はマレーシア華人で元世界武術選手権優勝者を起用し、さらに全国武術大会優勝者3人も配役に加えました、加えて中国からは太極拳のチャンピオンを呼んで出演させました。監督は当初のタイトルである Kinta 1881 の映画のあらすじを、マラヤに移住してきた華人の歴史を描きたい、1881年以降のその歴史を描きたいと語っていました。しかし制作費は予定を超えて、RM 400万になり、タイトルもKinta に替わり、公開が予定より7ヶ月遅れました。フィルムのカットと編集にかかたのです。

その結果当初狙った映画とは程遠い、格闘技のアクション映画になりました。「この映画は国際市場を狙った商業映画です。多くの金を投資しました。最初我々は西欧市場に売ることなど考えていなかった。その内カンヌで上映されて外国の配給者から多くの興味を得ました。そこで投資した金を稼ぐためにマレーシア市場だけに頼ることはできなくなりました。」 これまでにKinta は14カ国の配給会社に売れたとのことです。その結果こういった外国配給会社の要求に答えるために、映画は劇的に変化しました。「彼等はもっと娯楽性を要求したし、90分以下に上映を収めなければならなかった」 と監督は説明します。

こうしてマレーシア華人のルーツを描く映画は4人の兄弟が復讐するアクション映画に変わりました。「西欧人は十分なアクションと武術を要求し、歴史を描くのは好みません。」 アクションの振り付けは香港から専門家を招きました、それが映画の良い部分になっています。「俳優たちを大変誇りに思います。」
以上


映画は19世紀後半の Ipohにおける中国からの移民若者の行動を描いたものです。よって題名の Kinta はイポーが地理的に位置する Kinta 渓谷から取られたものだと私は思いました。会話は(イポーやクアラルンプールの華人界で広く話されている)広東語であり、このあたりは香港のカンフー映画を髣髴させました。しかし香港のカンフー映画を長年見慣れている目からいえば、格闘場面の描き方が下手と映ります。筋書きも簡単であり、出演者の演技もいま一つであり、音楽もなんら効果的でありません。これはIntraasiaだけの決め付けでないことは、私が見たときの観客の少なさからもよくわかります。口コミ評判が良くないので観客が増えなかった、よって2,3週間で公開は打切られました。

マレー人も途中で重要役として登場し、マレーシア語の会話も挟み込まれるというマレーシアらしさがあって、この点は良いのですが、いかんせん本来の格闘場面と、観客を引き付ける俳優の存在感の欠如が泣き所です。素人俳優だからというのではありませんよ、素人の映画初出演でも観客を引き付ける映画は多々ありますからね。

Kinta(近打)はマレーシア華人製作・監督で主たる俳優もほとんどマレーシア人、台詞は広東語でマレーシア語が混じるという、これまでにもほとんど例のない、意欲的な作品であることは多いに評価します。しかし残念ながら各国で観客をたくさん引き付ける作品とはいえないというのが、Intraasiaの正直な感想です。 A,B,C,D の4段評価で言えば、Kinta(近打)はC級作品としておきます。

マレー映画 Cicak Man 2

マレー映画 Cicak Man は2006年のコラム第483回 『マレーシア独自のスーパーヒーロー映画”Cicak - Man”をご覧になりませんか』 で紹介した佳作です。この続編 Cicak Man 2 が製作されて約2年ぶりに公開されました。公開後1週間ぐらいしてからの12月中旬 Intraasia は観に行きました。観客席の圧倒的な空きの多さに、「あれ、意外だな」 と思いました。そして観終っての感想は、「なるほど、だから前ほど観客の熱気が感じられないんだ。」 と今回マレー人映画ファンに大きな興味を巻き起こしてない理由がだいたいわかりました。

映画はKRU Studioが共同制作し、監督は前作と同じく KRU3兄弟の1人である Yusry です。さらに主要出演陣も前作とほぼ同じで、主役 Cicak Manはマレー映画喜劇俳優No.1の Saiful Apek、悪役 Klone 教授を務めるのは、マレー芸能界で長年トップパーソナリティーの地位を保つ Aznil Nawawi です。ヒロインを務める女優 Fasha Sandha もまた登場しています、ただ彼女ははっきり言って大根俳優ですな。主役男優2人の芸達者なことは変わりありませんが、しかし作品にはいささか失望した感想を抱きました。スパイダーマンに似せ過ぎだ、とまず感じました。そしてコンピュータグラフィックスにもう少し改善の余地ありではないでしょうか? なぜなら現今の観客はハリウッドの素晴らしい特撮効果を見慣れているので、Cicak Man 2 がコンピュータグラフィックを使用する限り、どうしても比較する気持ちが働いてしまいます、するとやはり見劣りするのです。 作品の場面や音楽が www.cicakman.com/ でご覧になれます。

特撮映画の狙いを多少表に出し過ぎたことで、マレー映画のほのぼのとした軽妙さが薄れてしまったことが、今回の続編を前回並みの大成功作にできなかった(多分そうなるでしょう)原因ではないだろうか?

12月26日の「新聞の記事から」を以下に再録しておきます。

今月11日からマレー映画 Cicak Man 2: Planet Hitam (ヤモリ男:黒い惑星 という意味です)が全国公開されています。この映画は、2006年に公開されて好興行成績であるRM 600万を稼いだ Cicak Man の続編で、監督は前作と同じく KRUのYusry です。今回は公開されて2週間たちました、興行成績目標のRM 500万達成は無理ではとの観測が流れています。興行目標の達成はできないという事実は、前作の記録を破れないということにもなります。

両作品を製作したKRU Studio の社長 Normanによれば、当初のチケット売り上げの目標はRM 500万を超えます。しかし公開以来現在までの時点で売り上げた額はRM 270万です。「Cicak Man 2が失敗だとは思いません。この作品は興行売り上げでRM 350万を稼ぐと思います、そして映画公開以外での収入を加えればRM 500万を達成できると確信しています。」と彼は語る。「これには来年公開予定のインドネシアとフィリピンでの興行を含み、さらにビデオ販売、テレビでの公開権なども含まれます。」

このRM 500万目標がたとえ達成できなくても、この状況は失望とはなりません。 現在のように1つの特定時期、つまり学校休み時期に多くの映画が公開されれば、まず第一に収入面からいえば必ずや問題をもたらすでしょう、それは観客にとって映画選択種類が多いからです。Normanは言う、「毎週ハリウッド映画が公開され、2週間ごとに地元映画が公開される、これが映画状況を困難にしている。」
マレーシア製作の映画がいくつも重なって公開されないように、防御策が必要だと、彼は主張する、同時に各映画の低興行収入に対して何かをしなければならないと。
以上

Cicak Man 2は決して失敗作でも駄作でもありませんが、Intraasiaの期待水準に至っておらず、ちょっと残念な出来具合といえます。そこで4段階評価でいけば、B級作品としておきます。

台湾映画 ”海角7号”

3つ目の映画 海角7号(英語タイトル名 Cape No.7 ) はマレーシア製作ではありませんが、華語新聞だけでなく英語紙でもそれなりに報じられた、世界の中文映画界で最も権威ある国際映画賞である第45回金馬奨で最優秀映画賞に輝いた作品であることと、日本人俳優が出演しているということから、この映画批評に加えておきます。
この映画が日本で既に公開されたかどうかは、日本語メディアをまったく読まない見ない Intraasia は知りません。しかしこの映画に関しては日本でもかなり報道されたであろうことは、日本人俳優の活躍から容易に推測できますね。

当地の英語新聞の映画紹介欄で紹介され、且つ公開予告案内を見てから、Intraasiaはこの映画を俄然見たくなりました。その1番の理由は、台湾で開催された第45回金馬奨の最優秀映画賞に輝いたということよりも、台湾製作の映画が過去のどんな中文映画をもしのぐ興行成績を上げたと紹介されこと、及び主演の1人である日本女優が華語を習い華語で台詞をこなしているという説明を新聞(もちろんマレーシアの新聞)で読んだことです。

注:中文とは狭義にはいわゆる中国語ですが、ここで使われているように広義には華語、広東語、福建語などの漢語圏の言語全体を指します。

マレーシアでの台湾映画の公開数は香港映画の10分の1以下にも満たりません。つまりごくごく少ないので、台湾映画が全く公開されない年もあります。しかしこの作品は第45回金馬奨の最優秀映画賞に輝いたことからマレーシアでも公開になったと推測されます。新聞の映画紹介を読んだ時点で、観客対象は華人以外はまず考えられない作品だと思いました、そして1月初めに実際観た後もその感想は変わりませんでした。字幕は華語と英語であり、通常の映画には必須であるマレーシア語が入ってないこともそれを証明しているでしょう。

日本の台湾植民地化が終わった時点で日本に帰国する青年が恋人に宛てた手紙を読むモノローグで映画は始まり、その手紙読み上げモノローグが映画の随所で挟み込まれるという手法を使っています。物語りの舞台である台湾のある町で行われる日本人歌手のコンサートの前座を務めることになった地元人音楽好きの一連の行動を通じて、話は進んでいきます。台湾有名歌手であるそうな主演男優 范逸臣の相手を務とめる日本人女性役に日本人俳優を起用し、その彼女の台詞のほとんどは華語であるというところにユニークさがあります。なお映画の台詞の3分の2ぐらいは台語つまり台湾の福建語であり、そこにこの映画は”台湾映画である”という強いメッセージが感じられます。

日本人を戦争時の敵役というような扱いではなく物語の普通の主役級として起用し且つ台湾人と日本人の間に起きる恋を描く、というこの種の映画が製作されることは、中国と韓国ではまずありえないでしょうから、両国に比してずっと反日感情の薄い台湾ならではの作品だと Intraasiaは思いました。日本人をこういう風に登場させたことは私には非常に新鮮に感じました。Intraasia はマレーシアでこれまでに香港映画、その99%は広東語映画、を数百本見てきましたので、香港映画にしばしば登場する日本人と日本像にはたいへん通じています。香港映画で描く日本人はほとんど反日本人像はありませんが、物語の舞台・背景・道具・脇役としての日本人または日本という描き方がほとんどです。過去に日本人女性が香港スターの相手方として準主役を勤めた作品もありましたが、彼女は終始日本語を話していました(広東語映画なのに)。

注:シンガポールでは香港映画は華語に吹き替えられて公開または放送されます。マレーシアではそんなことはありません。

映画の主題にはここでは触れません、ただなぜ台湾でそれほど人気が出たのかはなんとなく判ったような気がしました。田中千絵という日本人女優のことは全く知りませんでした、演技自体が際立って優れているとはほとんど思いませんでしたが、ちょっと声調の外れた華語台詞を上手にこなし映画の配役中にうまく溶け込んでいる感じがしました。その点には感心したところです。

マレーシアの新聞の外報欄に、この女優の発言として、今後は海外(華語圏)を基盤として活躍していきたいという趣旨の発言が載っていました。これはこの3番目の映画批評でIntraasia の強調したいポイントです。日本歌手陣と俳優陣はなぜ未だに日本に固執しているのと以前から強く感じています。Intraasia のコラムでJ POPS の話題コラムを載せて約10年経ちました。その間に数十本の現代若者向け日本映画がマレーシアで公開されました(ただし私は観ていません)。しかしコンサートを開催または歌手活動のためにマレーシアにやって来た有名歌手は1人もいません。出演映画の宣伝でマレーシアにやって来た日本人有名俳優は数人程度いたかどうかです。日本人歌手と俳優、米国かぶれしたその取り巻きとプロダクション連中の頭には、東南アジアはエキゾチックな料理、青い海と白い砂浜のイメージは浮かんでも、芸能活動・芸能ビジネスの地としてはシンガポール、せいぜいよくてバンコクしか浮かばないのでしょうな。

日本人歌手と俳優の夢は未だにハリウッド進出なのでしょうか? ハリウッド映画に出演すればステレオタイプの日本人役しかありえない、これまでもそうだったし、今後も所詮変わらないでしょう。 日本人歌手と俳優はもっとアジアへ出て行くべきではないだろうか。 日本のマンガとアニメとキャラクターは東南アジア中に広がり人気を持っている、日本の受け入れやすさの下地はある。後はそれをいかに利用していくかでしょう。そのためには当然十分なやる気が必要ですよね。 タイ語を習いタイ基盤にタイ語でテレビや映画に出演する、マレーシア語またはインドネシア語を習いマレーシアとインドネシア圏で活躍する基盤を探る、華語を取得し台湾、香港、マレーシアやシンガポールの華語芸能界に足場を築く、広東語を覚え香港芸能界に足を踏み入れる、そんな日本人歌手または俳優が近い将来現れて欲しいものです。Intraasia はもう10年以上それを期待してきました。映画 ”海角7号”の田中千絵という女優を応援したい気持ちを抱いたのはこういう Intraasiaの主張にいくらかの希望を与えてくれたからなのです。 

最後に映画の評価を4段階評価すれば、”海角7号”は金馬奨の最優秀映画賞に輝いたことに納得のいく A級作品としておきます。



ヨガを実践することは反イスラム教的なのか


マレーシア国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会が、ヨガはヒンズー教発祥ゆえにムスリムがヨガを実践することはムスリムの信仰とあり方に反するとして、ムスリムのヨガ実践を禁止する裁決を、昨年11月後半に行いました。この件は少し前から話題になっていたので、ムスリム社会だけでなく非ムスリム界からも論議がさらに沸き起こりました。

10年以上前には別の裁決(Fatwa)が話題を呼んだ

国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会の発する裁決といえば、あまり古くないできごととして次のようなことがその当時ニュースになりました。

1997年にミス小柄マレーシアコンテストに参加して起訴されたクアラルンプールのムスリム女性2人が、クアラルンプールのシャリア高裁で罰金刑を判じられました。これは、ムスリム女性はミスコンテスト類には参加してはいけないという fatwa (裁決)に反したからであり、連邦直轄領1997年シャリア刑法に基づいて裁かれました。 またこの同じコンテストに参加したスランゴール州のムスリム女性3人もスランゴール州の同様の fatwa 裁決に反したかどで、スランゴール州のシャリア刑法に基づいて起訴されシャリア法廷で裁かれて罰金刑を受けました。当時このミスコンテストをイスラム教当局が取り締まった際、参加していたムスリム女性が手錠をかけられ留置所に送られたことが社会の関心を呼んだニュースになったことを、私は覚えています。

首相のイスラム教に関する相談役の説明

イスラム教学者から構成される国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会は、ムスリムの生き方・生活に関する事柄に関してある種の疑問屋疑いが発生した場合、そのことがイスラム教の観点から許される(halal ) のか、許されない(haram) のか、を決めて裁決を発するとのことです。アブドゥラ首相のイスラム教事象相談役を務める人物の説明によれば、「国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会にはそういった疑問を深く審議して裁決を発することが委ねられている」 そうです。そして「マレーシアにおいて、国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会はムスリムにとって halal なのか それともharamなのかはっきりしない事柄における指針を提供するという重要な役割を持っている。」 そうです。「よって、裁決は非ムスリムに及ぶことはないので、非ムスリムは何も心配する必要はありません。」

とはいえ、ヨガのような多くの人が実践しているかどうかはともかく、少なくとも名前は極めてよく知られている事柄・事象に関して、国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会の裁決が出されれば、非ムスリム界としても関心が沸くのは不思議ではありませんね。

イスラム教に関しては各州にその決定権がある

マレーシアは連邦制の国家です。そこでイスラム教に関する事柄は各州が独自に決定する権利を持っており、具体的にはその州のイスラム教守護者である州スルタンが任命する、州のイスラム教裁決(Fatwa)理事会が決定して官報で広報化する仕組みだそうです。推し量れば、究極的には州スルタンが最終的な決定権を持つということになるのでしょう。スルタンがいない州は国王がスルタンの役割となります。

裁決が官報化された、つまり法律となった時点で、この裁決を論議したり無視したり反抗したりするのはシャリア刑法の下で罪となる、という解釈だそうです。 しかし上記のとアブドゥラ首相のイスラム教事象相談役は、布告がまだ法律となっていない段階であっても、見識あるイスラム教学者が裁決したことゆえにその裁決は尊重されるべきである、と主張しています。

過去の裁決fatwa の例

裁決の内容とその後の結果をいくつか例示
裁決の内容発せられたが未官報官報で広報化された年月
ペルリス州・ケダー州喫煙を禁じる官報化されていない
ペナン州ホステスとして働くことを禁じる
2005年10月
ヌグリスンビラン州髪の染色を禁じる官報化されていない
スランゴール州産児制限を一般大衆に奨励することを禁じる
1973年11月
ミスコンテストに参加することを禁じる
1996年2月
携帯電話の文字通信を使って各種コンテストに
投票・参加することを禁じる

2005年4月
サラワク州 特別指針に従う場合だけ、臓器を提供または
もらうことを許可する
官報化されていない


裁決(Fatwa)理事会の裁決に疑問を呈する意見もある

国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会の議長は、10月の理事会で真剣で深い討論をした後に、ヨガは禁止すると裁決したのです、と説明しています。「ヨガの歴史と目的を含めて調査しました。ヨガはムスリムの信仰に影響を与えかねないので、ムスリムが実践するのは不適当です。」

シャリア法弁護士の中には裁決(Fatwa)に関して疑問を呈する者もいます。いわく、イスラム教当局は裁決(Fatwa)をしばしば絶対的なものとして扱う、しかしその裁決が法律化される前に一般ムスリム大衆がその裁決に意見や疑問を述べる方策があるべきである、と。「例えばヨガに関する裁決の場合、一般ムスリムがイスラム教裁決(Fatwa)理事会に宛てて、その意見を覚書の形で提出できるようにすべきである。」

イスラム教的非政府組織である Jamaah Islah Malaysia の議長はこの弁護士の意見に同意を示して、「裁決fatwa は理事会がその意見を基に審議した提言です。それは裁決としての重みを持つのではあるが、他の政府決定と同じように我々はその裁決に疑問を呈することはできる。ただそれが宗教的裁決なので、人々はより敏感なのでしょう。」と語る。 イスラム教政党のPAS党の研究部の長は語る、「国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会はその裁決に関してもっと上手に知らせるべきである。一律に禁止するようなことはすべきではない、ヨガに関しては何が許され、何が許されないかを決めるべきです。」

この記事を書いた英字紙の記者(マレー人)は、国家イスラム教裁決(Fatwa)理事会はその裁決の理由に関してもっとオープンであるべきだと考えるムスリムが多い、と書いています。もっともIntraasia には本当にそうなのかどうかを検証する術はありません。なお付け加えておけば、こういった事象に対するイスラム教裁決とかムスリムにおける女性の権利といったような議論は、都市部のムスリムの間で関心を呼んでも、地方や田舎のムスリム界の間ではほとんど話題にならないというのは、事実だと言われています。ヨガのコースに通ってヨガ実践するのはほとんど都市部の人たちであると言えるのではないでしょうか。

クアラルンプールの高級地でヨガクラスを長年主催するマレー女性は主張する、「ヨガは宗教基盤ではないので問題ありません、ヨガは健康の科学です。世界にはヨガを実践しているたくさんのムスリムがいるのです。」

Sisters in Islamは 裁決そのもの見直しを主張する

活発な発言で知られる、ムスリム女性のグループ Sisters in Islam は主張する、「マレーシアにおいて必須としてまた拘束するものとしての裁決(fatwa) 自体を政府は見直すべきです。裁決が自動的に法定化されることになるというのはイスラム教法の理論と実践に基づかないという理由から、我々は主張しています。裁決は時に連邦憲法に合致しませんし、人々の間に困惑を巻き起こしています。」 「我々は反fatwa ではないが、他のイスラム世界を見れば、イスラム教司法とイスラム教歴史では fatwa は決して法的な立場を持っていません。マレーシアではfatwa に反する者を犯罪者扱いにしています。」

しかしアブドゥラ首相のイスラム教事象相談役を務める人物は、Sisters in Islamのこうした主張には同意しません。「fatwa に反するのは犯罪です、なぜならそれはイスラム教に反する罪だからです。イスラム教を信仰すれば、その法に拘束されるのです。」 

非ムスリムとして傍観者的立場から主張を知っておく

こうして、イスラム教の守護を背景にした宗教当局側の論理と決定が、いわば進歩的または当局から見れば造反的な一部のインテリ・中流ムスリムの捉えるイスラム教観と食い違いや衝突を起こしてきたのは、ヨガ実践禁止裁決が話題になるずっと以前からしばしばあることです。現場で知ることはできなくても少なくともマスコミが話題にすることから、イスラム教観の食い違いや意見衝突が存在することが、非ムスリムにもわかるわけです。もちろん非ムスリムがこうした議論に口出すのは慎んだ方がいいでしょう。

非ムスリムに影響をもたらさない限り、非ムスリムはあくまでも傍観者ですが、それでも同じマレーシアという国土内で起こる、起こっている事柄ですから、それを知る権利はあると言ってもいいでしょう。Intraasia はそんな立場からこの「ヨガを実践することは反イスラム教的なのか」という題材を取り上げて、主として新聞の特集記事を基にして訳しながら書いてみました。



マレーシア語紙の身の上相談ページから


マレーシアのムスリム界に特有の問題に関しては、いうまでもなくマレーシア語紙が一番細かにさらに頻繁に伝えていることは間違いないはずです。他言語紙の場合、その読者層から華語紙がムスリム界特有の問題を取り上げることはまず珍しいでしょうし、英語紙の読者層は多民族に渡っているとはいえ、ムスリム界特有の問題に的を絞る頻度と記事量はマレーシア語紙に比べればずっと少ないことは明らかです。従って、ムスリム界の特有の問題はやはりマレーシア語紙を読まないとよくわかりません。

そこで2008年12月のマレーシア語紙 Utusan Malaysia のいわば身の上相談ページに載っていたある相談と回答の記事を全訳してみました。法律的解説が絡むこともあって、翻訳にはかなり骨の折れる文章です。そこで堅い調子の日本語文になりましたことをご了承ください。

相談者はスランゴール州のムスリム女性であり、回答者は、同相談の定期回答者であると推測される、Sisters In Islam です。これまでにも当サイトで紹介したことがある Sisters In Islamは、マレーシアのムスリム女性を啓蒙していこうと積極的に発言しているムスリム女性グループです。
以下はその身の上相談記事全文です。

スランゴール州のあるムスリム妻から、夫が複数妻を娶ったことについての質問

質問
つい最近私は夫が他の女性と結婚していることを知りました、それはその秘密の妻が送った電子メールを偶然読んだからです。私がそのことを夫に尋ねたら、彼はその女性との結婚を認め、すでに2人の間には子供が1人いるのです。私が失望したことは、私の許可なく夫はどうして結婚できたかということです。なぜなら夫が複数妻を望んでいると私がひとたび知れば、夫は多妻制になることに同意を宣言する第一妻の署名を得なければならないからです。

回答
夫が妻に知らせることなくまたは妻の同意なく多妻制に入るのは、わが国では何ら目新しい問題ではありません。しばしば提起される問題は、夫の複数妻娶りに対して同意があることは、一つの責務なのか、それとも単に通知するだけにふさわしいことか、ということです。

マレーシアのイスラム諸法の法規を参照しますと、一夫多妻制に関することは手続と実践の面からまだあいまいといえます。2003年イスラム家族法(スランゴール州)の第23項において、夫は多妻制になるためには書式の許可を得てそれを裁判所に提出しなければならないと規定しています。一方その法規の第23項(4)では、一夫多妻制を望む夫のためのいくつかの手続の要点を述べています。

裁判所は、一夫多妻のために夫が提出することになる理由に関して仔細に考察します。それには次のようなことが含まれます:

さらにその法規の23項(5) では、裁判所がその申請を受理したら、裁判所は夫、現在の妻、娶られることになる妻、その娶られることになる妻の後見人、さらにその婚姻に関して説明できる者たち、を呼び出すことになると説明しています。

夫の複数妻を娶る申請に関してそれぞれの意見を述べるために、裁判所が現在の妻を呼び出した事例をいくつか経験しました。 これは実際一つの合理的な行動なのです、なぜなら現在の妻はすでに夫と何年もいっしょに暮らしており、彼女は他の誰よりも夫のことをよく知っているからです。
複数の妻の間において公平に振舞うための夫の能力に関する問いは、決定を行うために重要であり、現在の妻以上に適した意見を述べられる者は他にいません。

スランゴール州では、一夫多妻制を申請しようとする夫は、討論と相談及び指示を得るためにカウンセリング講座を受ける必要があります。
そして、夫は一夫多妻制を申請する用紙である 1B書式 に記入しなければなりません。その後夫は2人の男性証人を伴って、そのモスクの行政区における登録官の長または登録官または準登録官または登録官補の面前で、宣誓保証を行います。そこに示されているように、その原則方式が同意に関する法規の規定にあるとしても、一夫多妻制を許可する中でシャリア法廷は妻を合理的な考慮の一つだけとして見ています。しかし現実としては、妻は申請書類に署名をするだけにやって来るように求められます。

そうではあるのですが、該当法規の第23項(8) では、もし夫が決められた手続を守らない場合は、夫は現在の妻に花嫁時の持参金と贈答品の額を払う必要があると書かれています。

あなた(質問の女性)にお知らせしておきますと、現在の妻への生活費支払いを請求することについては裁判所が管轄権を持っています。このほかにも裁判所は、夫婦共同財産またはその夫婦の婚姻期間中に所有することになった物全てについて夫と妻の間で分配する命令においても管轄権限を有しています。このことによって妻は、共同で所有している全ての資産のような夫婦共同財産の分配に関して、裁判所のくだす一つの命令となるように、裁判所に申請することができます。
この申請は該当法規の第23項(10)に記述されています。

結論として次のように述べることができます、夫が多妻になることに許可を与える妻の同意は、2003年イスラム家族法(スランゴール州)を参照した1つの手続です。

あなたは財産または上記で述べたような資産に関して、あなた自身及び子供の必需であり重要であるとして、シャリア下級裁判所に申し立てを行うこともできます。

ここで説明しましたことがあなた(質問者)のお役に立つことができますことを願っています。なにか質問がある場合は、私たち(Sisters In Islam) またはお近くの訴訟扶助事務所に連絡してください。
以上翻訳終わり

ひとこと

イスラム教では夫は4人まで妻を娶ることができる、という漠然とした知識は非ムスリム社会にも結構知られていることではないでしょうか。世界のイスラム世界を論じることは、その多様性から専門家でない限りまず無理なことです。そこでこれまで長年マレーシア情報を追ってきた者として、マレーシアのムスリム社会だけに目を向けると、4人もの妻を持っているマレーシアムスリムは極めて極めて稀であると言えます。

では2人の妻がいるムスリムの場合はどうでしょうか? どれくらいの割合かははっきりした統計が現れないまたは目にしたことがないので、わかりません。しかし2人目の妻を娶る話題がしばしばマスコミに載ること、巷で聞く話などから、2人の妻を持つマレーシアムスリム男性は多いとは言えないがしかし珍しいとも言えない、と結論付けても間違いではないでしょう。この際に第1妻側が多いに問題視するのが、この身の上相談記事になっている事柄のようです。この問題が最大の問題なのかどうかは知りませんが、典型的な問題だそうです。
イスラム法に基ずく限りこの問題は非ムスリムには全く関係ありませんが、マレーシアの一つの面としてここに紹介しておきます。



数字で見たマレーシアシリーズ その33


これまで断続的に掲載してきた 数字で見た シリーズです。マレーシアに関する様々な統計数字を掲載しています。ここでは、数字を視点にしてマレーシアの諸面を知ってください。

外国人訪問者数と日本人訪問者数

ツーリズムマレーシアが発表している公式統計を基にします。
外国人のマレーシア観光訪問者数 国別統計
トップ10国名
2008年
対2007年の増減率
1位
シンガポール
11,003,492
4.9%
3
タイ
1,493,789
- 8.1%
2
インドネシア
2,428,605
34.6%
4
ブルネイ
1,085,115
- 7.4%
9
フィリピン
397,884
21.6%
5
中国
949,864
21.25
7
日本
433,462
17.9%
韓国
267,461
18.9%
6
インド
550,738
30.4%
米国
223,249
9.0%
8
オーストラリア
427,076
33.3%
10
英国
370,591
34.2%



世界中からの総数
22,052,488 人
5.2%

注:観光訪問とはいわゆる社会訪問パスで入国した人たちを指します。いわゆる労働、留学、家族ビザなどによる滞在はこの範疇ではありません。

1位から4位まではマレーシアの隣接国であり、こういう国からの出入国者が多いのはいわば当然ですね。隣接してない国としては中国が群を抜いて多いことがわかります。ただその国の人口に対する訪問者数の割合から言ったら、オーストラリアが非常に高いことになります。人口比での面で12億人の中国はまったく比べものにならない低さといえますが、マレーシア当局とビジネス界は誰もそういう観点を持ちません。訪問者の数の多さが一番注目されます。

年別の日本人観光訪問者数 単位 人

2000年2001年2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年
日本人455,981 397,639 354,563213,527 301,429 340,027354,213 367,567433,462
全世界からの総数1020万1270万1320万1050万1570万1640万1745万2090万2200万

マレーシアへの観光訪問者総数が初めて1000万人台の大台を超えたのが、2000年です。そこで上表でおわかりのように、日本人の訪問者数が全世界からの訪問者総数に占める割合が最も高かったのは2000年です。2002年以後はずっと 2%前後ですね。久しぶりに40万人台に乗った2008年ですが、それでも全世界からの総数が増えているので、割合的にはほとんど変わりありませんね。日本人の訪問者数が今後大幅に増えることはまず考えられないので、訪問者総数に占める比率にはほとんど変化は期待できないでしょう。

2007年世帯月収入調査  −マレーシア統計庁出典

世帯月収額 RM マレー人華人インド人カダザン人オランアスリその他
1,000以下
301,000
50,900
29,000
29,300
7,500
78,800
1,001 - 2,000
976,500
338,300
125,300
38,800
9,800
207,200
2,001 - 3,000
614,700
300,800
121,500
15,300
2,500
89,900
3,001 - 4,000
380,500
234,700
73,300
8,900
1,000
44,600
4,001 - 5,000
254,700
166,600
44,800
6,900
200
24,600
5,001 - 10,000
419,200
368,400
76,800
13,400
-
36,500
10,001 - 20,000
85,700
118,700
23,400
800
-
6,700
20,000を超える
16,500
27,900
3,600
-
-
1,500

この統計はたいへん重要で興味深いものです。
(典型的中流といえる)RM 5,001 - 10,000の層を見ると、マレー人世帯が419,200、 華人世帯が368,400、インド人世帯が76,800、サバ州先住民族であるカダザン人世帯が13,400、その他36,500世帯 です。(上流と呼べる)RM 1万以上の層の世帯数は、マレー人が102,200、 華人が146,600、 インド人が27、000、カダザン人 800、その他 8,200です。
一方貧困世帯である、RM 1000以下の層は、マレー人 301,000、華人 50,900、インド人 29,000、カダザン人 29,300、オランアスリ 7,500、その他78、800です。

まず外国人居住者を除いた国民人口に占める割合は、マレー人 55%、華人 25%、インド人 8%弱、(サバ州の最大先住民族)カダザン人 数%、オランアスリ 1%にはるかに満たない、という前提を知っておいてください。 貧困世帯ではマレー人が最多ですが、その反面中流層も42万、上流層が10万というように、マレー人社会のおける格差の大きさが目立ちます。華人社会が一般に所得が多いというのは事実であり、中上流層においては人口比よりずっと高くなっていますね、でも貧困世帯が5万あるという事実もご覧ください。極少数民族であるオランアスリはその貧しさが数字でも証明されています。

外国人労働者の平均月収

外国人労働者の平均基本月収に関する統計です。職に従事する業種によって違いがあり、 大衆食堂・レストラン RM 573、 農業・農園 RM 628、 ホテル業 RM 697、 市場(いちば)RM 853、 建設業 RM 952

世銀の報告書でマレーシアの実質賃金の伸び率低下を指摘

世界銀行が発行する「2009年世界開発報告書」の中にある、”東アジアにおける経済地理再形成報告”の部の中で、世銀の専門家である著者のYukon博士がマレーシアの賃金傾向を分析しています。その概略です:

インフレーション率で修正した実質賃金の年間平均伸び率の比較 ( 1998年に東南アジア経済危機が起こりました)
輸出指向の産業(電子電気、石油化学、繊維皮、木材家具など)の場合 1994年−97年期は 5.6%、 1998年−2007年期は 1.9%
国内中心の産業(運輸設備、その他製造、食品、タバコ、非金属など)の場合 1994年−97年期は 6.8%、 1998年−2007年期は 1.45%

著者は、実質賃金の伸びはこの10年間の国内総産高の下落に歩調を合わせていると、分析しています。マレーシアのこの20年間において、サービス産業が国内総生産高に寄与する比率は、1987年 46%、2007年 46%というようにほとんど変化していません、そこで著者は言う、「この10年マレーシアは経済価値連鎖を成功裏に押し上げていないことを示している、」 政府翼下にある経済計画部の長官は言う、「この世銀の報告書は世界経済を新鮮な捉え方で見ている。」

公務員の年金最低額は月額RM 720

公務員で勤続年数25年以上の人は、退職後の年金最低保証額が2009年1月から月額RM 720 になります。この対象は現在勤務中の75000人とすでに年金受領中の退職者に関係します。国会で内閣府の大臣がこれを発表しました。

被雇用者福祉基金の2007年における状況

会員は55歳から納付金を無条件に引き出せますから、その直前の会員の場合納付金総額はRM 12万ほどだということです。この額で老後が十分暮らせるか? 不充分だというのが総意ですね。20年で割ると年額RM 6千、つまり月額RM 500です。自家所有者ならなんとか暮らしていけるでしょう。ただし病気したり、旅行するなんてことは無理ですね。マレーシアの被雇用者福祉基金の特徴は55歳前でも家を購入したり、子供の高等教育費のためなら納付金総額から引き出せることです。よってこの機能を使う人がかなり多数を占めるようです。

有給病気休暇

マレーシアの雇用法では、被雇用者は年間14日の有給病気休暇が与えられる、と規定しています。この日数はその被雇用者が2年以上働くとは18日間に増やされ、さらに5年間以上働くと22日間に増やされます。入院が必要となった場合は、雇用期間に関わらず、被雇用者は60日間の有給病休を与えられます。雇用法は低収入の被雇用者に適用され、つまり全員に対する最低基準の法律だと見なされています。

Nielsen の2008年メディア指標調査 

調査専門会社Nielsen が行った2008年のメディア指標調査によれば、マレーシアにおけるインターネットメディアの利用率はこの5年間で倍になり、その結果10人に2人が利用しています。数字からいえば、約100万人になります。

通常の紙の新聞に関しての新聞閲覧率は、2008年6月に終わる1年間で15歳以上の半島部人口の 54% となります。この5年間の新聞閲覧率の伸びに貢献したのはもっぱらマレーシア語紙で、(半島部15歳以上である)全体の28%を占めます。インターネット上での新聞閲覧率は上昇しても一般新聞の閲覧率はあまり変わっておらず、閲覧者の10人中9人は紙の新聞を閲覧します。(両方閲覧する人も当然いますから、数字は重なるはずです)

新聞閲覧率 2008年6月期   半島部15歳以上人口に対する比率
紙名The StarThe SunNew Straits TimesMalay MailUtusan MalaysiaBerita HarianKosmoHarian Metro
言語英語紙英語紙
英語紙
英語紙マレーシア語紙マレーシア語紙マレーシア語紙マレーシア語紙
比率
8%
2%
2%
1%未満
7%
8%
3%
15%
紙名星洲日報中国報光明日報南洋商報光華日報東方日報NanbanTmail Nesan
言語華語紙華語紙華語紙華語紙華語紙華語紙タミール語紙タミール語紙
比率
8%
5%
2%
2%
2%以下
1%
2%
2%未満

新聞は回し読みするために率が高くなるでしょう、ですから新聞閲覧率は54%であっても、購買する人の率ははるかに下回ります。一番多い新聞である星洲日報でも日発行数は30数万部です。

上水道の受益率

州を抜き出すと 州人口における
受益者の割合
家庭の平均的水道料金 
立方メートル当たり
浄水場から送水される際に
おきる漏水の割合
ジョーホール州
99.5%
RM 0.90
32%
クランタン州
72%
RM 0.55
44%
ペナン州
99.5%
RM 0.31
18%
スランゴール州
99.9%
RM 0.77
36%
サバ州
77%
不明
57%
全国平均
94.8%
RM 0.65
37.7%

この表を眺めると、漏水率の高さに驚きます。こんなに漏水していては上水道供給の効率にかなり響くといえるのではないでしょうか?

マレーシアの私立高等教育機関で学ぶ学生の数

課程別の人数
修学課程
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
Certificate 課程
59994
57961
31577
40860
52197
Diploma 課程
65562
69573
45002
56774
69767
Degree(学士課程)
36279
40742
34676
43940
43625
Masters(修士課程)
1602
1497
1680
3301
1895
Doctorate(博士課程)
43
61
170
350
304

いわゆる大学卒というのは学士課程終了以上になります。

マレーシアのブランド価値トップ企業

マレーシア認証広告代理店協会と経済紙Edgeが選んだ、マレーシアの最も価値あるブランド 30を授賞する2008年の催しが、国際的なブランドコンサルタント会社の主催で行われました。30ブランドの合計価値はRM 618億になり、昨年よりも9%増えました。今年はトップ3ブランドを銀行が占めました。30社に選ばれる条件は、株式上場企業または上場企業の子会社であることです。

順位 企業名 分野 ブランド価値 単位は億
1. Maybank  銀行 RM 93,   2. Public Bank  銀行 RM 68,   3. CIMB 銀行  RM 62,   4. Genting レジャー娯楽 RM 44,   5. Parkson 小売 RM 42,   6. Celcom 携帯電話 RM 39,   7. Astro   衛星放送 RM 33,   8. Petronas 石油ガス RM 30,   9. DiGi 携帯電話 RM 30,   10. Hong Leong   銀行 RM 29

今年一番価値が伸びたのはCIMB 83%、DiGi 35%、 The Star 22%です。30社中今年価値が増えたのは14社でした。今年新しく入ったのは、 Sin Chew, Jobstreet.com, Ogawa です。 11位から20位までのブランド企業: 11. Perodua, 12. Giant, 13. Malaysia Airlines, 14. Sime Darby, 15. TV3, 16. YTL, 17. Ambank, 18. RHB Bank, 19. Jobstreet.com, 20. The Star

クアラルンプールの高級ホテルの統計から

ホテル名 客室数
2008年11月
客室充足率
2007年11月
客室充足率
2008年11月
平均客室料金 RM
2007年11月
平均客室料金 RM
2008年11月
Equatorial
270
79%
66%
RM 245
RM 336
Hilton Sentral
510
82
74
444
445
JW marriot
515
73
62
354
333
Mandarin Oriental
643
77
69
542
621
Nikko Hotel
470
69
69
308
332
Park Royal
337
76
67
260
258
Prince Hotel
608
75
77
269
290
Renaissance Hotel
921
82
57
230
224
Shangri-la
720
75
76
422
529
Sheraton Imperial
398
50
62
307
333
Westin KL
443
71
81
41
468

Intraasia注: 表示客室料金に加えて税サービス料 計 15%が別途かかりますね。ところで平均客室料金とはどういう風に計算されるのかは説明がないのでわかりません。例としてJW marriotを取り上げて単純に計算してみると、(RM 333 + 15% ) X 現在の為替レート 25円 =約1万円となります。5星ホテルという観点で見れば割安な料金となるでしょう)

国内のファーストフードチェーン店の店舗数番付 2008年

1位 ケンタッキフライドチキン 430店舗、 2位 マクドナルド 185店、 3位 ピザハット 181店、 4位 Marry broun 74店、 5位 Kenny Roger's Roater 54店、 6位 Domino Pizza 37店、 7位 A & W 31店、 8位 Subway 27店、 9位 Big Apple Donuts & Coffee 24店、 10位 BugerKing 21店

マレーシアのエイズ患者及びHIV感染者数

保健省のまとめた数字では、マレーシアでの HIVウイルス感染者の新規発生は今年上半期で1766人で、年末までには3500人ぐらいになると推測されています。これは昨年より減っており、2007年は年間で4549人でした。2006年は5830人、2005年は6120人。新規発生者数が最高であったのは2002年の6978人でした。
2008年6月時点で統計に加えられているエイズ患者及びHIV感染者数は、1986年からの通算で82704人です。

肥満の率

マレーシア人において体重超過と肥満の率が上昇しているという科学的データがあります。全国的に2006年に実施した第3回健康と疾病率調査が示していることは:調査した33000人の成人の内29%は体重超過でした(肥満度指数 25.0−29.9)  肥満者(肥満度指数が30を超える)の有病率は14%でした。 1996年に実施された第2回健康と疾病率調査では、体重超過の率は16.6%で、肥満の率は4.4% でしたので、第3回ではこれが増えたわけです、つまり10年間で体重超過の割合が1.8倍になりました。さらに肥満の割合は10年前に比べて3倍になりました。

第3回健康と疾病率調査ではさらに18歳以下の子供も調査しています。22000人の子供の内、体重超過は5.4%でした、男子で6%、女子で4.7%です。 体重超過の子供の割合は都市部で6.3%、田舎で4.0%です。
健康な体重を維持するためにマレーシア人食事指針が、マレーシア栄養協会のホームページで得られます: www.nutriweb.org.my

パームオイル関連の統計数字
オイルパーム農園の作付け面積



樹齢が9年以上の面積

作付け面積成熟樹の面積成熟樹全体に占める割合
サバ州127万ヘクタール115万ヘクタール
59%
サラワク州66万ヘクタール51万ヘクタール
20.2%
半島部236万ヘクタール210万ヘクタール
86.2%
全国合計430万ヘクタール379万ヘクタール
68.5%

マレーシアのパームオイルと原油の生産と輸出

2005年2006年2007年2008年推測
パームオイル



生産 単位 万トン
1496
1588
1582
1695
輸出 単位 万トン
1840
1430
1367
1490
輸出高 RM
292億
221億
326億
432億
トン当たりの国内渡し価格 RM
1394
1503
2517
3000
原油
生産 単位 日産バーレル
70万
66万
68万
71万
輸出高 RM
296億
319億
328億
466億
出典:経済報告書 2008/9年

Intraasia 注:2005年輸出が生産より多い数字になっているが、これは基にした記事自体の引用ミスか校正ミスだと思われます




”マレーシアマイセカンドホーム”プログラムの最新規定と条件を一覧し、参加状況を考える


プログラムの狙いとこれまでの経緯

外国の裕福な人たちに引退後、定年後をマレーシアで過ごしてもらうおうという目的で1990年代に始まったこのマレーシアマイセカンドホームプログラムは、2002年に条件規則に大幅な変更を加えて現在の名称となりました。それまでは”シルバーヘアプログラム”という名称でした。そいうった過程の中でプログラムは本来の定年後引退後という対象者以外にも枠を多少広げた言っても間違いではないでしょう。その主たる理由は、プログラム参加者を増やし、マレーシアで使う、投資するお金をより多くさせることを狙いとしているからです。

プログラムは2002年以降も時々変更と改正が加えられています。潜在的希望者である外国人にマレーシアマイセカンドホームに参加しやすいイメージを与える、参加希望者が申請をより円滑にできるようにする、申請と審査過程を一括して行えるようにするといった観点で、主たる変更・改正がありました。この動きの中で、プログラムへの関与において観光省の関わりを次第に増やして行き、最終的に2006年に主たる管轄者の役割を Imigresenから観光省に移管しました。外国人参加希望者にとってImigresen より観光省の方がとっつきやすく、親しみやすいことは確かでしょうから、プログラムの一括窓口として観光省は Imigresen よりも適しているとはいえるでしょう。

しかしながら、このプログラムはマレーシアへの出入国と滞在という、出入国管理にも直接関係していますので、プログラムにおける Imigresen の役割と関与がなくなることはありませんし、今後もありえないでしょう。 プログラムを悪用してマレーシア滞在を目論む人たちも当然出てきますので、出入国管理の面からの変更もいくらかありました。例えば、プログラム参加者に義務付けられる定期預金の額が多少引き上げられ、引き出しに観光省の承認が必要といった条件も付きました。

2006年に比較的大きな変更と改正が行われました。その当時の規則には例えば、定期預金は米ドルでもマレーシアリンギットでもよいという選択ができました。また単身参加者と夫婦で参加者の区分分けから、50歳を基準年齢とした区分分けに変更されたことなどがあります。

その後小さな変更・改正があったようで、2009年3月時点での規則条件と申請手続きなどを2006年のそれと比べると、かなり変更・改正があることがわかります。そこでマレーシアマイセカンドホームプログラムの骨子となる 最新の規定と条件 及び参加者が得られる特典 を以下に載せます。なおこの部分を含めて、2009年最新の「マレーシアマイセカンドホームプログラム」情報と解説を『在住者のためになるページ』の該当項目で掲載してあります。このコラムの参考資料として是非お読みください。

おことわり:当コラムでは、あくまでもマレーシアマイセカンドホーム公式サイトである英語ページを基にしてIntraasia が訳し且つ一部独自の注を加えています(日本語ページが基になるわけではないので一切参照していません)。残念ながらこの英語ページには、以前と同じように意味があいまいとなってしまう表現が一部使われていることを指摘しておきます。


最新の規定と条件

そこで最新の規定と条件は次のようになっています。

経済的必要条件 

(2006年4月1日以降に)申請を認められた者は Imigresen から「条件付承認」レターを受領することで、次ぎの経済的諸基準を満たすことが必要となります。

申請者はマレーシアでこのプログラムに基づいて10年間滞在するために、自分たち自身を支えることができる経済的能力を有していることが必要です。申請者は、50歳以上の者はRM 15万の定期預金、50歳未満の者はRM 30万の定期預金をするという、基本経済必要条件を満たす以外にも、その申請をよりしっかりとしたものにするべく自身の経済状況に関する書類を提出することになります。

年齢が50才未満の者

年齢が50才以上の者

次ぎのどちらかを選択できます:

(Intraasia注:ここでいうオフショアとは、マレーシア国外を源泉とするという意味のはずです)

注記

  1. 申請を認められた者が開設することになる定期預金口座は、リンギット通貨建てに限ります。
  2. プログラム参加者がその定期預金口座から引き出しをする場合は、事前に観光省から承認を得なければなりません。
  3. プログラム参加者がこのプログラムによるマレーシア滞在を止めると決めた時は、その定期預金の全額を引き出すことができます。ただしその場合も事前に観光省の承認を得なければなりません。


医療診断書

申請者とその被扶養家族(配偶者と子供)は全員、マレーシアの私立病院または医院が作成する医療診断書を提出する必要があります。(私立病院または医院は任意のそれでよい)

Intraasia注:お好みの医院へ行って診断書作成を頼めば、簡単な診断の後ですぐ作ってくれます。何らかの軽度ではない病気がある方は別にして、費用はRM 100弱でしょう。

医療保険

申請を認められた者とその被扶養家族(配偶者と子供)は全員、マレーシアを適用地にしている、有効な医療保険に加入している(する)必要があります。

Intraasia注:日本で加入している医療保険が海外も保険適用となっていることを証明できれば問題ないということです。なおマレーシアの保険会社が販売している医療保険の中には、マイセカンドホーム参加者が加入できる保険があります。三井住友保険会社の現地法人にはこのプログラム参加者専用の保険さえありますね。

禁止事項

プログラム参加者はマレーシアに滞在中に仕事をするまたは雇用されることが禁止されています。
さらに参加者は、マレーシア市民にとって敏感なことであると見なされているような活動と、国の治安に脅威をもたらすとみなしえる活動に参加してはいけません。
以上

マレーシアマイセカンドホームでの特典

マレーシアマイセカンドホームプログラムには、参加者をより増やすために参加者に便宜を図ったいくつかの特典があります。この特典はプログラム発足以来しばしば変更・追加されていますので、今後も変更・追加があると思われます。それでは公式サイトでは”奨励策”となっている特典を見ていきましょう。

奨励策

このプログラム参加者がマレーシア滞在をさらに快適で楽しいものにできますように、いくつかの奨励策が参加者に提供されています。

住居の購入
プログラム参加者は、価格がユニット(1戸)あたり RM 25万以上である住居を購入することが認められています。なおその最低価格について、サラワク州だけに他州との違いがあります:
サラワク州では Kuching , Miri, Sibu においてはユニット(1戸)あたり RM 30万以上と設定されています。

Intraasia注:土地付き住宅であれコンドミニアムであれ、プログラム参加者を含めて外国人は低・中価格の住居は購入できません。もちろん賃貸ならどこに住もうとかまいません。

自動車の購入

参加者は自分の自家用車を持ち込むことができます、またはマレーシアで組み立てられた自動車を購入することもできます。その際に輸入関税、物品税、販売税を支払うことが免除されます。

輸入する自動車
参加者の自国または最後の居住地である国から自動車を輸入するための申請は、財務省宛てに提出する必要があります。申請はマレーシアマイセカンドホームプログラム下での社会訪問パスが認められた日から6ヶ月以内に行わなければなりません。
この自動車輸入条件:プログラム参加者がプログラムビザを得るより前にすでにその自動車の所有者であること、それが自動車登録証に記載されていること。

マレーシアで組み立てられた自動車
マレーシアで製造されたまたは組み立てられた新車を購入するための申請は、財務省宛てに提出する必要があります。申請はマレーシアマイセカンドホームプログラム下での社会訪問パスが認められた日から1年以内に行わなければなりません。

注記

  1. 関連書類を付けたきちんと記入された申請書は財務省へ提出してから、10労働日以内に処理されます。
  2. 財務省から税金類を免除する承認を得る前に、自動車を無条件購入しないでください。 しかしながら、省からの承認が出る前に自動車購入の予約をすることはかまいません。
  3. 自動車の輸入または購入はあくまでも個人使用のためであり、商用には使えません。
  4. 自家用車とは、プログラム参加者がマレーシアマイセカンドホームプログラムに参加する以前に購入した車のことを意味します。
  5. プログラム下での滞在が2年を経過した後であれば、参加者はその輸入したまたはマレーシアで購入した車を売ることが許されます。


家庭内住み込みお手伝い

省略します

子供の教育

参加者はこのプログラム下で、被扶養家族として18歳未満で且つ未婚である子供を連れて来ることができます。
その子供がマレーシアで学業を続けるためには、スチューデントパスを申請する必要があります。さらに子供がこのプログラム下で滞在している間中は被保険者になっている必要があります。

税金

プログラム参加者は、マレーシアの税の政策、仕組み、規定に拘束されます、加えてマレーシアに住む外交官に認められたような税免除を受ける資格はありません。

Intaasia注:税システムに関しては、マレーシア内国収入庁(税務当局のこと)を参照して下さい(www.hasil.org.my)

マレーシアに送金されて来る年金は税金免除になります。プログラム参加者はその受け取る1年間の年金総額に関して、自国の当局の裏書(日本の年金であるという確認という意味でしょう)を得なければなりません。この裏書(つまり確認)を示す手紙のコピーを、申請者が税金免除を申請する際に提出しなければなりません。

Intraasia注: 意味が少しあいまいな表現です。日本人の年金受領者は日本の年金庁からこの種の裏書をもらう必要があると、文面から取れます。


その他事項

自国で飼っていたペットを持ち込む際の手続の説明と注意事項が詳しく載っています。例えば日本の獣医の健康証明書英文版が必要、検疫が必要な場合は7日間から30日間、などといった情報です。

ビジネスと投資

省略します

パートタイムとして働く

省略します

以上です。

参加者の得る特典に関して

自動車輸入または購入における特典は参加者にとって比較的大きな恩恵となることでしょう。規定価格以上の住居購入はマレーシアマイセカンドホームプログラム参加者でなくてもできますが、審査申請がごく簡単化されるという点が恩恵だといえるでしょう。

数年前まではどのような形であれ参加者がマレーシアで働くことを一切許可していませんでしたが、プログラム参加者の拡大を意図して、近年この面での改定・緩和が見られます。それが上にある、パートタイムとして働く の項目です。公式サイトのお知らせの一部を引用しますと:

マレーシア経済にとって重要な分野において必要とされる、特定の技術と専門知識を備えた資格ある50歳以上のプログラム参加者には、1週間に20時間を超えない範囲で働くことを許可します。

なお公式サイトの該当部分ではこまごまとした規則が記載されています。今後もこの面で緩和がありそうですね。

ビジネスと投資、これはマレーシアマイセカンドホーム参加者である、ないに関わらずマレーシア政府が多いに歓迎することです。公式サイトの該当部分では詳細な規定が載せてあります。

大多数の日本人定年引退夫婦にとって特に困難な条件とは思えない

上でこまごまと載せたいろんな規則と条件、さらに特典または優遇策をご覧になっての感想には、読者の間でかなりの違いがあることでしょう。ただ Intraasiaのような経済的困窮者である少数派を除いて、恐らく多くの方にとって「それほど困難な条件ではなさそうだ」 という感想をお持ちになったのではないでしょうか? 確かにマレーシアに住んでみる強い意欲さえあれば、当初に RM 15万を銀行に預けた後、50歳以上の夫婦2人がマレーシア都市部の日本人集中地区ではない所で控えめに暮らしていく限り、金銭的にそれほど難しいことではないはずです。控えめという意味は、家賃と食費と電気水道電話などの必要経費を含めて、月RM 2500 −3000 ほどあれば暮らせるということです。 いうまでもなく、基準は人によって違いますから、この予算額が絶対ということではありませんよ、大体の目安としてと言うことです。 

居住するコンドミニアムはクラスと場所によって賃貸料にかなりの差があります。自動車を持てばガソリン代と通行料がかかるし、ゴルフなどの遊行を好んですれば当然費用は増えます。さらに食事の嗜好と選択によって食費に大きな差が出てくるのはいうまでもないことでしょう。こうしたことから、快適なマレーシア暮らしには月いくらほどかかるかは、非常なる違いが出て来るはずですね。

マレーシアマイセカンドホームへの参加状況

さて条件と規則、及び一般論を読んでいただいた後は、マレーシアマイセカンドホームプログラムの参加状況を知っていただきましょう。
マレーシアマイセカンドホームプログラムとなってから、一体どれぐらいの外国人がこのプログラムに参加したでしょうか? マレーシアマイセカンドホーム公式サイトの統計を基にして表にしました。

7年間で合計 11,700 人という参加者数は、これまで多額の予算を費やして売り込んできたこのプログラムにまあ見合った数と言えるのか、それとも不充分な数と捉えられるのか、判断は難しいところでしょう。この3年間の平均的な数字をみれば、毎月130人ほどがプログラムに参加しているわけですね。東南アジアだけでも複数の国が、似たような趣旨の外国人誘致プログラムを提供していますから、マレーシア当局の売り込み努力はそれなりに評価してもよいではないでしょうか?

マレーシアマイセカンドホームと改称された以後の国民別承認人数

2002年2003年2004年2005年2006年2007年2008年 7年間の
合計人数
2009年
2月まで
中国
241
521
468
502
242
90
120
2,184
8
バングラデシュ
0
32
204
852
341
149
68
1,643
10
英国
108
159
210
199
20
240
208
1,333
16
日本
49
99
42
87
157
198
210
842
16
シンガポール
96
143
91
62
94
58
48
592
6
台湾
38
95
140
186
63
31
16
569
インド
45
123
118
80
51
46
32
495
その他国々
合計人数
818
1,645
1,917
2,615
1,728
1,503
1,512
11,738
181

注:今年2ヶ月間の承認最多国民はイラン人の38人です

日本人の参加者数を考察する

では日本人の場合を見てみましょう。7年間の年平均は120人にしかすぎません。2006年以降は漸増傾向にあるとはいえ、それでも年間 180人ほどつまり月平均15人という数です。この数が今年来年には倍増するとはとても思えませんし、現実にも無理でしょう。今後マレーシアマイセカンドホームプログラムの内容がさらに改正され、それに伴って人数が増えて年間400人ぐらいになることは可能性としてありえると思いますが、それが限度ではないでしょうか。マレーシアマイセカンドホームプログラムがいくら大改正されたと仮定しても、日本人の捉えるマレーシア観から言って年間 700人、 800 人などという数字にはなりえませんね。

人がある国に対して抱く先入観念またはある国のイメージというのは、その人の旅行先選択にかなりの影響を及ぼすことは、一般的な事実と言えるでしょう。定年後引退後の長期滞在の国選択においても、このことは相当程度共通しているはずです。その理由を説明してみます。

10数年間に渡ってマレーシアサイトを主催してきた者として言いますと、日本人がマレーシアという国に持つ先入観念とイメージはかなりの程度でできあがっている状態です。日本人のマレーシア観光訪問者数をこの10年間で見ると、おおよそ年間30万人から40数万人の間を推移しています。マレーシア観光に要する料金・費用の変化にも関わらず、今後もこの範囲を外れることはなさそうです。その主たる理由は、日本人一般にとってのマレーシア人気があまり変化しそうにないことだといえます。つまりマレーシアへの先入観念とマレーシアのイメージが大きく変わることは考えられないからです。

この分析は、定年後引退後の長期滞在を考えていらっしゃる人たちにも適用できるでしょう。マレーシアを熟知した上で、マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加される方は、そうではない方たちよりもずっと少ないと推測されます。つまりある国への先入観とその国のイメージは、結構大きな心理的影響を及ぼすと考えられます。こうした分析を通して、日本人のマレーシアマイセカンドホームプログラムの年間新規参加者数が、将来現在の3倍増、4倍増にもなるというのは非現実的な予測だと、Intraasia は結論付けます。

マレーシアマイセカンドホームプログラムはビジネスにも結びつく

このプログラムに参加する人たちを対象にビジネスをしている会社・代理業者があります。そこで最後にその会社・代理業者のことに少し触れておきましょう。
公式サイトには次のように掲載されています:

マレーシアマイセカンドホーム会社の登録をする場合、2006年11月以降は観光省宛てに申請することになりました。
すべての認可旅行代理店とツアー会社は、マレーシアマイセカンドホーム関連のビジネスを行う際は、新たにマレーシアマイセカンドホーム会社を設立する必要があります。

マレーシアマイセカンドホームプログラムに参加することに興味ある外国人に何らかのサービスを提供しようとするマレーシアの会社及び外国でこのプログラムを売り込もうとするマレーシアの会社は全て、認可を得るために観光省宛てに申請してください。
この範疇には、以前Imigresen に登録していた”スポンサー会社”も含まれます。


マレーシアマイセカンドホーム関連のビジネスとは、要するに申請前の相談・調査段階から申請手続き一切、プログラムで認められている自家用車輸入や住宅購入・賃貸といったプログラム承認後の参加者のいろんな要求に答える仕事、を指していると推測されます。

マレーシア事情や言語に通じていない、時間がない、面倒だなどの理由から、自分で申請手続などができない・したくない、プログラム参加希望者が大多数だと思われますから、このマレーシアマイセカンドホーム会社・代理業者への需要は間違いなくありますね。ではこの観光省登録のマレーシアマイセカンドホーム会社・代理業者は一体何社ほどあるのでしょうか? 公式サイトには登録された全社が住所連絡先と共に掲載されています。その数全国で合わせて200社にもなります、その内クアラルンプールが登録住所の会社が105社、スランゴール州の会社が50社を占めます。

上記で掲げた、マレーシアマイセカンドホームプログラムにおける国民別承認人数の表を再度ご覧ください。 この3年は年間の承認者数が 2000人を下回っています。つまり年間 1600人前後のプログラム新規参加者のところで、200社もの登録代理業者があるわけです。数だけから見れば、かなりの過当競争といえそうです。もっとも会社として観光省に登録はしてあるが、積極的にマレーシアマイセカンドホームビジネスを行ってない代理業者も当然あることでしょう。このマレーシアマイセカンドホーム会社の多くは、旅行代理店やビジネスコンサルタント業や不動産斡旋業などを主たるビジネスとした会社が、このプログラム関連ビジネス用に設立登録した会社ではないだろうかと、私は推測しています。そうでなければ、200社も存在する中で年間1600人前後の参加者だけを対象に十分なる利益を出すビジネス活動は、ごく少数の会社を除いて、無理だと思われます。

この理由のせいかどうかわかりませんが、公式サイトには次の最新お知らせが出ています。

観光省認可のマレーシアマイセカンドホーム代理業者を新たに認可することを2009年1月9日以降は凍結します。

いずれにしろ、参加希望者側にとっては代理業者選択が豊富にあるということですね。  

あとがき

定年後引退後海外で長期滞在したいという希望者または願望者は、日本人の間に少なくないと聞いています。40代後半に入れば、願望がある程度具体的な希望になってくるのではないでしょうか? 50歳半ばにもなれば、希望が目標になることでしょう。そんな時、どの国を滞在地に選らぼうかなと選択に悩まれる方も少なくないでしょう。一方それ以前にとっくに滞在国を決めている方もいらっしゃるでしょう。 

マレーシアマイセカンドホームプログラムはそれなりに良いプログラムではないでしょうか? マレーシアサイトの主催者だからという理由だけでなく、1980年代中頃以来長年東南アジア各国を徘徊してきた者として、マレーシアは中長期滞在に向いている国だと言っても、反対論はそれほど多くはないと思います。とはいえ、ある人の持つ先入観念や国のイメージはかなり強いことであるのは、上記で述べたとおりですから、当サイトが皆さんを説得するつもりはありませんが、このコラムを含めて当サイトを参考にしていただきたいと願っています。



Intraasia の雑文集 −2009年第1四半期分


はじめに

「ゲストブック」 には随時様々な題材で書き込んでいます。しかしその書き込みはいずれ消えてしまいます。そこで2009年第1四半期に Intraasia が書き込んだ中から主なものを抜粋して、コラムの1回分として収録しておきます。ごく一部の語句を修正した以外は、書き込み時のままです。

【エクスパトリエイトという範疇の人たちの数が減った 】

数日前の新聞に賃金の変化を論じた記事の中で、マレーシアが受け入れている働く外国人労働力の変遷を示す表が載っていました。ここでいう外国人労働力というのは、合法的にマレーシアで働くという範疇だけを示しています。現在では多分100万人を超すであろういわゆる 違法外国人労働者は含まれていませんことに注意してください。

さて賃金のことはさておいて、外国人労働力の変遷を示す表は重要な現象を現しています。つまり2001年時点では100万人に満たなかった外国人労働者がその後毎年増え続けて2007年には200万人に達し、2008年は確か220万人になっています。国民総労働人口が1100万人−1200万人ぐらいの国でこの数 (プラス違法外国人労働者)がいかに大きな意味を持つかについて、Intraasia は「今週のマレーシア」で数回論じています。

今日はその外国人労働者のことではなく、もう1種の外国人労働力である Expatriate についてです。Expatriate という範疇は外国人労働者範疇とは大きく違いまして、労働許可証自体から違います。巷では雇用ビザと呼んでますが、 Visa ではなく Permitです、つまり労働に従事することを認めるという許可証です。外国人労働者と Expatriate はImigresen においてその許可証の申請手続き、取り扱い窓口、取り扱い方法の全てが違います。日本人で日系または非日系のマレーシア法人企業に形はどんなであれ雇用されている人は、オーナー社長職を含めて全て Expatriate の範疇であり、外国人労働者という範疇の人はいないはずです。欧米人や韓国人で労働許可証を取得している人もこのExpatriate範疇に属します。
なお当局は マレーシアマイセカンドホームプログラムの参加者、累計で1万人程度、も広い範疇の Expatriate に含めていますね。

そこでこの外国人労働力の変遷を示す表を見て、あれっと思いました。外国人労働者は2001年以降増加しているのに、Expatriate総数は  2001年以降は減少しているのです。正確には2001年の9万人弱から減り続け2005年からは減少が止まって3万数千人の数を保っています。2008 年の数字は載っていません。90年代の数は載ってないのでわかりませんが、なぜExpatriateの数は2001年以降減少したのか、興味あるところです。ちなみに、私の記憶では日本人Expatriate の数は90年代の方が多かったはずです、それは日本人在留者の数にある程度比例しているだろうからです。

マレーシアへの外国からの投資額は90年代と2001年以降を比べた時、2001年以降の方がかなり減っているなんてことはありません。ですから日本人 Expatriateの数だけを目安にしてExpatriate全体に当てはめることはできません。さらにマレーシア当局がExpatriate を認めにくい政策をうちだしたなんてこともありません。投資はいつも歓迎していますし、必要条件さえ満たせば、Expatriateの許可証を得ることは特に困難なことではないはずです。 それでは Expatriate総数が数割程度の減少ではなく、半減以下になったのはなぜだろうか?

そこでその理由を推測してみます。90年代終わり近くから本格的に適用され始めた、マレーシア人の配偶者である外国人はExpatria 範疇とは別である配偶者身分でマレーシア企業は雇用してよい、という Imigresen の規定・条項の変更が結構大きな理由になっているかもしれません。配偶者身分であると、1年更新の条件はあるものの、払い込み資本金、業種などに関係なくマレーシア企業に雇用されて働くことができます(自営業はまた別)。 一方Expatriate範疇の場合は、雇用する企業の業種、払い込み資本などに必要条件が定めてあります。 在留日本人の中にもこの配偶者身分で働いていらっしゃる方も少なくないでしょう。

しかしそれにしても、配偶者身分での雇用の増加数が、9万人近かったExpatriate総数が3万数千人にまで減った差の全てにあたらないことは明白です。外国からの投資額は減ってないが、外国資本企業数が減ったことにより、Expatriateとしての雇用数も減った? 正確な統計資料を調べない限りこの点はここではなんとも言えません。残念ながら、他に大きな理由が思いつきません。


【旧正月前のクアラルンプールのある光景から 】

旧正月の装飾が至るところで目に入るクアラルンプールのブキットビンタン街です。今日の午後そのブキットビンタン街のショッピングセンターへ行った時、数箇所の外貨両替店の掲示板を眺めました。 店によって多少の違いが当然ありますが、わずかにレートの良い店では1万円を両替するとRM 397 入手するというレートですね。1万円を買うにはRM 402 も必要です。両替店は銀行より多少率が良いのが普通ですから、 100=3.97 という為替率にはつくづく驚きます。別に円を替えるわけではないのですが、ここまで円高が進んでいいのかなという憂慮感の方を先に感じますね。

ショッピングセンターの展示場ではマレーシア華人店の暫定キオスクの形で中国手工芸品の展示販売をしていました。中国から呼んだ手工芸家(だと若い店員が言った)がその中のブースに座っていました。この展示場では1日に2回か1回か知りませんが、中国の曲芸団が芸を披露すると、新聞の記事に載っていました。わずか20, 30分ほどしかいなかったショッピングセンター内では、すれ違いの中で2回中国語を耳にしました。私は発音からすぐ聞き分けできるので、マレーシア華人の華語ではなく中国人の中国語です。90年代の前半頃はわざわざ中国から曲芸師や工芸家を呼んできたのは珍しかったはずです。しかし最近はあちこちのショッピングセンターなどに登場しているようです。さらにこの数年はブキットビンタン街で観光客なり滞在者として中国人の姿が容易に目につくようになりました。 100円ショップ的な店である、いわば数リンギットショップには中国製品が溢れてます。 このように、中国の存在はまことあたりまえになっているマレーシアです。

夕食に10何年来のいきつけである板麺(パンミンと発音)屋台へ行きました。我が地区は中華食、マレー食、インド食の提供場所が数多くあり、大衆店と屋台の数は軽く100を超えます。しかしながら結局いつもまたは時々利用するのはその1割にも満たない数です。その最大の理由は値段です。食に対してほとんどこだわり感のない私は何食であれ構わないのですが、生活に直接響く値段には多いにこだわります。すると残念ながら、割高の店・屋台及び食事・料理にはまず縁がないことになります(一度食べて高かった、見ただけでまた経験上高いとわかるから)。 こうして年を重ねているので行きつけ店と屋台の利用回数は益々増えていることになります。

屋台主にいつが最後か聞いたら、「ティンヤット(明日の意味)」 と彼は答えました。華人屋台ですので、例年旧正月期には長めにに休みます。つまり26日の元旦より3日前に”今年”の商売じまいということです。新年は、「チョーパット(新年の初8日のこと)」が営業初めだそうです。 このように華人店では旧正月時期に1週間ぐらい、時には10日間も休んでしまうは珍しくありません。Intraasiaにとって旧正月時期の悩みはこの行きつけ大衆店・屋台の休業です。店と屋台の数が多い地区ゆえに、開いている店・屋台は少なくないので飯の食い上げにはなりませんが、旧正月料金の所もかなり有りそうだし、そうでなくても普段から割高の店ばかりだし、と今年は今からちょっと憂鬱です。もっとも旧正月後半はクアラルンプールを留守にするので、憂鬱感は数日間のことですけど(笑)。


【旧正月2日間だけの、普段は見られない我が街の様子 】

Intraasia は旧正月を毎年クアラルンプールで迎えるわけではありませんが、クアラルンプールにいる方がずっと多いと言えます。去年に続いて今年も出かけていません(今週後半からでかけます)。
2年前の旧正月の様子を撮ったたくさんの写真を「みんなのマレーシア写真アルバム」 に載せました。その写真は恐らくほとんどの方にはなじみのないクアラルンプール光景だと思います、なぜならクアラルンプール中心部に集まる膨大な数の外国人労働者の様子だけを撮ったものだからです。外国人労働者は、いわゆる青い海と白い砂浜のマレーシア宣伝にはもちろんでてきませんし、マレー人と華人とインド人の3大民族からなるマレーシアという定番マレーシア観光案内にも登場しませんし、観光省のパンフレット類ではまったく触れてありません。ほとんどのマレーシア旅行者にもこの種の存在の大きさはまず見えてこないでしょう。

だからこそIntraasia は以前からかなり熱心に且つ数多く 「新聞の記事から」と「今週のマレーシア」で、外国人労働者の問題を取り上げてきました。恐らくこれほど数多く扱い且つ詳しく書いているサイトはまずないでしょう。

という前書きの後に、今日の昼頃近所をぶらぶら歩いてみました。本来は古い華人街ですから、旧正月元旦ということで大多数の店舗と路上の屋台は休んでいます。わずか数軒の大衆食堂と新聞雑貨売店が開いているだけです。朝も夜もうるさく人と車で混雑している我が地区一帯はかなり静かです。 街で行き交う人の顔ぶれと所在投げにたたずんでいる人たちの顔ぶれをみると、なんとその8割から9割ぐらいは外国人労働者なのです。 我が地区には外国人労働者が集中している地区の一つであるとはいえ、驚くべき比率と言えます。

華人はといえば、知人家族を訪ねるために外出している人も少なくないことでしょう。そうではない華人は、開いてる店が極端に少ないので、食事やおしゃべりに出てこない、家に閉じこもっているということでしょう。マレー人は普段の日中はたくさん働いていますが、住んでいるマレー人は非常に少ない地区です。インド人も同様です。こうして2000年前頃から我が地区では外国人労働者が華人に次ぐ住民グループとなっているのです。普段の日は人出が朝から晩まで多いことから、外国人労働者の多さはすぐわかってもここまで徹底した多さを感じません。

長年外国人労働者を見慣れている、外国人労働者が一杯住んでいるアパートの住人である Intraasiaでも、今日の昼にみた顔ぶれ内容にはちょっと驚いたぐらいです。外国人労働者専門の屋台だけは大繁盛して街路にはみ出しています。小さな子供を連れたミャンマー人があちこちを行き交っています。ミャンマー人の特徴はこの子供連れということですね、それはミャンマー人には国連の難民認定グループが外国人労働者並みに多いからです。 ネパール人、バングラデシュ人、の顔ももちろんあります。いうまでもなく伝統的な外国人労働者であるインドネシア人は、お手伝いさんなどとして家庭にも店にも働いていますから、休みの日として路上にも多少出てきています。珍しく中国女の姿をまったく見かけなかったのは、目的とする華人男性の姿がごく少ないからでしょう。

ということで、多分旧正月2日間しか見えない、いつもとは違った街の様子を感じました。なおハリラヤは特に変わった様子のない我が地区です。マレーシアの第四の民族グループに外国人労働者を入れるべきではないだろうか? と皮肉の一つも観光省に言いたいところですね。


【マレーシアの新聞・ラジオニュースが何回も触れた日本の蔵相の醜態ニュースに思う 】

家にいる時は例外なくラジオをかけていることはこれまでも何回か書きましたよね。昨日(17日)と今日はマレーシア語局の Sinar FM をかけており、パソコンしたり新聞読みながらラジオを聴くともなく聴いていたら、短時間ニュース番組が毎時か2時間ごとぐらいに放送される中、数回のニュースで日本の大臣である「nakagawa syoichi 」 という言葉がはっきり聞こえました。最初からニュースに耳を傾けてないし、そのいささか早口のマレーシア語ニュース読みを完全に聞き取ることはできませんから、ラジオニュースだけでは確認はできませんでした。昨日の新聞を見ると、外電報道として、日本の経済大臣(大蔵大臣)が7カ国蔵相会議後の記者会見の際、酒によっていたためまともに応答できなかった、日本で問題視されていると書いてあり、今日の新聞ではその大臣が職を辞職した、麻生内閣に大きな影響を及ぼしたと書かれています。

Intraasia は日本語のメディアには目を通しませんから、日本でどういう経過で辞任したといった細かいことは知りませんし、それには興味ありません。経済不況の現在非常に重要であろう国際会議に国を代表して行き、まともに記者会見もできなかった責任は辞任で済む問題ではない思いますね。マレーシアでこのラジオニュースを聞いていたマレーシア人は、さらに外電報道の新聞記事を読んだマレーシア人は日本の大臣のいい加減さと真剣みのなさを感じるはずです。

Intraasia はサイトで時々、マレーシアの大臣や政治家の尊大な思考と態度を批判してきました。女性差別発言を繰り返す政治家、今回のスランゴール州の州議会女性議員の流出写真問題でも同様です。何事につけても特別待遇されることを勘違いして扇動的な発言を繰り返す政治家、どんな事件が起きても責任を取ろうとせず言い訳ばかりの空虚な発言ばかりの無責任政治家など。所詮もとはといえば、この種の政治家と大臣を選出した選挙民、究極的にはマレーシア国民の意識に歯がゆさを感じざるをえないことがあります。

一体日本のこの傲慢な大蔵大臣はどうしてこんな愚かなことを行なったのでしょうか? で同じ視点でみれば、そういう政治家を選出した選挙区の選挙民(投票した人だけ)の愚かさにつながるはずです。その政治家をこういう風におだて上げ育ててきた結果といえます。もちろん最大の責任はその大ばか大臣にあるのは当然であり、議員の価値などありませんよね。ただ究極的には日本国民の意識に行きつくといえるのではないでしょうか(といって皆が責任あるということを主張しているのではありません)。日本の大臣は簡単に辞職するけど、議員を辞めた話はまずないし、選挙民がその種の政治家を支持しているので職は安泰のことが多いみたいです。だからこの種の大ばか大臣が再生産されています。

Intraasia はどこの国であれ、政治家を過大にまたは必要以上にあがめる、うやまうあり方と風潮に強く反発を覚える者です。米国のオバマ大統領に対しても同様です。初の黒人大統領という大きな意義は当然強調すべきですが、といって彼に過大に期待することにはなりません、所詮米国の国益の代表にすぎないという視点を持つべきですね。ある国の政治家を過大に期待したり評価すること自体に反対です、20世紀前半とは違うのです。Intraasia は政治家なんでしょせん雑巾だと思っています。使い古せば新しいのに換えればよい、気に入らなければ換えればよい。雑巾はなくてならないものだけど、雑巾のために掃除をするのではなく、掃除のために雑巾があるということですな。


【間違い請求に改めて感じるTelekom Malaysia の利用者サービス軽視態度 】

ある国に生活していると、時に問題に面します。これはマレーシアに限らずどこの国であれ同じであり、違いは問題が起こる頻度、問題の種類、起こった問題に対する対応の良さまたは悪さ、起こった問題の解決度、だと言っても間違いではないでしょう。
90年代初期からマレーシアに住んでいるIntraasia はこれまで種類と数の両面で多くの問題を経験してきました。ほとんど全てのことは自分で対処してきましたから、経験はかなり積んでいます。

昨晩(2月19日)また問題が発生しました。毎月半ばにTelekom Malaysiaから送られてくる 電話料金請求書が19日の時点でまだ届いていませんでした。時々あることなのでまたかと思いながら、そこでTelekom Malaysiaのホームページへ行って、自分のアカウントの2月10日締めの請求書を開いて見ました。するとかけた覚えのない携帯電話番号宛の通話が10数回ほども載っているではありませんか。 その内4,5回もかけていることになっている2種の携帯電話番号は誰宛だろうかと、昨晩は一生懸命にメモなどを調べました。結論として、5種の携帯電話番号は自分でかけてないことがはっきりしました。

これは猶予できないことだと、今朝Telekom Malaysiaのホームページを開いて我がアカウントの2月10日締めの請求書を印刷しました。かけていない携帯電話番号は1月のある日曜日1日だけに集中しており、その数10数回です。Intraasia は電話をあちこちにかけておしゃべりするタイプではないので、かける先の携帯電話の番号は多くありませんから、相当程度番号みればわかるし、またよく調べればほとんどかけ先がわかります。しかも請求書に印刷されたその日の電話かけパターンはIntraasia の電話スタイルでは全くありません、私はそういう電話のかけ方はしないからです。ということで、この請求書に載っている10数個の請求は100% 間違いであると結論しました。間違い請求額はRM 5程度と高くはないですが、Intraasia が最も心配するのは、1度起こった間違い請求はきっとその後も起こったかもしれないし、そして今後も起こりえるということです。間違い請求額が少ないからと今回の間違い請求を軽く見たら、たいへんなことになります。

そこで今朝早速その印刷した請求書を持って、クアラルンプール中心部にある Telekom Malaysiaサービスセンターへ行きました。料金支払いなどいくつもある窓口の中で、苦情などに対応する窓口の女性に請求書を見せて、間違い請求の件を伝え、早急に調査して欲しいと伝えました。しかし思ったとおり、その窓口の若いマレー女性の対応は極めて通り一遍の態度であり、「苦情申込用紙に記入してください、それを通話調査部に回します」 それだけでした。いつも受けている種であろう苦情への極めて事務的対応なので、この種の係りに何を言ってもそれ以上進展はせず無理だろうと、Intraasia の経験上わかりました。

しかしことは重大になりかねません。なぜなら、Telekom Malaysiaは昔から、「たとえ間違い請求であっても利用者はとにかくまず支払いなさい、調査の結果間違いが判明すればその後の請求書からその間違い請求額分を割り引きます」というのが変わらない方針だからです。Intraasia はこの間違い請求をこれまで数回経験していますので、今回が初めてではありません、多分10年ぶりぐらいです。 間違い分請求であれ利用者が支払わなければ電話代未払いが増え、電話停止処置になってしまいます。数百リンギットの間違い請求になったらとても支払えませんし、ばからしくて支払いませんが、そうすれば電話を止められてしまい、インターネットもできなくなってしまいます。ですからこそ、今回の間違い請求は額が小さくても大変憂慮することなのです。 間違い請求はきっとまた起こる、そのときは多額になるかもしれない!!

私の真剣なお願いに(もちろんマレーシア語で)、その係り女性は、マネージャーの部屋へ行って話してくださいと、あっさり言いました。それ以上関わりたくない態度がみえみえです。そこでさっそくマネージャーの部屋へ行き、早く調査をしてくれるようにと訴えました。しかし返事は同じです、とにかく苦情受付用紙に記入してください、といって、マネージャーは自分の仕事をしています。用紙に記入し(マレーシア語)印刷した請求書をつけて、マネージャーに手渡しました。「調査には数週間かかるでしょう。それまで待ってください。」 私のそれでは心配だ、との訴えに、マネージャーは、「それでは電話かけ先を市内通話だけに限定する処置を申し込みますか? それなら携帯宛てに電話できなくなります。」と言いました。 確かにそういう措置をTelekomの方ですれば携帯宛てにかけたという間違い請求はなくなるでしょうが、私自身も市内通話しかできないことになり非常に不便となります。

少し迷った末、その処置を申し込む用紙に記入して、マネージャーに提出しました。彼は提出した用紙のコピーをくれました。「調査係りに回しますから数週間待ってください。何か問題があれば、また私のところに来てください。」 つっけんどな態度ではないですが、苦情受け慣れしすぎていて一々そんなことに真剣につきあってられないという感触が伝わってきます。ただこういうところで腹を立てては自分の損になるだけなので、低姿勢でお願いするしかありません。あとは調査係りがいつ調査にかかるのか、気になることですが、そのマネージャーにもわからないでしょう。

2月10日締めの請求書ですから、今日の時点20日までに間に間違い請求が出ているかとうか調べてくれといったのですが、「調べられない、システム上我々にもわからない」との説明でした。Intraasia としては、幸運を祈るしかないところです。

90年代初期以来 Telekom Malaysiaのいくつかの局を訪れていろんな係りの人に何回も苦情を訴えてきました。Telekom  Malaysiaのサービスセンタの内装と設備は随分とよくなりました。これは褒めることです。しかし年月は経っても苦情対応はほとんど向上してませんね。「係りに書類を回しておきます。それまで待ってください」 この思想がTelekom Malaysiaには染み付いています。利用者がなぜ間違い請求を一時であれ支払わなければならないのか? 窓口のたいへん事務的な態度、いつまでに返事するという期日の約束は決して得られない、こういったことは今でも変わっていないのです。 起こるかも知れない間違い請求を完全に防ぐには、電話を一時止めるしかない、しかしそれでは利用者が不便なだけです。 Intraasia が一切家から電話できなくなったらどうするのか?

ああ、来月の請求書がTelekom Malaysiaホームページに現れる 3月10日までずっと心配が続きます。そして市内電話限定措置が有効になれば、不便さをがまんしなければなりません(なお受ける電話には影響ない)。利用者はまことに弱い立場なのです。これがTelekom Malaysiaの実態です。

追記:3月末になってもまだ、通話調査の結果報告手紙は届いていません。市内通話しかできない措置に切り替えているので間違い請求は起きえませんが、これでは不便えすし、調査の遅さにはあらためてあきれます。


【アカデミー賞で受賞したインドのスラムを題材にした映画のことなど 】

第81回アカデミー賞の発表授賞式が行われたので、映画ファンとしてその話題を書きましょう。なお受賞式そのものには私は興味ありませんし、これまでもほとんどテレビで見たことがありません。 アカデミー賞で何々賞を受賞したから、その映画・監督・俳優などが際立って優れていることにはならないのは、よく言われていることですよね。しかし賞にノミネートされた、結果として受賞した作品は、注目を浴びた映画または今後話題を呼ぶであろう映画であることは確かでしょう。

今年のノミネート作品の中でIntraasia がシネマで観たのは次の映画です:Australia,  The Curious case of Benjamin Button,  The Dark Knight,  Slumdog Millionaire,  Tropic Thunder,  (Intraasia は映画は1品の例外なくシネマで見ます)

ノミネート作品は 50作品ほどもありますが、それが全部公開されるなんてことは米国以外どの国でもないでしょう。マレーシアで公開されたのは10作品にもなりません。ということからIntraasia はそれなりに観ている方だと言えるでしょう。たとえ話題作、受賞作でも、マレーシア市場に不向きな作品は公開されません。

でこの5作品中、Intraasia が最も印象深く感じ且つ佳作だと思った映画は、Slumdog Millionaire です。アカデミー授賞式前に米国での前評判を伝えていた、書いていた新聞でも、Slumdog Millionaireは好評を博していましたね。そして22日の授賞式の結果、Slumdog Millionaire は最優秀映画、最優秀監督賞、など主要な賞を含めて8部門で受賞しましたね。予算US$1500万という、ハリウッド基準ではごく低予算映画が、今アカデミー賞の最高評作品となったわけです。日本で Slumdog Millionaire は公開されたのでしょうか? もし今後公開されることになったらご覧になったらどうですか、とお勧めしておきます。

この映画はインドのムンバイのスラムの子供と若者を主人公にした西欧観客向け映画です。別に有名スターが出演しているわけではなく、全く知らない俳優と素人ばかりが出演しています。映画時評に多少釣られた形で観たのですが、観ているうちに引き込まれました。ボリウッド映画とはまったく違った描き方のインドを舞台にし、インド人を主人公にした映画です。ドキュメンタリーではないのでリアルな描写には欠けますが、インド以外の観客にスラムの一端を見せる点ではスラムの暗さを、英国人監督の技術なのでしょう、直接感じさせずにドラマ仕立てに描いています。最後に主人公のスラム出身青年はミリオネアークイズで最後までがんばりタイトルのミリオネアになります、同時にスラム仲間であったガールフレンドが自由の身になった、というハッピーエンドで終わります。映画はまず娯楽であるという点でもこの作品には満足しました。

この映画の中ではスラムを描いています、そして警察のあくどい取調べも描いています。こういうことは、マレーシア製作の映画ではまずありえません、いやむしろ許されないという方が正しいでしょう。いつも思うのは、マレーシア映画はなぜこの種のある種のリアリズムを拒否するのかということですね。暗部だけを描くことにはIntraasia は同感しませんが、流れの中で暗部に触れることも映画として必要でありまたは効果を高めるはずです。残念ながら、マレーシアではこの種の表現の自由度は今後も期待できそうにありません。

映画はたいへん影響力の多い娯楽であり、成功作であれば何百万人もの人が観るわけです。CD/DVD と海賊版が繁盛しインターネット普及している現代では、シネマ以外を加えれば1千万人を超える人が観ることも珍しくないでしょう。そして観客に大衆文化的影響を与えるまたは一般的印象・観念を伝達する程度は、書籍の比ではないことは誰でもわかりますよね。 視覚の与える効果は多大であり、映画スターが流行とファッションに与える影響も見逃せません。こうして映画は今でもさらにこれからも娯楽の汪様である事でしょう。 ハリウッド映画が圧倒的主流のアカデミー賞において、西欧向けに製作されているがハリウッド映画とは言いがたい、しかもインドのスラム子供と若者像を主題にした映画が、主要な賞を得たことは、映画ファンとしても嬉しいことです。アカデミー賞なんて単なるお祭りであるという主張に同感しながらもです。

観たその他の作品を一言評しておきます。
Australia:凡作なので、長い3時間の上映に少し退屈しました。アボリジニに光を当てたことは評価します。
The Curious case of Benjamin Button: 映画の意表をつくテーマは賞賛しますが、私の好きな俳優の1人であるBrad Pitt は特に際立った演技を見せたとは思わなかった。
The Dark Knight: 確かに助演男優賞のジョーカー役 Ledger は光っていました。
Tropic Thunder: 凡作の1つであり、コメントするまでもないほどです。


【郵便受けに投げ込まれるチラシの話題 】

毎日いろんな広告チラシが、アパートの郵便箱に投げこまれています。1つ1つしげしげと眺めるようなことはありませんが、一応ざっと素早く目は通します。Intraasia は何であれ社会生活に関連することは興味ありますので、雑情報の一つとして見るということです。さて昨日入っていたチラシに、 「Japanese Food Fair  日本の味わい 3月12日-31日」 と銘打ったA4サイズの広告が混じっていました。 我が家の比較的近所にある Berjaya Times Square 内のスーパーが主催する売り出し広告と理解しました。

Intraasia は昔からどの国に滞在または住もうと、日本食品類を全く買わないし、食べないので、それを求めて Jusco やIsetan へ買い物に行くなんてことはありません。よって日本製飲食品・料理類の知識は確実にお粗末と言えます。そこで、「味覚を誘惑する品揃えは 200種以上」と印刷されたそのチラシを、ホーと思ってしげしげと眺めました。

写真が載った商品には漢字カタカナも併記されています。 いくつか上げてみましょう:
日清インスタントヌードルカップ麺 RM 4.99 (3個買うと1個おまけ)、 チョーヤ梅酒 ノンシュガー蜂蜜 700ml RM 109.99 (1本買うとベイビーチョーヤをおまけ)、 何種類ものチョコレートやキャンデーの写真を添えて 明治商品 チョコレートとキャンディ  RM 7.99、 明治ハローパンダ RM 12.99、 グリコポッキー RM 12.99(普段はRM 17.99)、春日井 大袋わさび豆 RM 18.99 (普段はRM 26.99)、 ぽたぽた焼き、雪の宿などの写真を添えて日本のせんべい RM 8.99、 ニコニコのり 100パック RM 16.99、 インスタント味噌汁(各種袋の写真) RM 14.99 (普段はRM 19.99)

昔日本で食べたポッキーって美味しかったなあ、へー 13リンギットもするんだ、 味噌汁は1人用小袋当たり 1.5リンギット につくわけだ、チョーヤの梅酒って日本でいくらぐらいなんだろう?カップヌードルが1個5リンギットもする、高いなあ などと思いました。

ほとんどの在住者はこの種の知識は豊富でしょうから、改めてこんな小話は読む必要はないでしょうが、マレーシアになじみの少ない読者のためにちょっと書きました。なにはともあれ、クアラルンプールは便利な大都市です。確かにバンコクやシンガポールにはかなわないけど、ショッピングセンターでは日本の何々を各種売っているし、いくつあるのか数え切れないほどたくさんの日本食・料理レストランがクアラルンプール圏にはあります(味とサービスと値段については全然知りません)。 まあ、大多数の中長期日本人在住者には、物質的に大きな不自由感なく過ごせるのではと、私には思えます。 ということで、マレーシア第 2の我が家プログラムに参加するしないに関わらず、クアラルンプール圏でしばらく住んでみるのもいいですよ、と推薦も加えておきましょう。



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