「今週のマレーシア」 2001年5月と6月分のトピックス

・新建設されたKL Sentral駅内の案内表示に思う  ・ボルネオ島部の先住民族の自然観を紹介
電話マナーの悪い人が実に多い  ・ 続・インタネットカフェ最新事情と、それにまつわる裏事情
マレーシアで使われない呼び方を日本語の呼称でなぜ使うのだろうか? 
スーパーマーケットの話しとその商品の値段を例示悪質タクシーは絶えない  ・数字で見たマレーシア その10



新建設されたKL Sentral駅内の案内表示に思う


4月の後半の巻頭に次ぎの一文を載せたので、再録しておきます。KLセントラル駅のことだけでなく、ちょと気になる点があるのでこの一文を話しのとっかかりにして、この気になる点を書いてみましょう。

新鉄道駅の観察から


今月4月16日オープンしたクアラルンプール セントラル駅の情報と案内を 「マレー鉄道の旅と案内」に新規項目として掲載しておきました。ご覧ください。ところでその中で少し触れたのですが、この新駅ビル内の案内表示板の使用言語としてマレーシア語と英語に加えて日本語が併記されているのです。駅はモダンで明るくたいへん使いやすい構造で感心しましたが、それ以上に驚いたというのが正直な感想です。日本人利用者がそれほど多くは見こめないこの鉄道統合駅KL Sentralの案内表示になぜ日本語表示が併記されているのだろうか?

このことは、KLIA空港内の案内表示とAero Trainの音声発車案内に日本語が第3言語として使われている以上に、意外なことです。日本人旅行者と在住者がクアラルンプールよりずっと多いバンコクの空港と鉄道駅、シンガポール空港でさえ日本語の併記は例外を除いてありません。マレーシアはここまで日本人に気を使っているのでしょうか?いずれにしろ好評価しようではありませんか。

ただ好評価中に失望点を書けば、Ticket Counterの訳にチケットカウンターなどと誤訳している。自然な日本語では、乗り物のTicketは切符というべきなのにね。チケットじゃコンサートや映画の切符をイメージしますね。またBas、Taxi もご丁寧に訳してバス、タクシーなどと併記されている、こんな単語どんな日本人でもわかるでしょう。旅行者がもっと知りたいのは、切符をどうやって買うかとか、タクシーの料金はいくらなどという情報ですよね、しかし残念ながらそういう情報はマレーシア語と英語でさえ掲示されていない、基本的な情報提供のあり方がわかっていないなとつくづく感じました。

KLIA空港でもそうだが、旅行者の一番知りたい情報が公示・掲示されていないので、窓口で尋ねるしかないのです。これでは同じ質問ばかりで嫌気がさした窓口係が不親切になるのは目に見えている。どうしてマレー鉄道やKomuter路線図が掲示されてないのか、運賃表が掲げてないのか。マレー鉄道当局よ、Intraasaiをアドバイザーに雇いなさい!と手紙を書きたくなりましたね(半分ぐらい本気です)。
以上

これは巻頭ページに載せた一文なのであれこれと書かなかったのですが、筆者にはこの日本語表示にひっかるものがあったのです。ひっかかるといっても、そんなもの要らない、ということではありませんよ、誤解なきように。尚日本語の表記がおかしいという上記の私の指摘は、技術的なことで当コラムの主題から外れます。

KLIA空港内の案内表示には以前からある日本語併記

KLIA空港の案内表示に関して言えば、日本人の入国者数がマレーシアにとって上位第3位にはいるくらい多いとはいえ、この空港の案内表示:英語とマレーシア語、に日本語が併記されているのは、筆者には以前から不思議でした。98年の開港当初はなかったのですが、その後しばらくして日本語が追加されました。でこの私の疑問の一部が次ぎの華語新聞の記事で解けました。

4月28日付け「南洋商報」の記事から関連部分のみ抜粋します

コタバルで行なわれた華人コミュニティーに関わる教育セミナーの中で、教育省の副大臣が述べました。「KLIA空港では華語でなく日本語の案内表示が用いられていることに関して、与党華人政党MCAの党首がすでにそのことを取り上げていますので、将来善処を期待しています。尚追加しておけば、日本語案内を併記しているのは首相の意向です。」 と。
以上

華人の視点から考えて見る

日本人としてマレーシアの玄関空港に日本語が使われていることはうれしいことです。ただマレーシア観察者としていえば、ことはそれだけでは終らないのです。なぜならマレーシア国民、特にマレーシア華人の視点で見れば、KLIA空港に、国内で特に華人対象には相当広く用いられている華語の表示がなくてなぜ日本語表示があるの?という思いがでてきても決して不思議ではないでしょう。

マレーシアでは、華人だけ対象の文書・お知らせ類は、華語と英語の併記又は英語主且つ華語従又はその反対として用いられるのが一般的でしょう。しかし、華人がその対象に含まれていても、公的機関から一般大衆宛ての通知・文書類には華語の表記は決してありません。簡単に言えば、民間企業の、例えば銀行のATMの画面、ビジネスの宣伝、お知らせ、非公的団体関係のお知らせなどでは華語が併記されていることが多いのです。

マレーシア訪問者数の面からいうと、中国人、台湾人、華人大多数であるシンガポール人の訪問数合計は日本人のそれをはるかに上回ります。マレーシア訪問は何もKLIA空港からだけではありませんが、KLIA空港は何といってもマレーシア第一の空港ですから空からの入国者数では他空港をぐっと抜いていますね。で、シンガポール人はマレーシア訪問者数のダントツNo1であり、さらに中国からのマレーシア訪問者数は99年から急激に増えてきて、多分2001年は日本人のそれを抜くかもしれません。つまり華語(中国語)話者又は理解者の訪問数は、日本語話者のそれよりはるかに多いのはまぎれもない事実です。ですから、マレーシア国内での華語の立場とこの外国人訪問者の顔ぶれからいって、なぜ空港案内表示に華語が併記されていないのだろう、という疑問は、華語を重んじる立場の華人界の一部には当然の思いでしょう。

英語メディアだけではマレーシアはよくわからない

空港の案内表示に華語を併記すべきかすべきでないかをここでは論じませんが、こういう華人の思いがあることは知っていただきたいものです。そしてこういった主張はまず英語紙には載りません。マレーシアを知るには英語メディアだけに頼っていては不充分であることを、こういう例からもおわかりになって欲しいのです。もちろんマレー人コミュニティーの考えと行動を知るには当然マレーシア語マスコミが一番詳しいのはいうまでもありません。特にイスラム教に関する論議などは、英語紙と華語紙ではほとんどわかりません。(ですから筆者にはよくわからないということです、さらにイスラム教論議は非ムスリムにはあまりにも縁遠いという面もあります)

マレーシアが多民族社会で複数言語社会であることから、各言語紙はそれぞれの民族又は話者対象に編集されていますから、その内容は対象民族に関わりの深い又は興味のあることにページを割くのは当然ですね。華語紙主用3紙:「南洋商報」 「星洲日報」 「中国報」は、各紙とも地域版ごとにその地元の華人コミュニティーのニュースを細かに載せています。例えば首都圏では、クアラルンプールとスランゴール州の華人コミュニティーの細かな問題、活動、ニュースが載っています。ペナンで発行されている「光華日報」は全国紙ではありませんので、ペナンと半島部北部州の華人コミュニティーについて詳しいです。サバ州とサラワク州にはそれぞれそこだけで発行されている華語紙が数紙ありますが、半島部在住の筆者にはほとんど入手不可能ですのでここでは触れることはできません。

華語紙の特徴はいくつかあるのですが、華人コミュニティーにとっては教育がたいへん大きな関心事なので、華文小学校の存在が重要な意味合いを持ち、これを含めて華人の教育に関する話題が多いことです。例えば地域の華文小学校の運営と維持と増設などに地域の華人コミュニティーからの協力が必須なので、新聞はそのニュースを頻繁に伝えます。これを読むだけでも華人コミュニティーにとっていかに華文小学校が大切な存在であるかが伝わってくるのです。これは英語紙だけを読んでいては伝わってきませんね。

注:国民型小学校つまり華文小学校は国民小学校と違って、学校運営の必要資金を国から全て得るわけではありません。

今年初め頃からクアラルンプールのダマンサラである華語小学校が老朽化と地域発展の理由から他校に吸収・閉鎖される問題が、その地域の華人コミュニティーの枠を超えて、全国的問題にもなりました。直接関係する地元華人コミュニティーも賛否で割れて、いまでも解決してないある意味では重要な問題です。華語紙は当時詳しく報じていましたが、これも華人コミュニティーにとって、ある一華語小学校の閉鎖は単なる人ごとでないからこそ、これほど全国的問題になったのです

非ムスリムの筆者がムスリムコミュニティー独特の問題と思想に深く踏みこむためには、イスラム教の知識と高度なマレーシア語が必須ですが、ことはまこと簡単ではありません。ムスリムのありかたを懇々と伝える記事が常時載っているマレーシア語紙を丹念に読めば、マレー人のあり方をもっと知ることがきるかもしれないなあ、とは思いますが、全然手が出ません。

マレーシアだからといって他民族のことに精通していることはない

マレーシア人が毎日各言語紙や雑誌などを幅広く読んでいるわけではないのは誰でも知っています。研究者やジャーナリストでなければ別にそこまで読む必要はないでしょう。イスラム教の教義をよく知っている華人はごく少ないでしょうし、華人の宗教の表面的あり方は見て知っていても、その内容をよく理解しているマレー人はこれまたぐっと少ないはずです。多くの人はそれぞれの民族グループ又は言語グループの中に属しながら他のグループとはつかず離れずで暮らしているから、基本的に自グループの話題・関心事をよく知っておればそれでいいのは、いわば当然ですね。もちろん多民族国家として他グループの信条とあり方の最低限度は誰でも心得ているべきですが、それ以上を期待するのは、人は誰もが学者・政治家ではありませんから期待すべきではありませんし、現実的にも不可能です。

繰り返して言えば、大多数の人はそれぞれ属する自グループの中で日常を過ごしながら他グループの人とはつかず離れずに暮らしているのです。ただ田舎のカンポンとか都市の一部では、他民族とほとんど接触なく暮らせますから、そういう所で又は状況で暮らす人にとっては、他民族グループとのつきあいが極めて少ない場合も出てきます。

言語だけが民族間の境界ではない

多民族国家だから人々は日常的に頻繁に他民族グループの人とつきあいがあるのだろうと考える方がいらっしゃいますが、それは間違いですね。もちろん他民族グループと挨拶程度はするとか、客として相手する、さらに雇用被雇用のとしての関係は多くの人が持っていますが、それ以上に進むことがあまり多くないのは事実です。マレーシア国内でもこの傾向を心配する、憂慮する声もあるし、それを小学校の学制のせいにする声もあるのです。

注:学制に関しては以前のコラムで数回触れていますので、参照してください

しかし学制のせいにする声に強く反発する声が華人界から聞こえてきますし、単に小学校の学制が民族の境界をより高いものにしているとは筆者も思いません。

参考:「言語が一つだけであれば民族間の融合を達成するのが簡単に進むという人がいるが、それは間違いです。言語は一つの要因で、共通の文化、宗教、価値観を持たないといった他の要因があるのです。」と華人の全国的教育団体である董教総の幹部の言葉。

そうです、言語だけが各民族間の境界ではないのです、文化、慣習そしてこれが一番であろう宗教ですね。この違いの大きさにも関わらず無理してその境界を低くしようとするためには、どの民族も妥協を、寛容さを必要としますよね。しかしことはすべてに平等に進まないのは世の常です。こういう場合ある民族・グループがより妥協を強いられがちです。ここに境界を単に低くすることへの反発が妥協を強いられやすいグループから生まれてきやすいのです。

傍観者であっても物事に深く迫ることはできる

このように多民族社会の抱える問題は複合的で、一つの融和政策を施行すればすべてが片付くほど簡単な問題ではありません。そういう時ある民族グループの立場を比較的よく反映するメディアだけを読んでいては、不充分です。マレーシア国民であればどこかのグループに所属意識を置いてその立場に立つわけですが、我々外国人は特にある立場に立つ必要性はごく低いですよね、相当程度傍観者であればいいのです。しかし傍観者だからといって、どうでもいいやとか関係ないや、でいいとは思いません。特にマレーシア観察者としての筆者は、できるだけ様様な現実と幅広い意見に接しようとしてきました。そしてそれを踏まえて、この場で発表しています。



ボルネオ島部の先住民族の自然観を紹介


サバ州とサラワク州はマレー人を除く先住民族がその州人口の約半数以上を占める最大グループです。一般にこの先住各民族はブミプトラという範疇に分類され、相当細かい統計でない限り何何族が何人などといった数字はでてきません。小数民族の常で、サバ州又はサラワク州のブミプトラと一括して呼ばれてしまうことがほとんどです。そう一括されないのは、それぞれの州内の最大民族であるはカダザンドゥスン族とイバン族(ダヤック族)の場合ですね。

ブミプトラの話しではその相対数をまず知っていただく必要がありますので、次ぎの表を掲げておきます。
半島部とボルネオ島部別の民族人口比

半島部のみ


マレー人その他のブミプトラ華人インド人その他人口計
1998年59%1%28%9%3%1676万人

サバ州


マレー人カダザン人その他のブミプトラ華人その他人口計
1998年9%24%39%14%13%172万人

サラワク州


マレー人イバン人その他のブミプトラ華人その他人口計
1998年22%29%20%27%1%198万人

注:サバ州とサラワク州にインド人はきわめて少ないのでその他に含まれます。サバ州でカダザン人が州内ブミプトラ中の最大民族、サラワク州ではイバン人が州内ブミプトラ中の最大民族なので、上記では別に表示されているのです、その州の他のブミプトラと本質的な違いがあるわけではありません。


サバ州サワラク州のことは半島部からはわかりにくい

さてサバ州とサラワク州のマレー人以外のブミプトラをここではもう少しわかりやすく先住民族という(多分)民族学起源でジャーナリズムですでに市民権を得た呼称で呼んでおきます。

サバ・サラワク州の各先住民族は歴史的経緯からマレーシアと近隣国間で国境の枠を超えて住んでいます。例えばイバン族などはインドネシアのカリマンタンに多数居住し、バジャウ族はフィリピンミのンダナオに近いスルー諸島に多数が住んでいるような例です。このあたりの国境は西欧植民地列強がその当時それぞれの利益のために引いた面が多いから当然の結果ですね。

サバ・サラワク州つまりボルネオ島部のことは半島部との違いの大きさから、半島居住者の筆者にとって非常にわかりにくいことであり、且つ細かな状況はメディアを通して断片的に伝わってくるだけです。全国紙もテレビもすべて半島部が主たる編集・発行市場であり、当然そちらに主力を置いていることは明らかです。ですからサバ州とサラワク州にはそこだけで発行されている地方紙が今でもそれぞれ数紙が残っているのです。

こういったことから筆者はこれまでもサバ州又はサラワク州に絞ってこのコラムを書いたことはなかったのです、コラムの中で時折焦点を当てて触れる程度でした。それはサバ州とサラワク州には興味ないということでなく、よく知らないことを知ったかぶりで書くのは私のありかたでないというのが最大の理由です。サバ州、サラワク州に関しては、日本人研究者の方々が何種もの本を出版されているので、興味を持たれた方はそういう書でより知識を深めていただくのもいいでしょう。もちろん筆者もいつかはサバ州又はサラワク州に絞った深いコラムを書きたいなと思っていますよ。

サバ州サラワク州売りこみは一面的だが

さて5月8日のTheStar紙になかなかいい視点の特集記事が載りました。一般にマレーシア政府が観光省、観光振興局などを通じて世界にサバ州サラワク州を売りこむ、宣伝する際の特徴は、ジャングル、洞窟などの山野の自然とそこに棲息する動植物、ダイビングスポット、そして小数民族の民芸品とロングハウスに代表される小数民族の生活風景のごく一端ですね。官の立場から当然と言えば当然といえる売りこみ方と品目であり、その中では先住民族の抱える問題や環境問題はほとんど見えてこないですね。旅行代理店のパンフレットや旅行雑誌の紹介記事も大同小異ですね。

筆者はこれを一概に批判する者ではありません。観光産業はサバ州サラワク州にとって非常に重要であり且つ多くの住民もその活況化を望んでいることでしょう。そのために世の旅行産業と旅行者に迎合するイメージを売らねばならないのは、残念ながら事実でしょう。旅行産業は多大にイメージを作り上げ、旅行者はそのイメージを先行させますから、そのイメージをいかに創り上げるかがたいへん重要ですね。本質は、問題は当然後回しです。で当サイトは別に旅行イメージを創り出すことに手を貸す意図もそのイメージ向上に貢献するつもりもありません。しかしといって、官と旅行代理店の創り出すイメージを壊すことに力を注ぐ又は破壊することを目的にしているわけでもありません。

あくまでも多様なるマレーシアを伝えるのが私の目的であり、それが結果として旅行者の抱くイメージを壊すこともあるでしょうし、反対により興味を起こさせることもあると信じております。

でここで紹介するStar紙の記事は官の立場からでなく、記者名から推測すると恐らく半島部出身でない思われる記者が書いた記事です。サバ州・サラワク州に詳しくない方、興味をこれまで持たれなった方にはきっと、あれっこんなことは初めてきくことだ、と感じられるかもしれません。もちろんこの種の論調はいわゆる小数民族応援NGOや環境保護団体の論調に見られるもので、それほど目新しいものとは思いませんが、日本人や西欧人が書いたものではなく、地元の記者がどう同感して書いたかを読み取っていだきたいと思ったので、このコラムで全訳して紹介しておきます。

以下は環境特集ページの中の一記事を翻訳したもの

(サラワク先住民族の一つ)プナン人(Penan)がジャングルである資源を見つけると、彼はそれに自分が所有者だとの印をつけます。この所有権を宣することは地元でmolong と呼びます。一度molongがなされると、他人はその所有者の許可なくその資源を取ることはできません。所有者がその資源の面倒を見るのです。

「プナン族や他のサラワク州先住民族は各種の資源をどう扱っていくかにたいへん詳しいのです」とサラワク人であるJacqualine Nangku Insham,とKomoek Joe の2人はその意見を述べました。これは「生物的多様性と先住民族の知識体系」と題するクアラルンプールで開催されたセミナーでの発表中の発言です。このセミナーは"先住民族のネットワーク" とマラヤ大学の法学部が共催しました。

「例えば伝統に従えば、ジャングルで籐を集めたいと思う者は誰でも熟した幹を選ぶ必要があります。熟していない籐は採らずにそのまま残しておきます。」目に入る籐を全部採ってしまい将来の世代に何も残さないような考えの足らないよそ者と違って、プナン族は伝統に立つのです。先住民族はこう考える、神が全てを創りだした、だから神の創造物を守っていくのが彼らの役目だと。「狩人はむやみやたらに殺さないのです。彼はその家族に必要な分だけ殺すのです」とjacqualineと Komoekの2人。 「もし我々がむだ使いで欲張りであれば、神とジャングルの守りが我々を嫌って、我々がその間違いに気がつくまで我々の欲しい物を与えてくれないでしょう」 

「それはサバ州の先住民族にも同様に抱かれる信条です。」 とサバ州を地元とする コミュニティー発展と援助のための仲介者でPacos基金の幹部Gallusは語っています。Gallusもこのセミナーで”サバ州の先住民族の知識をよく知る”と題する発表をしています。

物と悪のたたりを含めて神の創造物は全て尊敬されるべきです。これがサバにおける先住民族の信条体系の基本なのです、とGallus。「サバ州の先住民族の精神的ありかたは神の創造を守ることと敬うことにつながっています。」 「サバ州先住民族の自然資源を扱う態度は精神の守護者を敬うことに基づくのです。この精神の守護者は物理的と精神的世界に影響を与える存在です」とのこと。
「もしある資源が乱されれば、その周囲の環境が妨げられるのです。」 「 この信仰を通じて先住民族はそれぞれの資源とそれが他と関わる関係に尊敬の念を抱き且つ責任を持つのです。」

これは保護主義者が長年説いてきた 互いに連動しているという自然の法則なのです。ある場所の生活の網を乱せばその結果はどこか他の場所で感じられるのです、ちょうど地球の温暖化現象のようにです。

サバ州の先住民族はカダザン語でGompi Gunoという”注意して使う”という原則にも忠実です。「この原則は資源を短期間に使いきらないように、次ぎの世代にも残しておけるようにと、彼らに注意深く資源を使うことを呼びかけています。」 「例えば、しだを刈り採る時、コミュニティーはその日に必要な分だけ採るのです。必要分以上を採りません。」とGallusは説明します。

上記の2つのことばが明らかにしているのは、こういった態度は連邦政府と州政府に引き継がれていないということです。バクーンダムをみてみましょう、このダムは先住民族による伝統的ジャングル運営を脅かす多くの発展局面の一つにすぎません。「森林伐採、パームオイルプランテーション農園は常に破壊を呼び起こしている」 とJacqualine とKomoekは訴える。
ジャングルの生態系が破壊される時、先住民族は脅威に及ぼされます、なぜなら彼らはジャングルに依存しているからです。「ジャングルは彼らの銀行であり、経済資源であり、スーパーマーケットなのです。」とJacqualine とKomoek。

ジャングルの湿地帯を残しておくことで保護へと政府は手をうとうとしても、それが先住民族にとっての状況をより悪いものにしていることがあるのです。公園、貯水池、自然動物保護区などを設定する際、その範囲決めに非常に柔軟性のない政策のために、先住民族はこれらの施設を使うことを許されないのです。先住民族はその地を、その場所で、何世代も住んできた、使用してきたという事実があるにも関わらずにです。

「政府がある地を貯水地専用と法で定めても、先住民族には狩りと医療植物採集を許すべきです。」とGallusは語る。彼のいうことには道理がある。保護を訴える団体は長年政府に、ある地域の保護に入るときは先住民族と一緒に働くようにと訴えてきた。そうでなければ、こういった先住民族はその地域を守っていく優先権を失ってしまうことになる。決められた範囲の地に入りこんで来ないようにする必要があるのは大規模開発の方であり、すべてのジャングル資源を1度に剥ぎ取ってしまわない先住民族を入り込まないようにしてはいけません。

「先住民族の信仰システムを脅かしているのは別の面でもあります。それは宗教機関です」 とGallus。「複数の宗教機関は先住民族の信仰に理解力が浅いか寛容でないのです。このため彼らは(宗教機関の伝える)宗教を受け入れた時ジレンマに陥るのです。」 教育システムでさえ先住民族の資源活用法の知識を妨げている一因です。「正規の教育においてはこういった先住民族の信仰を非科学的だと見ます、なぜなら正規教育は自然と精神の世界の間にある関係を認めないからです。」

Intraasia注:それはここでいう正規の教育体系が自然との調和を重視しないいまだ古い学問を下敷きにしているからなのでしょう。現在世界の学問は開発の負の面の影響を考察してそれを視点にいれた学問に変化してきたはずです。だから正規の教育体系一般が悪いのではなく、そういった反省し且つ進歩した教育思想を取り入れない特定の教育体系が悪いというべきではないでしょうか?

このために、先住民族の知識を知っていながら彼らに報いることなくその知識を無節操に求める人たちによって、先住民族の知識を利益のために利用されることに結びつきました。 「自分たちの経験と情報を他人と共有することに寛大な先住民族の性格が、簡単にそういった無節操な人々に利用されるのです。」とGallusは語る。


「サラワク州の先住民族は自然と共存する生活を守ろうとしてきました」とJacqualineと Komoekは語る。「彼ら先住民族は政府に手紙を書いたが役にたたなかった。森林伐採とオイルパームの会社に直接接触を試みたが、それは無理であった。別の方法として、地図に彼らの慣習的土地の境界を明示することです、そうすれば外から来た者は先住民族がどこに住んでいるかはっきりとわかるのです。」と2人。「例え先住民族が”自然慣習権利” の基でジャングルに諸権利を持っているとの証明を提出しても、デベロッパーはジャングル内に侵入し続け、生態系システムを破壊するのです。」
「先住民族の中には自分たちの土地が侵入される時、そこにつながる道路を封鎖する行動にでるものもいます。」 さらに 「一般にデベロッパーは簡単に当局を呼び先住民族を逮捕し道路封鎖を壊してしまいます」と、2人は語っています。

そしてここに問題が存在するのです。この国では法律は先住民族の信仰体系に何らの考慮を払っていないのです。それゆえに生態系と先住民族への知識に関する政策と規則は見直しされるべきです、とGallusは思うのです。尚政策と規則とは、公園法、自然動物森林法、貯水池法、土地布告法などをいいます。

「先住民族の考えの価値と概念をよく理解するようにと人々に強調すべきです」 「宗教機関との話し合いと相互尊敬をもった開放的ありかたをこの努力の基本にすえるべきです。」 とGallusは訴える。教育システムでさえ先住民族の貢献に報いるためになす余地がある。「例えば先住民族による資源運営と生態系保護のあり方を調べる研究を奨励すべきです。先住民族の知識をもっと文書化して残し、広く普及させるべきです。」

科学者の中でこれに興味あるのはいるのだろうか?国の知識を基本にした経済の中で、熱帯雨林はその次ぎに大事なものです、とマレーシアの副首相アブドラーが言うように、こういった研究は次ぎに光を浴びる分野であるのです。
以上翻訳終り

皆さんがもしサバ州又はサラワク州を旅行される時があれば、こんなことも頭の片隅にとどめておいて思い出していただければな、とIntraasiaは願っています。



電話マナーの悪い人が実に多い


ぶっきらぼうなかけ手

”Hello ” 家の電話が鳴って受話器を取って、「ハロー」と言います。
"Ahmad ada?" 「アーマッドいるかい?」 とマレーシア語の声です
" Tak ada" 「いないよ」 とひとまず私は答えます
" Siapa tu?" 「あなた 誰なの?」 と間違い電話のくせに失礼なこと尋ねてくるので、
" You, nombor salah " 「あなた、電話番号間違ってるよ」と私もぶっきらぼうに答えてやります。

以上のような間違い電話をたまに受けます。突然マレー人からかかってくるのは100%間違い電話ですから受けた瞬間間違い電話とわかるのですが、こういった電話マナーをわきまえない者が多いですよ。大体いきなり"Ahmad ada?"といった「誰々(の名前を挙げて)いるか?」と聞いてくるのがいるんですね。お前、マレー人の癖に電話のかけ方知らないのか、と言いたくなります。

私がどこかの会社に電話をかける時はちゃんと "Bole(kah) saya bercakap dengan Encik Mohamad?" 「モハマッドさんと話したいのですがよろしいでしょうか?」 と丁寧というか電話マナーに従って尋ねます。尚 "Bole tak saya bercakap dengan Encik Mohamad?" も電話マナーに合っているそうです。"Ahmad ada?" とか "Panggil Yusof" 「ユソッフ呼んでくれ」 なんて傲慢ですね。

解けない疑問

その尋ねられた者の名前を復唱して 「誰々いないよ」 と私が答えた後、不思議なことにこれはマレー人に限られるのですが、" Siapa tu?" 「あなた 誰なの?」と聞いてくることがあるのです。いないと答えているのに、しかも私の発音からマレー人でないことは相手にわかるはずです。それなのになぜ「お前は誰だ?」などと言った質問をするのだろう、この疑問は今だに解けません。

注:電話の挨拶で通常マレー人同士だと初めからわかっている時は、通常
"Assalamualaikum" 「アッサラームアレイクム」 とかけたほうが言い、
"Waalaikumssalam" 「ワーレイクムサラーム」 と受けた方が答えますね。
両方ともムスリムですから、アラビア語の挨拶をマレー社会に取り入れている例です。非ムスリムは、外国人を含めて、間違っても 「ワーレイクムサラーム」 と答えませんよ。
尚 マレーシア語で電話かける時次ぎのように繰り出すのが一番無難だそうです。 "Helo. Selamat sejahtera. Ini -----"


間違い電話かけた相手がガチャンと切る

華人からの間違い電話だと次ぎのような例が多いですね
"Hello " ハローと答えると(たまに"Wai" と広東語で言うこともあります)
”me goi, giu A-Lim " 「 リムさん呼んでくれるかい?」と聞いてきます
" me hai ni tou ah"  「ここにはいないよ」 又はもっとはっきりと " nei da chou chou la" 「間違いですよ」 と私は答えます
"Sorry“ と言って電話を切る人と、何も言わずにガチャンと切る人に分れますね。しかし" nei hai pin wai?" 「あんた 誰?」などと聞いてくる人はまずいません。

注:上記の広東語は中国漢字が表示できないのですべて当て英字で代用しています


上の例のように、電話かけてきた者が間違ってかけけてきたのに、"Sorry",  "maaflah" (マレーシア語)、"doi me chee"(広東語) といった簡単なマナー言葉さえ発せずに一方的に切ってしまう場合が、これらの言葉を言う人の場合より多いのです。つまり間違い電話をかけたくせに一方的にガチャンと切る人は、民族に関わらないのです。"I'm very sorry to bother you" 「あなたを煩わさせてたいへん申し訳ありません」 などといった丁寧な陳謝の言葉を、筆者は期待しているのではもちろんありません、ひとことのマナー言葉を聞くだけで十分だと思います。しかし一言もないのはいけませんね。

丁寧な断りは少ない

こういったことと長年の様様な電話会話経験から、丁寧な電話をかけてくる人はたいへん少ないといえると思います。
上に書きましたように、丁寧というかマナーに乗っ取った電話会話はビジネス電話でも少なく、 "Can(May) I talk to Mr. Rashidi? " と言うより “Mr.Rashidi, please" といった省略形が多いですね。
会社とか役所に尋ね事とか調べ事で電話すると、「Don't know la" とか " Tak  tahu"、 両方ともぶっきらぼうな 「知らないよ」ということですが、といった言葉を聞くことが多いですね。"I'm sorry not to be able to help you, Sir. " 「お役に立てなくて申し訳ありません」 といったしゃれた又は丁寧な返事はごく少ないのです。

何も言わずに担当部署に電話を回す

またちょっとした規模の会社に電話して最初に応対に出た女性に、受付の場合が多いが、次ぎのような応対も多い。
"Will you pass this line to your Sales Department? " 又は" Can I talk to the person in charge of the sales?"  「営業の方に回してください」 と尋ねると、何も言わずにその部署なり人に回すのです。つまり受話器を通してビービーと呼び出し音だけが聞こえるので、ああどこかに電話を回しているのだなとわかるのです。”Hold on, please." " Wait a minute, please" 「少少お待ちください」 といった当たり前の応答を期待するとがっかりすることが多いんです。

"Saya nak bercakap dengan Cik Siti." 「シティさんとお話ししたいんですが」
"Hari ini dia outstation lah" 「今日彼女はいませんよ」
"Bila dia balik ke pejabat?  Esok kah?" 「彼女はいつ会社に出てきますか?明日ですか?」
“Saya tak tahu lah" 「知りませんよ」
"Tolong tanya orang lain bila Cik Siti pulang" 「じゃあ、誰か別の人に彼女がいつ戻るか聞いてくれませんか?」
この後誰かに電話を回してくれれればいいのですが、その時無言でまわしてくれることが多い。そうでなければ「明日また電話しなさい」と言われることになります。

注:outstation は典型的なマレーシア英語で、その町にいないということ。仕事なり休暇で出かけている時に使います。ペナンの人がクアラルンプールなど多少遠いところへ出かけた時などに使います。


多民族混合社会で日本型は期待しない

マレーシア社会は多民族混合社会ですから、日本流のばか丁寧応対を期待しているわけではありません。単に応対マナーとしての応対を期待するのですが、それでも期待にはずれることがよくありますね。マレーシア人は言語混在社会ゆえからその口語表現は概して簡略化されています、その代表がマレーシア英語ですね。多少とも回りくどい言い方は避ける、又はそういう言い方ができない、知らないので、上記の例のように "Don't know lah" 「知らない」 とか"You want to talk who" 「誰と話したいって」 といったブロークン英語になりがちです。これはマレーシア語であっても、例えば"Panggil Yusof" 「ユソッフ呼んでくれ」などと極めて単刀直入ですね。

注:マレーシア英語に関しては、当「今週のマレーシア」の過去のコラムで詳しく解説しています


少ない語彙もその一因

この態度と表現法は民族に関わらずマレーシア人に一般的で、例えば華人がマレーシア語で電話している時、随分とマナーの悪い会話だなと思う時がよくあります。
マレーシア語の表現の貧しい華人が、"You, siapa?" 「あなた 誰なの?」 といった警察官の尋問みたいな言い方をしているのを聞くと、ひどいなあと思わずにはいられません。これでは聞かれたマレー人はいい気しないでしょう。
"Bolekah tanya nama anda?" 「お名前を尋ねてよろしいですか?」 ぐらいの表現をして欲しいものです、少なくとも私はこう言います。
マレーシア語を単にリンガフランカだけとして使っている華人の一部は、華語表現をそのまま置き換えたBahasa Pasarつまりブロークンマレーシア語で会話しますから、まことに語彙の少ない会話になるのです。それが"You, siapa?"式の表現ですね。

電話マナーの悪さの典型 華人男性

まあ簡略表現と単刀直入表現が一概に悪いとはいいませんが、時と場合と場所で使い分けるのがマナーだと思います。

電話マナーの悪いと言えば、まず第一に挙げなければならないのが、20代から50代くらいの華人男性ですね。一見ビジネスマン風とか自由業とかやっちゃん風のこの男たちはまこと傍若無人に携帯電話で会話しています。
どこであろうとつまりエレベーターの中のような閉ざされた空間で、深夜のアパートの廊下のように静かにするべき場所で、バスの車内、銀行、医院の待合ロビーなど公共の場所で、周りに一切遠慮せずに気を使わずに、大声で延々と自己の会話を誇示しています。その行為は相手から偶然電話がかかってきたので応対するという程度では全くなく、わざわざエレベーターに乗ったとたんに電話するのです。これは”内と外”との区別を全くできない小児症候群患者と同じで、言ってわかるような相手ではありません。そのためでしょう、通常誰も文句を言いません。

"hou, hou, ko to ge gaifan hou sik lah. gei tou tim? me tak, go hou mon lah, 9 dim ? ------" 「オーケー、そこのチキンライスは美味いぞ。何時だって?だめだ、おれはまだ忙しい、9時か?----」 などと下らない超私的広東語会話をエレベーター内で聞かされる身になって欲しいものですが、例え誰かがたしなめたとしても蛙の面になんとやら、彼らは全く意に介しません。私は心の中で"gaau chou, hou choulah, choppin gon lah" 「ばかやろう、うるせいなあ。外で話せよ。」 と思うのですが、やはり口に出しては言えませんな。

私もいつか携帯電話をもつ身分になったら、そこら中の場所でこれみよがしに電話してやろうかな。でも本能的に控えめで、マナーに乗っ取った紳士的行動をするIntraasiaには無理だろうな(笑)。
いずれにしろ、間違い電話したとわかったら、やはり ”Oh, I'm sorry"又は " Oh, maaf " 又は" Ah, doi me chee" と言いたいし、相手からそれを聞きたいものですね。



続・インタネットカフェ最新事情と、それにまつわる裏事情


99年4月にこのコラムの第139回で 「インターネットカフェ最新事情」 を書いてすでに2年、インターネットの世界と同じくマレーシアのインターネットカフェ事情も多少変化したので、その題名”最新”にもかげりが出てきました。そこで、改訂を兼ねて続編を書いておきます。

Cyberカフェはカフェではない?

マレーシアではインターネットカフェを通常Cyberカフェと呼びます。マレーシア語ではPusat Berinternet 又はInternet と表現します。しかし名は実態を示さないので、はっきりいって呼び方はたいして関係ないと言った方がいいでしょう。なぜならCyberカフェといってもカフェ機能を持たして営業している店はごく小数だからです。カフェとしてコーヒーなり軽食を供しているCyberカフェは、裕福層の多い地区の恵まれた場所か、外国人旅行者も客対象にした都会のにぎやかな場所やリゾート地の店に限られるといっていいでしょう。こういうCyberカフェは全体からみれば圧倒的に小数で、大多数のCyberカフェはカフェでないのです。せいぜい店の冷蔵庫に入れた缶飲料などの飲み物を客に売るとか自販機を設置している程度で、それすらないCyberカフェもずっと多いのです。

マレーシアのインターネットカフェが上で述べた理由以上にカフェでないのは、ゲーム場の役割を果たしているからです。インターネットカフェといえば、通常インターネットサーフィンすると思い浮かべがちですが、実態は必ずしもそうではないのです。「えー、インターネットカフェでインターネットしないの?」 と思われる方がほとんどでしょう。そんなことはない、マレーシア旅行で訪れた際、チャイナタウンのCyberカフェでは多くの客がインターネットしてたよとか、バンサ地区など外国人らの多い場所のCyberカフェはゆったりインターネットサーフィンできるよという方がいらっしゃることでしょう。その点に限ればその反論は正しいですね。

注:「インターネットサーフィンする」と上で書きましたが、筆者はこういう表現を現在日本では通常何というのか知りませんので、英語的表現になってしまいました


下町、裏町のCyberカフェの様子

しかし残り大多数のCyberカフェではそうではないのです。こういったCyberカフェは住宅地区の中にある商業店舗街の一角に店を構える、郊外の住居ビジネス混合地区に店を出す、下町の混合ビルの一角に店を出す、旅行者や外国人のほとんど訪れない地方の町の商業街に店を出すなどして、商売しています。

この種のCyberカフェは、ドアとかガラス扉をほとんど遮光したり又はドアそのものが極めて少なく、さらに内部は照明をできるだけ点けないようにして意識的に薄暗くしています。その暗さでは日中でも手元においた文書類を参照するのは難しいぐらいです。パソコンの発するゲーム音はできるだけ大きくというのが一般的ありかたです。でも客はこの薄暗さとうるささに困るどころかこういった薄暗さとうるささを好むのです。なぜこういう薄暗くうるさい所で遊びたがるのかは、それはCyberカフェの前身であるビデオゲームセンターの様子を知る必要があります。

Cyberカフェのちょっとした成り立ち

マレーシアでインターネットカフェが出現し始めた4,5年前は、Cyberカフェのオーナー・運営者はいわゆるゲーム産業のオ−ナー又は経験者でない人が多かったようです。そのため明るい店内にちょっとしゃれた雰囲気のCyberカフェを開店して、当時は1時間当りRM10からRM 6ぐらいの料金で、娯楽としては比較的料金の高い部類にはいりました。そのCyberカフェ業に次第にビデオゲーム業者が参入するようになり、狭い一地域に数軒のCyberカフェが営業するようになって、料金崩れと値下げ合戦が始まりました。それが2年ほど前の様相で、1時間RM4から5ぐらいの料金でした。

この状況を増進する変化が起こったのは、昨年です。長年、違法合法を問わず大抵のビデオゲームセンターはギャンブル機を置いて、学生層から勤め人層までをひきつけていました。ギャンブル機を置くのはいうまでもなく違法ですが、マレーシアのその手の業者、店舗は違法だからといって、はいはいとギャンブル機を引っ込める、商売をあきらめるような考えの持ち主ではありません。なぜ違法ギャンブル機がそれほど氾濫してもなくならなかったかは、当サイトのコラム 第234&5回をお読みください。

しかしそのビデオゲームセンターもさすがにやりすぎたため、前々からあった社会からのビデオゲーム場に対する批判が昨年中頃いつになく高まり、その社会世論に押されて、当局はついに年末をもって全国的にビデオゲーム場を閉鎖するとの命令を発したのです。それとともに警察をまじえて、ギャンブル機主体に取り締まり活動を強化しました。2001年1月初からはビデオゲームセンターは全面閉鎖しなくてもよいが、その場内に小型のゲーム機は置いていけないという当局の決定が伝えられました。小型のビデオゲーム機は稼ぎ頭であったため、これでは通常のビデオゲームセンターは商売あがったりです、さらにギャンブル機を置くための言い逃れもできなくなったはずです。

ビデオゲームセンターが続々とCyberカフェに変身

ビデオゲーム場が半ば閉鎖されてはさすがの業者も商売を続けられませんし、ギャンブル収入の道が絶たれます。そこで昨年後半あたりからビデオゲーム店舗と業者がインターネットカフェ業にぞろぞろと参入し始め、ビデオゲーム場が一時厳しき閉鎖命令を受けた今年初めから、制限のうるさいビデオゲームセンターをあきらめてどっとCyberカフェに鞍替えしたのです。

クアラルンプールのある旧地区など半径百メートル以内に10軒以上のCyberカフェが営業しています。筆者の記憶から、以前そのほぼ同じ場所はビデオゲームセンターだったのです。その地区に限らず筆者のよく知る多くの地区、いずれも中心部、高級住宅地ではない下町が多い、はCyberカフェが過当競争状態です。何軒も訪れて見た雰囲気は上記で描写した薄暗く且つうるさい雰囲気の店が大多数で、店に入った瞬間、かつてのビデオゲーム場を思い出させます。場所も以前ビデオゲームセンターがあったあたりです。さらに筆者の知人関係からの情報によっても、オーナーの多くは元ゲームセンター業者のようです。こうしたことから筆者は、現在の多くのCyberカフェは、もちろん全部ではない、ビデオゲームセンターを前身とするありかたを引き継いでいると断言できるのです。(筆者は自身でゲーム類は一切やりませんが、かつてこういうことに非常に詳しかった)

Cyberカフェとビデオゲーム場をつなぐもの

数ヶ月前筆者の古くからの知り合い華人が、首都圏のある町で長年営業してきたビデオゲームセンターをCyberカフェに改装、転身させるということで、筆者は数週間調査し開店を手伝ったのです(仕事としてでなく単に友人としての手助けです)。そこで上記で述べたように各地のCyberカフェを見歩く機会がたくさんあったわけです。

このためCyberカフェの最新状況がよくつかめました。客は中等教育を受けている生徒層から高等教育の学生層、さらに若い勤め人が中心で、圧倒的に男子が多い。女性客は男友達と連れ立ってくる以外に女性だけで又は女性1人で来るのは極めて少ない。かつてのゲームセンターが圧倒的に男の世界であったのと同様な傾向です。大中のショッピングセンター内にあるきれいな明るいファミリーゲームセンターと違って、断然数の多く小規模な下町の又は場末のゲームセンターはほどんどどこでもギャンブル機を多少なりとも置いて商売していたのですが、その店内外の姿と名前が単にCyberカフェとパソコンに替わっただけで、実質はほとんど変わってないのが、いかにもマレーシアらしいできごとです。

何が変わってないかといえば、当局の決めた規則をほとんどどこも相当無視して営業している、例えば営業時間は午前1時ごろまでに終了しなければならないのに明け方まで、ひどいところは24時間営業している、制服姿の中学生は入れてはいけないのに日中はそういう子供が客として多い、ドアを遮光して内部をあまり暗くしてはいけないのに遮光しているなどです(地方自治体によってこれらの規則は多少違っており、全国統一の規則は現時点ではまだない)。いずれもビデオゲームセンター時代の営業スタイルと大してかわりませんし、客もそれを期待しているのです。

守れるはずのない規則

じゃ当局はCyberカフェにどういう規則を定めてそれを監視しているかというと、これまた理解に苦しむ規則を定めているのです。例えば私の友人が営業する店舗所在地の地方自治体の営業許可条件は、CyberカフェではOnライン, Offラインに関わらずPCゲームを一切禁じる、通常のインターネットサーフィンだけすることを許す、万が一客がサーフィン中にポルノサイトを覗いていたらそれは店の責任だというものだそうです。(こういった規則も所在地の自治体である程度異なる)

この規則を守ったら通常のCyberカフェは完全に商売あがったりです、なぜなら客の8割前後はPCゲームをやりに店に来ているのです。残りの2割程度がインターネットサーフィンかメールチェック、またはIRCと呼ばれるリレーチャット客ですね。これは街場のCyberカフェならほぼ共通の現象でしょう。さらに客がインターネットサーフィンしている時、店がそれを常時且つ全部監視などできるはずがありません、友人の店は60台近いパソコンを設置した中規模店ですが、一体どうやってこれを監視できるのか全く疑問です。

最初から守ことのできない又は非現実的な規則を定める自治体、それを始めから知っていながら開店する、さらにほとんど無視して営業するCyberカフェ、この姿はまた以前のビデオゲームセンターの姿にダブルのです。新聞にはCyberカフェの中にはギャンブル機を置いて稼いでいるところもあるので、また警察と当局が現場を抑えようと調査しているとのニュースが時々載ります。このあたりはまことマレーシアらしい姿です。

ギャンブルを望む店と客

Cyberカフェ業者はどうしてもギャンブル機と手を切れないのです。過当競争で客に課する1時間当りのPC使用料金は、インターネットであれゲームであれだいたい同じ、現在RM3からRM2.50まで下がっており、結果として儲けが減ったことから彼らはまた以前の悪癖に手を出そうとしているようです。当然そのためにはパソコン型のギャンブル機を提供する者、業者が存在するのですが、そういう裏の情報はあっというまに業者間に広まります。一方、当局の取締り部隊が店を訪れたら即PCのプログラムを消すことができるようにしたりと、ギャンブル提供元は知恵を絞っているようです。そしてギャンブル好きの客はどこからともなく集まってくるのです。

ギャンブルなど全くやらない客も多いこともギャンブル機と手を切った店も多いのは事実です。若い彼らはまことPCゲーム好きで、店ではもっぱらゲームで時間をつぶします。マレーシアではインターネット上でのOnラインゲームは全く普及していません、それはせいぜい基本的なISDNライン程度の通信速度なので、とてもオンラインゲームはできないことでしょう。ISDNラインさえ引かずに通常の56kbpの電話線しかひいてないCyberカフェも珍しくはありません、つまりそれだけインターネットする客が少ないことの証明ですね。

Cyberカフェのゲームは全て海賊版

ところでCyberカフェでは大多数の若い客には、店内LanでのPCゲームが一番人気で、その中でも”Counter Strike" というゲームが圧倒的に流行っています。どこのCberカフェも似たり寄ったりの傾向を示す客のあまりの嗜好の単純さと共通化現象を見て、筆者はちょっとがっかりしたものです。インターネットよりも先ずゲームなんですね。それも極めて限られた種のゲームが好まれるようです。

マレーシア人一般の考えとして知的所有権などに金を払う必要はないという捉え方ですから、違法行為など大して気にしないCyberカフェのオーナーにオリジナルソフトうんぬんはまず通じないでしょう。最終的にはオリジナルWindowsを全機にインストールしたPCを購入した筆者の友人も、なぜ価格の高いオリジナルを使う必要があるのか最後まで理解できないようでした。

現実としてCyberカフェのゲーム類はまずほとんど海賊版コピーを使用しています、さすがにOSのWindowsはマイクロソフトを中心としたビジネスソフト協会のキャンペーンと取締り活動があって、最近ではオリジナルWindowsを使っている店が増えているそうです、つまり逆の言い方をすれば、OSを含めて全てのソフトを海賊版でまかなっているCyberカフェも多いということです。なにせWindwosのOS、Officeシリーズ、Adobeシリーズなどの海賊版CDは1枚RM30以下で簡単に且つ様様な場所で入手できますからね。ゲームソフトにいたっては海賊版CD1枚はわずかRM10以下です。尚マレーシアでMacは普及率がごく低いので、CyberカフェでMacを使うような店はないと断言できます。

海賊版のあまりの普及は確かにソフトが安価で誰でも入手できるという”メリット”はありますが、ソフトを開発するような意識を育てませんから、”デメリット”も同時に栽培しているのです。知り合ったあるソフト開発業者に、これだけ違法ゲームソフトが安価に簡単に入手できたら、情報技術ITに興味ある、優れた若者でもゲーム開発を目指す者が育たないではないか、と筆者が尋ねたら、彼も同感だと言っておりました。残念ながら創造性という点でマレーシア人が今一つ劣るのはこういう面にもあるのです。多くの金を投資して開発した大衆向けソフトが1枚RM10程度の海賊版としてあちこちで開発者を無視して勝手に売られたら、とてもビジネスとして利益はでません。

Cyberカフェを監督する自治体のガイドラインはそれぞれ違う

新聞の情報から推察すると、現在いくつかの州と連邦政府ではCyberカフェを法的にどう位置付けるかの協議なり法案の草稿を練っている状態のようです。例えばクアラルンプールではCyberカフェをビジネス事業と分類していません。つまり交易とビジネスと産業に関する条例ではCyberカフェを”認知”していないそうです。そのためCyberカフェに対処するには別の規則などをあてはめるしかないことになりますね。このように各自治体で位置付けと取締り規則が違うのも、監督及び取り締まる側の不充分対応につながり、業者と店舗側にとってははっきりしないガイドラインへの困惑とそれを見越した横行を許している原因の一つでもあるでしょう。

政府はマレーシア社会を積極的にインターネットに親しむ社会に転換させることを目標に掲げ、それに向けて予算も費やしていますので、ビデオゲームセンターと違ってCyberカフェ自体には反対していません。しかし現場を知るものとして言えば、現状のCyberカフェはゲームセンターの姿を多分に持っているのです。なぜCyberカフェがマレーシアではゲームセンターになってしまったか、それを突き詰めていくとマレーシア社会論にあたります。

ゲームを否定しても事は収まらない

一部のムスリム層に厳然とある、ゲームは何であれふさわしくない、いけないという発想が官の中に流れているのは確かでしょう。それが現実を無視した規則を定める原因でもあると筆者は分析します。若者が子供たちがゲームに浸る、それ自体を否定すべきではないと筆者は思います。いかにして健康的な環境で子供たちにゲームを楽しませるかの方向に導かせるのが、監督官庁のあり方だと思うのですが、こういう発想がほとんど通じないのも現実でしょう。そして違法であれなんであれ金さえ払えばいいのだ、儲かればいいのだという華人オーナーの一部と非合法商売人の存在が暗い影となって、Cyberカフェのあり方を引きずっているのです。



マレーシアで使われない呼び方を日本語の呼称でなぜ使うのだろうか?


クアラルンプールを訪問される方ならほとんど皆と言っていいぐらいの方が独立広場一帯を訪れますよね。団体観光客ならまず間違いなくそのバスが独立広場横に駐車して、しばし独立広場やその前に建つ建物郡の景色を眺める又は写真を撮る時間があるはずです。クアラルンプール及びその周辺の在住者で1度も独立広場一帯を訪れたことのないかたは極めて珍しいでしょう。マレーシア人で地方在住の人がクアラルンプールを訪問すれば、これまた必ずといっていいほど独立広場一帯を訪れるはずです。8月31日の独立記念祝典は2年に1回はこの広場とその前の道路(Jalan Rajaという)が主会場になりますし、政府主催の大きな催し物、パレードなどがクアラルンプールで行なわれる時は、これまたほとんどすべてこの独立広場及びその前の道路が主会場になります。

独立広場とその周辺はそれほど有名であり且つマレーシアにとって重要な意味を持つ場所なのです。次ぎの記事をご覧ください

歴史特集記事の中の「独立広場」に関する部分を抜粋

今日クアラルンプールの(名所である)独立広場 (Intraasia注:Dataran Merdeka とマレーシア語で呼ぶ)はこの国が独立したその瞬間に密接不可分に結びついています。そしてそれに近接した優雅なSultan Abdul Samad ビルは、マレーシアの独立(Intraasia注:当時はマラヤ)と非常に結びつけて考えられています。だから人は写真に写ったそれを一目見るだけで、その写真がどの国で撮られたものかすぐわかるのです。
しかし何と皮肉なことに、英国植民地時代には、この独立広場とSultan Abdul Samad ビルは英国支配のシンボルだったのです!

Sultan Abdul Samad ビルは1897年に完成し、クアラルンプールに成立したばかりのFaderated Malay States (マレー連合州)植民地政府の時代の歴史的建物であったのです。今日のDataran Merdekaは当時Padangと呼ばれており、ペナンのジョージタウンとイポーと当時の地方の行政中心地にも、これと同じような場所を建設したのです。
こういった場所では重要な歴史的出来事が起こりましたが、そこはスポーツと文化活動の場でもありました。

以上は5月14日付けStar紙の歴史特集記事の一部を抜き出して翻訳したものです。この記事で述べられているのは、マレーシアを観光する者なら間違いなく1度は訪れる又は訪問地に指定されている有名な独立広場と、それに面して建つ時計塔を真中にまことに優雅なネオサラセン調の建物のことですね。独立広場一帯は夜はライトに照らされ、且つこのSultan Abdul Samad ビルは無数の豆電球で飾られたいへんに美景です。絵葉書などでご覧になった方も多いことでしょう。

注:Sultan Abdul Samad ビルと渡り廊下でつながった同じ建物のように見える建物は、Sultan Abdul Samad ビルの一部ではありません。独立広場を背にしてSultan Abdul Samad ビルの右隣に建つビルは1907年に完成し、その後1984年まで旧中央郵便局が入居していました、そのためPejabat Pos lamaとも呼ばれる。その後控訴裁判所が入居しました。現在もそのはずです。この旧中央郵便局ビルはSultan Abdul Samad ビルと外観とデザインが大変似ています。尚両ビルを結ぶ渡り廊下は建設当時なかったそうです。

下左写真は独立広場からSultan Abdul Samad ビルを眺めた構図。下右写真で建物の正面に書かれた”Sultan Abdul Samad”の文字が見えますでしょうか?

  

旧連邦事務局ってなんのこと

で以前から筆者には気になっていました。このSultan Abdul Samad ビルを日本語の観光パンフレットやガイドブックさらにはマレーシア政府観光局発行の日本語パンフにさえ、旧連邦事務局(ビル)と名前書きしてあるのです。筆者は初めてこの日本語の建物名を見た時、どの建物のことかよく分りませんでした。「旧連邦?マラヤ連邦のことだろうか?」 と思ったものです。なぜならマレーシアでこの建物を通常誰もそう呼ばないから、そういう呼称に出会ったことがなかったからです。

マレーシアで発行されている地図の中で、クアラルンプール地図及び部分的にクアラルンプールも載せている地図のどれをみても、このSultan Abdul Samad ビルを”旧連邦事務局ビル”(Former Administration offices under the Faderated Malay States) などと説明した地図はありません。すべてSultan Abdul Samad ビル又はマレーシア語のBangunan Sultan Abdul Samad となっています。
さらに政府の文化・芸術・観光省翼下にある観光振興部門Tourism Malaysia提供の無料地図類をいくつか調べて見ましたが、これまでの筆者の記憶通り1枚として”旧連邦事務局(ビル)” などという呼称を用いている地図、パンフレット類はありません、すべて、Sultan Abdul Samad ビルです。

マレーシアで発行されている新聞、雑誌に長年筆者は目を通してきましたが、このSultan Abdul Samad ビルをわざわざ”旧連邦事務局(ビル)” などと呼び替えた記事にであった記憶はないし、そんな呼称を見ことはないのです。はっきりと言えるのは、通常誰もこのビルを ”旧連邦事務局ビル” と呼びません。正式名のSultan Abdul Samad ビル と呼ぶか、さもなければ連邦裁判所のある建物 と言います。もちろん旧英国植民地政府の建物であった歴史は誰も否定できませんから、建設当時はFaderated Malay States 政府の官庁があったという人はいるでしょう。もしマレーシア人であえてこのビルを”旧連邦事務局(ビル)” などと呼ぶ人がいれば、それは日本語のパンフレットやガイドブックでこの呼称が使われていることを知っているであろう、日本語を話す旅行ガイドぐらいでしょう。

マレーシア人は使わない呼称をなぜ使うのか

で現在廃墟になって使われていないならいざ知らず、(日本の最高裁にあたる)連邦裁判所と高等裁判所に使われているこの超有名な建物を、”旧連邦事務局(ビル)” などと日本語ではなぜわざわざ言い換えるのだろうか?日本人で旧連邦が Faderated Malay States (マレー連合州)を意味することを知っている人は極めて極めて少ないはずだし、当時の日本がFaderated Malay States と特に深い関係を持ったわけでもない。マラヤと負の意味での深い関係を持ったのは第二時大戦中の旧日本軍なのだ。旧日本軍はマラヤとシンガポールを約3年半軍事統治したのです。タイピンなどには旧日本軍の本部が置かれた建物が現在も残っているから、そういった建物を現在のマレーシアでの呼称のほかに”旧日本軍本部”などと注書きするなら、それは理解できる、日本人の関わる歴史としてそれなら全くおかしくないですね。しかしSultan Abdul Samad ビルに日本人の関わりは昔も今も全くない、”旧連邦事務局(ビル)”などと呼ぶ理由はまったくない。

こういう呼称を観光パンフレットやガイドブック類に書いている又は訳している日本人は政府観光局のパンフレットを訳している人間を含めて、マレーシアのことをどれぐらい知って、又理解して書いているのだろうか?英国植民地支配の歴史を消すことはできないが、一般マレーシア人なら”旧連邦時事務局ビル”と言われてもピンとこないであろうし、マレーシア国内でほとんど使われない、使おうとしないそんな植民地的呼称をわざわざ使う、又はそういうことを全く知らずに使っている、マレーシア人の意識に鈍感で無知なる旅行代理店パンフレットや旅行ガイドブックの書き手と編集者に、Intraasiaは強い失望感を覚えます。

単なる間違いではないから批判するのだ

尚強調しておきますが、旅行代理店パンフレットやガイドブック類に絶対間違いがあってはいけない、などと筆者は主張しているのではないということです。どんな書籍であれ誰であれ間違いはするし、それは人間である以上避けられないと思います(もちろん私を含めてです)、無論間違いは少ないに超したことはないのはいうまでもありませんよ。

ここで筆者が問題にしているのは、”旧連邦時事務局ビル”という日本語呼称は単なる間違いではないということです。Sultan Abdul Samad ビルはクアラルンプールの、いやマレーシアの顔として、各種のパンフレット、絵葉書、ガイドブック類、機内ガイド誌、ホテルのパンフレットなどもう数え切れないマレーシアを紹介する書籍類に現れる、それぐらい有名なビルなのです。クアラルンプールにあっても極めて小数の観光客しか訪れないとか、地元の人でもそこに住んでない限り知らないような無名の建物ではないのです。

それほど知られた且つマレーシアの誇る場所にあるそのSultan Abdul Samad ビルをなぜ、日本語の書き手と編集者は今尚 ”旧連邦事務局(ビル)” と呼び印刷しているのでしょうか?彼等はここで筆者が説明したようなことを知っているのであろうか? 多分知らないだろう、知っていたらこういう書き方はしないはずだ。だからいつまでもこんなあほな呼称を使っているのです。他の日本語のガイドブックやパンフレットに”旧連邦事務局(ビル)” と書いてあるから、今回もそう印刷しておこう、彼等にとってはその程度の認識なのだろう。だからこれは単なる間違いではないのです、それゆえ私は批判するのだ。

誤解のないように付け加えれば、”旧連邦事務局ビル” という文字を絶対に使うな、と言っているのではありませんよ、建物名にこの”旧連邦事務局ビル” を使うな、正式名で且つ一般名でもあるSultan Abdul Samad ビル を使いなさい、その上でさらに説明するスペースがそのパンフレットやガイドブックにあれば、「Faderated Malay States (マレー連合州)の官庁がこの建物に当時置かれた」 とでもすればいいのです。

注:Sultan Abdul Samad Building の詳しい説明
建物玄関の銘版にはAC Normanがこの建物の建築家と書かれているが、一般には製図責任者であったRAJ Bidwellがデザインを決めたとみなされている。公共事業庁長官の CE Spoonerがこの建物を”マホメタン”スタイルにする提案を受け入れたのです。”マホメタン”スタイルとはネオサラセン風とも言われ、インドから伝来したスタイルです。

建設は1894年に始まり、1897年に完成。この建物はもともと当時の新政府つまりFaderated Malay States (マレー連合州)の官庁として知られており、公共事業庁、調査事務所、財務庁、郵便電信事務所といくつかの政府事務所が入居していました。Sultan Abdul Samad Building は当時の最大の建物で、全てがレンガ造りです。前面のファサードの長さは137mで真中にポーチがこしらえてある。ポーチは3つの馬蹄形のアーチを形作っている。高さ41mの時計塔は当時のビクトリア女王の誕生日パレードを行なった1897年に初めて鳴り響いたのです。両側に建つ2つの塔はそれぞれ上部へ続く階段が内部にあります。

スランゴール州がその州行政機能を1974年にシャーラムへ移した時、このSultan Abdul Samad Building は全面改装され、その後に現在の連邦裁判所と高等裁判所が入居したのです。(マレーシア遺産の保存に取り組むNGOであるBadan Warisan Malaysia の文書を抜粋翻訳)


マレーシアの呼称に替えてほしい

筆者は翻訳をたまにしますからよくわかるのですが、英語の文献が翻訳依頼者から届きます。翻訳文書によっては翻訳時にその道の専門家に頼む場合もあるし、単に英語がそれなりにできるからだけの理由で、翻訳仕事を回したり依頼したり反対にそういう仕事を受けるのは極めて一般的です。もちろん極めて専門的な文章や文献だとその分野をよく知っていないと十分に訳せない場合がほとんどですが、一般に観光文書とか旅行案内のような文書類は、英語ができれば誰でも訳せるものだとみなされているのでしょう。これは政府観光局のパンフレットを訳している者のお粗末さをみればすぐわかりますね。

観光案内パンフレットを作っている、書いている、訳している者は、ほとんどといってぐらいその国なり地域の素人でしょうから、まともに批判する気はありませんが、ガイドブック類と取材記事にも、筆者の見る限り、おかしな表現と記述が目立つ(素晴らしい記述ももちろんある)。たまにしかその種の日本語出版物を手にしない筆者がその都度ぐらいに感じるので、相当なる数の素人並の書き手がいるのではないかと推測しています。だからここで棚に上げたような現地の事情をよく知らずに、「他書が書いているから私もそう書こう」式の記述が出てくるのでしょう。

いずれにしろ各編集者・部に望む事は、”旧連邦事務局(ビル)” といった呼称を次ぎの改訂時にはSultan Abdul Samad ビルと改めて欲しいことですね。



スーパーマーケットのお話しとその商品の値段を例示する


スーパーマーケットは品選びの豊富さと便利性、商品価格が一目瞭然の公明であること、冷房付きの店内で店員にわずらわされることなく買い物できることから、多くの人に好まれるのはマレーシアでも同じです。クアラルンプール、ジョージタウン、ジョーホールバル、イポーのような大都市なら大小、有名無名のスーパーがあちこちに数あるし、ハイパーマーケットもこの数年増えました。地方の中小都市でもスーパーは複数店舗あります。小さな町でも地元の小スーパーがあると言ってもほぼまちがいではないでしょう。

ここでこれから述べる商品、価格や店内の話題などは全てこのスーパーマーケットに限ってのお話しで、住宅地によくある家族経営の小さな食料店や、地方の町と田舎では一般的な食料雑貨店にはあてはまりません。さらに都市にあるコンビニとは共通する点もありますが、ここでの対象からはずしてあります。

尚このコラムで表示している価格の単位はいうまでもなく全て リンギット(記号RM)です。リンギットに円の換算率をかけて円価格に直してこれは安い高いと決めつけるのは、所得と物価状況が日本と違いますから、あまり良い考えとは言えません。しかしとはいっても目安にはなりますから、判断の参考にということで、円とリンギットの交換率を掲げておきます。2001年6月8日の銀行の両替レートでは、\10,000を両替すると RM311.80 入手できます。つまり1リンギットが約32円になる。

スーパー・ハイパーマーケットの売りだし商品価格の例

それではまず、クアラルンプール周辺のアップタウン中心に10軒ほどスーパー又はハイパーマーケット店舗を持っており、さらにペナンにも店のあるGiantスーパーマケットの新聞印刷の売りだし広告から抜き出したのものが次ぎの表です 。下の表の価格は全店舗に共通とのこと。

食品類の価格例
商品種類メーカー名内容量価格
商品種類メーカー名内容量価格
カシューナッツ
180g5.90
ハニードゥー
Kg当り1.80
サンドイッチビスケットLexus190g2.19
ネーブルオレンジオーストラリア産8個3.69
同上Julie250g2.59
ライチー中国産2Kg19.90
カルシウムクラッカーMunchy380g2.19
丸キャベツキャメロン産Kg当り1.69
コーンフレークNestle300g4.69
レッドチリ
Kg当り4.90
MILONestle6x 250ml4.99
カンコン
Kg当り1.50
缶ビールCarlsberg24x 320ml94.32
鶏肉もも
Kg当り4.25
缶ビールCarlsberg320ml3.93
花カニ
Kg当り13.90
Pepsi/ 7-Up / Mirinda
1.5lit2.19
鶏の竜骨
Kg当り6.50
乾しいたけ 大サイズ
500g13.90
T骨付き牛肉オーストラリア産Kg当り17.90
インスタントラーメンMamee5x 80g2.19
BBQ用鶏まるごと
1羽7.99
芳香性のある米タイ産10Kg29.50
ナメタカレイ魚切り身
Kg当り19.90
乾燥小エビ
Kg当り32.90
ヤシの実ジャムパン
3個で1.59
ミネラルウオーターGoodlife5.5lit3.39
スポンジケーキ
1個2.99
冷凍ピザTricious280g9.98
普通のパン
8個で1.59
チキンフランクFika1Kg7.80




ビーフバーガーBiffi700g3.95





注:この表を含め全ての表に当てはまりますが、メーカー名欄ではっきり書いてないもの、不明なものは空欄にしてあります

インスタントラーメンまとめ売り

マレーシアで売られているインスタントラーメンは、どの店でも必ず5個まとめていくらと値がついています。ラーメン5個をまとめて透明ビニールにで包んで値付けされているのです。5個の値段はメーカーや売りだし時期に多少よるが、大体RM2からRM3の間です。中には5個でRM5前後という多少高級なインスタントラー麺もある。 まとめ売りしない例外は、日本製とか韓国製、又は地元製でも相当高級なインスタントラーメンです。これらの高価なラーメンは1個数リンギットなので、5個まとめればRM10を簡単に超えてしまうからまとめ売りしないのでしょう。

一般商品名又はマレーシアの通称商品名では、在住者でない日本の読者の皆さんには残念ながら具体的に品物が浮かばないかもしれません。これらの商品に写真を添えたらずっといいのですが(新聞印刷広告は小さな白黒写真付きです)、店内で写真など撮ったら警備員に捕まってしまいますから、それは絶対に無理です。ということで写真がないのはあしからずです、日本の似たような商品を思い浮かべてください。

非食品商品の価格例
商品種類メーカー名内容量価格
商品種類メーカー名内容量価格
コンディショナーシャンプRejoice400ml12.99
アイロン台
40cm幅19.90
3-in-1 シャンプーGinvera720ml14.99
レースカーテン
2ガラスドア39.90
ベイビーシャンプー
32oz4.99
カーロックイタリア製1個19.90
カートリッジ付きひげそり Gillete2個12.90
ワイパーBosch18inch25.69
ひげそり用フォーム泡Gillete175gm5.90
バドミントン
1セット15.99
シャワーシャンプーDettol650ml14.79
ジュニアゴルフ
1セット22.99
子供シャワーシャンプーJohnson300ml9.90
2B 鉛筆
1ダース4.39
子供シャンプー 2-in-1Johnson300ml9.90
男子子供サンダル
1足3.30
歯磨き +ハブラシ2本Pro Dental250mg4.39
女性用PVCサンダル
1足10.90
ハブラシ 組
4本入り3.30
デニムジャケット
1着29.90
Softy 衛生ナプキン
2x 2015.50
デニム半そで
1着26.90
液体洗剤Dobi3lit11.99
デニム女性長袖
1着19.90
ブリーチBudget2x 1lit3.09
デニムパンツ
1着33.90
赤ん坊おむつ MサイズFitti50個16.99
デニム女性短パン
1着19.90
バッテリーウオーター

0.89
ミネラル水ポット
16lit69.90
カーシャンプー
2x 1000ml3.99
テニスセット
1セット29.99
タイヤ磨き
250ml6.90





3-in-1シャンプーの”3-in-1”という言葉はマレーシアでよく使われる言い方です。シャンプーとコンディショナーとふけ防止機能がいっしょになっているという意味ですが、これを応用して何何がいっしょになっている時 2-in-1などと使えます。

スーパーマーケットの特徴

マレーシアのスーパーマーケットの特徴をあげていくと、ほぼ全部の店に当てはまると思いますが、客が購入した品物をレジに持って行き、計算してもらい料金を支払うと、レジ係りが、時にはもう一人の店員が手伝って、その店の名前入のビニール袋に品物を詰めてくれます。もちろんたくさん買う人はその場で自分でもビニール袋に入れる人もいますが、少量だとその場で店員が全て詰めてくれます。勘定後、店内カゴ又は手押しカートに入れた品物を客が別の台に運んで行き、そこで自分でビニール袋に詰める方式は、ないとは言いませんが非常に限られているはずです。尚ビニール袋は無料です。環境・資源保護意識からビニール袋を有料にしようという運動はまだ全くありません。

クアラルンプールなど都市部の有名スーパーマーケットではクレジットカード支払いも選択できますが、地方の中小スーパーはほ現金支払いしか認めていません。都会でもそのスーパーの経営方針によりますね。

勘定時にレジ店員が客に対して一々「ありがとうございます」 などと挨拶する店は、まずないといっても間違いないでしょう。もちろん個人的に愛想のいい店員はどこにでもいますが、概して極めてつっけんどで且つ事務的です。しかし、日本流の口うるさい且つ過剰サービス精神を好まない筆者は、こういう極めて事務的態度が気に入っています。

レジで勘定時には、客は通常列を作って自分の番を待ちますが、この列が男女別になっているのがクランタン州のスーパーマーケットです。レジの頭上にムスリム男女の図が掲げてあるのです。いかにもイスラム政党PAS党が州政権を握るクランタン州らしい仕組みですね。尚99年にPAS党支配下に入ったトレンガヌ州も男女別レジ制を導入したそうですが、筆者はまだ確認していません。

マレーシアのスーパーでは、シャンプー、洗顔剤などの医薬部外品のコーナー・棚にはよく複数の販売促進女性が待ち構えています。メーカーから派遣された又はメーカーと契約を結んでいる女性プロモーターが自社製品のシャンプーをしきりに勧めてきます。恐らくコミッション制なのでしょう、結構しつこいプロモーターも多いのです。そのプロモーターの勧めるシャンプーを買うと、彼女の切った売り上げ伝票と商品をいっしょにレジへ持っていき、金を払う仕組みです。

イポーの有名スーパーの商品価格例

次ぎの商品価格例は、イポーにある有名なスーパーマーケット兼デパート Super Kintaの新聞印刷売りだし広告からです。この店は全国展開はしていませんが、イポー市内の中心に店を構えたよく知られた店です。尚名前はデパートでもスーパーと変わりません。

商品種類メーカー名内容量価格
商品種類メーカー名内容量価格
瓶ビールTiger660ml7.30
皿洗い洗剤
2.2lit4.40
調理オイルGasing5Kg6.90
柔軟剤Softlan2lit4.95
白コーヒー
40gx 208.30
メリットシャンプーKao800ml10.90
フィッシュチップYoki500g3.40
フェイシャルクレンザEversoft170g13.80
詰め替えコーヒーNescafe180g8.70
歯磨きチューブDarlie2x 250g11.30
新鮮あわび
100g当り12.00
シャンプーSunsilk700ml15.80
スライスチーズKraft12枚4.90
電気釜Sanyo1.8lit78.-
ミックスベジ
250g1.00
VCDプレーヤー
1台195.-
アイスクリームMeadow1.5lit4.50
CD保存バッグ
24枚収納8.90
ドライアプリコットSunsweet250g6.30
ヘアドライアー
1350W19.90
100%バターオーストラリア産250g.60
7インチスープボール
4枚8.50
調理用オイルKnife5Kg

洗剤
3Kg7.90
キーウイジュース
1lit4.60
シャンプーPantene400ml12.80
スタウトGuiness33cl4.20
衛生ナプキンWhisper206.90
トマトソースKimbel500g1.65
フライパン
28Cm26.90
インスタントコーヒーNescafe900g12.90
ベイビーシャンプーCarrie800ml10.90
チキンフランクフルトAyamas340g2.00
電子おもちゃ犬
1個19.90
インスタントラーメンMaggi5x 80g2.20
靴下Alain Delon2足組9.90


スーパーマーケットの営業形態

一般にマレーシアのショッピングセンターは朝10時から夜10時まで営業しています。ショッピングセンター内の諸テナントだと、朝の営業開始を1時間ほど遅らせたり、閉店を多少早めたりしているところが多いのですが、ショッピングセンターの核であるスーパーマーケットは、ほぼ朝10時から夜10時までの営業時間です。もちろん場所と店によってこれと違う場合は出てきますよ。例えば上のSuper Kintaは土曜日は夜12時までと広告しています。

ショッピングセンター内にあるのでなく、独立した建物店舗として営業しているスーパーマーケットも地方にはあり、その場合でも周囲の一般店舗より営業時間が多少長いのが普通です。朝10時頃から夜9時又は10時頃までというのが多いはずです。

荷物を預けてから入店しなさい

マレーシアのこの種の独立店舗式スーパーマーケットにほぼ限られますが、入り口で客にその持ち物である袋、カバン、荷物類を預けさせる方式を取っている店が多いことです。客は店入り口にある簡単な荷物預け所に持ち物を預けないと店内に入店できません。預け場の店員に荷物を預けるとプラスチックの番号札をくれますから、店内から出た後またその場所に行って、プラスチック札と交換に自分の荷物を受け取るのです。

店によってはこの仕組みを非常に厳格に運用している店もあり、小さなプラスチック袋でさえもって入ることを許さないのです。尚新聞紙のようなものは構いません。通常店入り口に見張っているガードマンが、荷物を預けろと”命令”するのです。筆者は地方の町を訪れる時よくその町の地元スーパーを訪れますが、以前夜店で飲食物を買った際くれた小さなビニール袋を持って入ろうとして、言い合いになったことが1度ありました。

入り口で荷物預け方式をとる理由は、いうまでもなく万引き防止ですから、この方式を実施する裏には、客は万引きするから疑えという思想が働いているのです。だから夜店で買った食べ物を入れた小さなビニール袋を持って入店しようとして荷物預けを命令された時、かちんときたわけです。だいたい預けた荷物が失えてもその責任を店は一切取りませんから、この荷物預け方式は客にとって不合理な仕組みですが、預けるのがいやなら入店するなというスーパーばかりの町ではこの方式に従うしかありませんね。

ずっと以前、多分7,8年前頃まではクアラルンプールのスーパーもこの荷物預け方式を取っていた店がありましたが、もうほとんど廃止したようです。特にショッピングセンターの中にあるスーパーでは全てと言って言いぐらい荷物を持って入店できます。でも地方のスーパーはまだほとんどこの荷物預け方式を固持していますね。

全国的チェーンを持つスーパーの商品価格例

全国的に店舗を展開しているスーパー又はハイパーマケットに、STORE, OCEAN, PAEKSON(Grand), FAJAR, 都市部に限って出店しているシンガポール資本のTOPS, 日本資本のJaya JUSCO, ハイパーマーケット専門のフランス系Carrefour、などがあります。そこで最後に3つのスーパーの新聞印刷での売りだし広告から抜き出してみます。

商品種類メーカー名内容量価格
商品種類メーカー名内容量価格
Oceanスーパーマーケット
The Store スーパーマーケット
調理オイルKnife5Kg9.99
タイ米Thai King10Kg18.50
ティーバッグ JigglerLipton 100袋10.50
MiloNestle20袋入り7.69
ビーフンPanda1.7Kg5.99
クリームクラッカーJacob900g8.39
チョコレートM&M250g6.00
パケット飲料Drinho24x 250g12.99
セロリ
100g当り0.29
チキン丸ごと
1羽3.99
ニンジン
100g当り0.19
アイスクリームWall's2lit5.49
フライドチキン
1Kg6.99
フレンチフライ
1Kg2.99
Jaya Jusco
洗剤Maxkleen3.5Kg17.99
トイレットペーパーCute10ロール6.90
キッチン紙タオルSoftex6x 607.29
オレンジジュースSunkist1.9lit5.39
ティッシュペーパーScottex4x 2007.99
Youmeishu養命酒1lit97.-
トイレットパーパーScottex20ロール8.49
インスタントコーヒーNescafe250g12.90
殺虫噴霧剤Sheldtox2x 650ml12.99
丸ごとチキン
2羽10.99
床磨き剤Leo3lit7.99


結構いろんな種類の商品の価格例をあげてみました。マレーシアの物価状況を知る参考にしてください。またここで説明したマレーシアのスーパーマーケットのあり方を頭にいれておいて、次回のマレーシア訪問ではスーパーマーケット探検(大げさ)もいいかもしれませんね。

追記:一つ大事なことを書き忘れていましたので追加します
マレーシアは国教がイスラム教ですから、一部の食物に関してはムスリムへの便宜を図って、イスラム教に適ったものであるとの意である”Halal“のマークをつけることになっています。そうでない食物は"Non Halal"などと表示してあります。肉類はその際たる物ですから、肉類売り場には”Halal“のマークが必ず掲げてあるはずです。イスラム教で禁じられた豚肉は当然売られていませんから、豚肉を調理・食する華人は、いわゆる市場へ行って買い求めることになります。
全国のスーパーマーケットの大多数は、肉類はHalaである肉だけを売ると思われますが、例外は大都市の一部のスーパーマーケットとハイパーマーケットでしょう。こういう店でも2種の肉を混在して置くことはできませんから、Halal肉冷凍カウンターとNon-Halal肉冷凍カウンターに分かれているはずです。



悪質タクシーは絶えない


海外を旅行中にある地で乗ったタクシーにぼられた話しは、世界に共通した現象で、日本だってその例に漏れないと思います。旅行者がタクシーに乗る大きな理由に、地理不安があり、その地理不安を逆手に取るタクシー運転手がいても不思議ではありませんよね。もちろん善良なタクシー運転手も一杯いらっしゃることは強調しておきます。
タクシーでいやな目にあった、ぼられた、そういうことは頭に残ることであり、それはまた他人の注意をひきやすいことですね。だからそういう思いを発表されるのは極めて自然なことだし価値あることだと、筆者は思います。

旅の掲示板の一部を再録

さてこれに関して、当サイトの「旅の掲示板」に次ぎのような書きこみがありました。

マラッカに一人旅して来ました! 投稿者:りんりん  投稿日: 1月 8日(月)
前半省略
KLでは、香港人の友達二人と、ペトロナスタワーからタクシーに乗ってしまいました(タイ人風ドライバー)。チャイナタウンまで行って降りるとき、23RMと言われ、KL在住の彼女が、ポリスを呼ぶと息巻いたら、10RMになりましたが、それでもひどいですよね。あとで中国人のタクシーに乗ったら、いい人で、5RMでした。その後ガイドブックを見たら、あの辺で待っているタクシーは悪質なのが多いと書いてありました。

それに対して私は掲示板にこう書きこみました。

マラッカとTampinと悪質タクシーのこと 投稿者:Intraasia  投稿日: 1月 9日(火)
KLCCからチャイナタウンがRM23とはむちゃくちゃなぼったくりですね。
タクシーにぼられた話しはタマに新聞に苦情が載るし、話としては聞く出来事ですが、私自身は全くないです。めったに乗らないからという理由からではなく、旅行者ぶらつき地やバスターミナルで客待ちしてるようなタクシーはろくなのがいないことを知っているからそういう車には乗らないことと、外国人であると運転手に100%気がつかれないことの2点からです。

で旅行者にアドバイスするのは、メーターを倒さずに走り出したら、即降りることです。悪質タクシーは残念ながらどこにでもいる、道路交通局に苦情を出すのもいいが、その場の解決には全くならない、だから悪質タクシーは拒否すべきです。クアラルンプール市内を走るのにメータを使わないこと自体違法です。ですから妥協しないで頑としてメーター使用を要求してください。

悪質タクシーにあったらそのナンバープレートと日時を監督官庁か新聞社などに通報、投稿してください(下の表参照)。旅行者のこういう行動はニュースになりやすいので、地元の人が苦情言うより効果ありますからね。

苦情届け先の例
宛先 Road Transport Department
Enforcement Division, Head Office
Commercial Vehicle Licensing Board
Enforcement Unit
Ministry of Enterpreneur Development
Letters to the Editor
The Star,
住所 Jalan Dungun
50620, Kuala Lumpur
20th Floor MARABuilding
Jalan Raja Laut
50653, KUala Lumpur
No.13, Jalan 13/6
46200 Petaling Jaya
Selangor
電話03-254125003-26921517------
電子メール-----------------editor@thestar.com.my


メールでもある悪徳タクシーへの苦情

また筆者宛てのメールにこんなのがしばらく前ありました。

2001年1月中旬のXZYさんからのメール(通信の秘密保護のため身元がわかるような部分は省きます)
前半省略
ペナンで、かなりタクシーによるぼったくりを経験しました。なるべく事前にホテルのスタッフ等に料金を確認するようにしていますが、流しを含め、まったくといっていいほどメーターは機能していない状態でした。降りるときに交渉したいのですが、女一人だし、もし何かあったら・・・と思うと言い値で支払うしかありません。その他の地域ではまったくこのようなことがなかったのでこれはペナンに限った現象なのでしょうか? 何かいい対策、交渉術のようなものはありますでしょうか?

それに対する筆者の返メールの一部です

当サイトでも何回か触れましたが、マレーシアの観光地特にペナンはタクシーの悪徳さが目立ちます。メーター使用は義務ですが、使わないタクシーが相当多い、昨年タクシー運転手団体はこれで当局ともめたぐらいです。地元の人にもメーター使用を拒否する彼らが、外国人旅行者相手に 「はいはい」とメーターを使うわけがありません。
ペナンの観光地などで客待ちしているタクシーは、値切るような地元人は乗せたがりません、高い言い値でも乗る外国人を待っているのです。(私は外国人と見破られないので、以前こうして試したことがあります)

要するに事情を知らない外国人が乗る限り彼らはメーターを使いませんし、ぼります。地元人相手にはぼり方が少ないのは当然です。ぼられたくなければ、タクシー運転手に外国人と思われない知識と語学力をつけるしかないでしょう、でもそれは99%の人に無理ですね。
当局の取締り強化と、被害にあった旅行者の訴えを増やすことです。だまっていてもタクシーサービスはよくなりません、彼ら(悪質運転手)はこういうことを何十年もやっているのです。

クアラルンプールでもジョーホールでも基本は同じですね、運転手の中には外国人からは必ずぼろうとするのがいます。もちろん良い人も普通の人もいるので、タクシー運転手は全て悪徳だなどと言うつもりはありませんよ。追記:ただ悪徳運転手は目立つので、タクシー運転手はこうだとレッテルを貼られやすいですね。
当局の取締りが不徹底なのはいうまでもありませんが、旅行者自身の防御策も必要ですね。

>次回にマラッカやジョホール等の都市部に行くので少し心配です。
>何かいい対策、交渉術のようなものはありますでしょうか?
上に書きましたように、完全には防げない、バスを十分に使ってください。でもそれは時間がかかるし、時には非常に不便ですね。良い運転手に出会ったら、半日などのチャーターを交渉してみることですね。

尚一定の場所で観光客待ちしているタクシーは概してよくない、これは覚えておいてください。KLでもペナンでも同じでしょう。
交渉術で言えば、いつもメーターを使えと断固指示する事、もちろんけんかしろということでなく、はっきりとした意思表示を穏やかに言うことです。傲慢なタクシーには乗りこまない、即降りる。語学力をつける、特にマレー人運転手にはマレーシア語で行き先を告げられるくらいにすれば、ぼられ方は少なくなるでしょう。

いずれにしろ普通の外国人旅行者が絶対にかもにならない保証は残念ながらありません。なぜなら外国人の乗客はやはり運転手にはうまみがあるからでしょう。当局の対応を待つのが最終的な解決法ですが、それはあまりあてにならないのは、マレーシア観察者として知っています。でも有名観光地に対しては当局もその悪評には敏感ですから、将来のサービス向上に私も期待しています。

以上のように書いて返メールしました。

ペナンのタクシーへの苦情はよくある

この問題に関してたまたま、1月15日の新聞にぴったりの話題の記事がありましたので、「新聞の記事から」に次ぎのニュースを掲載しました。

リムジンタクシー運転手の要求は悪いイメージを呼ぶ

國際観光地として認められているペナンのイメージが、一部のリムジンとタクシー運転手の悪い印象によって、脅かされているかもしれない、と州の副首相の発言です。「2日前に州政府は、ある日本人旅行者から手紙を受けた、それによれば、空港のリムジンタクシー運転手はその旅行者から金をぼろうとした。その旅行者はあらかじめクーポンを買ったのに、運転手がそれ以外に金を要求したので車を降りたのです。私はこれは単発的なケースでであることと思う、これはリムジンタクシーのイメージをそこなうからです。」

「州はこういったことを無視しません。私は空港当局に運転手等と私との会合を持つように頼んでいます。」 「州政府は最近、空港からのタクシーに関しての苦情の手紙を幾つか受けた。車が汚れており、臭いというものです。」 「これは空港リムジンの不足から、普通のタクシーを使用することによります。多くの観光客はこのことを知らずに、彼らの乗ったタクシーがリムジンだと思い、よりよりサービスを期待している。」 現在ペナンには160台のリムジンタクシーがあります。
以上

泣き寝入りはやめよう

このように外国人旅行者特に日本人旅行者は注目される?ので、その苦情は地元人の苦情より効果的です。これは間違いないですね。本来は地元の乗客であれ外国人旅行者であれ、誰からの苦情に対しても迅速に真剣に対処すべきですが、それが建前であることは何年もマレーシアに暮らしておればわかります。

そこで筆者は掲示板でもこのコラムでも主張しています。ぼられたりふっかけられたらマレーシアのマスコミ、観光当局に訴えよう、と。インターネット時代ですから電子メールでもいいですし、会話できる人なら電話でもいい、もちろん書信の形が一番ふさわしいでしょう。そのために、ぼられた、ふっかけられた、乗車拒否されたそんな時は、日時と場所と車のナンバープレート番号を必ず記載して、苦情のメールか書信を出す、または電話しましょう。少少間違った英語でもいいのです、必要なことは苦情を伝える行動ですからね。そういった抗議が少しづつ将来のタクシー運転手に浸透していくかもしれないし、当局の規制行動につながるのです。

尚、高級ホテルの前で客待ちしているタクシーが、メーターにRM2程度上乗せするようなことは、本来は認められないとはいえ、ホテル客便宜を図ってのことですから、これに文句を伝えるのはおかしいと思います。さらに帰りの客がつかまらないような変わった場所に行く場合は、運転手とある程度交渉になるでしょう、つまりその場合は運転手の稼ぎもある程度理解してあげることは必要だと思います。

せっかくのマレーシア旅行、やはり不愉快な経験に遭いたくないのは誰でも同じでしょう。Intraasiaも、タクシー運転手が旅行者を客にしても”かも”にしないようにいつかはなってくれることを願っています。

参考:KLIA空港のシロタク

以下の一文は2月初めの巻頭ページに掲げたものです。今回のテーマ”悪質タクシー”に十分関係がありますので、ここで再録しておきます。尚この文では書きませんでしたが、KLIA空港でシロタクが横行する理由に、空港警備当局の保安・警備活動に問題があること、リムジンタクシー車が足らないので乗客が長蛇の列を作らざるを得ない、リムジンタクシーのサービスが期待された水準に達していないなどの理由があることもここで記しておきます。

追記:KLIA空港では2000年11月頃から一般タクシーがリムジンに混じって運行され始め、その後2001年初め頃から正式に、一般タクシー用の待合列が2番出口にできて、空港利用者はチケット制のリムジンとメーター制のタクシーを選択できるようになりました。しかしそれでもロビー、コンコースでのシロタクの客引きは以前と変わらず横行しています。


KLIA空港に常時シロタクの客引きがうろついていることは公然の秘密です。筆者も何回か声をかけられていますし、観察していればすぐわかります。いつも思うのは、空港当局はいつまでこんな不良行為を許しておくのか、ということです。そこで下記に 「警察の取り締まりにもかかわらずシロタク客引きは金に魅惑されてやって来る」という、KLIA空港を管轄下にするSepang警察の中堅幹部からの新聞投書を抜粋して紹介します。(1月29日付けThe Star紙、投書名は実名と職位)

(ちょっと前に同紙のこの同じ欄に載った、空港のシロタク客引き行為を非難し当局への取締りを非難した投書に触れて、この警察官は)この投書を評価しますが、警察は開港以来こういった違法シロタク業者をいつも見張ってきました。我々はKLIA空港からこういった輩を取り除く目的を棄てたことはありませんし、空港のイメージは国への玄関口だからよく心得ています。これまでに警察は25回の大きな取り締まりを行なって、37台の違法シロタク業者に呼び出し状を発行した。そのうち12台の業者はRM500からRM1300の罰金を受け、5台を押収された。その他のケースはまだ結論が出ていない。

警察のこうした取締りにもこの種の違法活動はやまない、なぜならもうかるからでしょう。こういった手におえない客引きはいろんな方法で法を破っている、例えば友人と親戚を待っているなどといい訳します。

こういった客引きは、逃れる手段として、しばしば外国人旅行者を狙います。旅行者は当然長居しないので(起訴などの)法的手続きに関わることを避けるからです。警察はこの投書者にも他の空港使用者にも、こういった違法客引きをいつも見張っているとの保証を与えたいと思う、さらに違法シロタク問題に今後も必要な対策を取っていきます。
以上

担当警察から返答があったことは評価すべきですが、98年中頃の開港以来たった25回の大取締りじゃ、後の1千日以上はほとんど取締りがないことになるのでは?客引きにとって罰金のRM1000なんて大したことはないでしょう。警官はともかく空港の警備状況には、当局は何してるのかと思わざるを得ません。あんなに素晴らしい空港なのに、運営面での不充分さがいくつか目につくのは筆者だけではありません。皆さん、世界どこでも同じですが、寄って来る客引きにろくなのはいないことをしっかり覚えておいてくださいね。



数字で見たマレーシア その10


銀行について

海外に住む者ならまずお世話になるところの一つがその国の銀行ですね。旅行者でも両替時にさらに国際引き出しカード又はクレジットカードで銀行利用することはありますが、在住者の銀行への依存度に比べればはるかに落ちます。マレーシアの銀行は政府が強力に勧めた2000年末までのグループ化、合併統合化で大分すっきりしました。Citi Bank, Standard Chartered Bank, Bank of Tokyo-Mitsubishi のような外資銀行を含めて、資産による順位を示したのが次ぎの表です。
各銀行グループは一般銀行だけでなくファイナンス会社も有しているのが普通です。

銀行グループ別資産 (2000年末の貸借対照表を基にして作製)
銀行グループ名総資産におけるシェア−順位
Malayan Banking23.4%
Bank Bumi-Commerce Group11.0%2
RHB Bank8.8%3
Public Bank7.8%4
AMMB Bnak 6.3%5
Hong Leong Bank 6.1%6
その他6つの銀行グループ

Foreign Banks 合計19.5%
合計100%

外資系銀行は別にして、国内資本銀行はそれぞれ自行の現金引き出しカードを他行の現金引き出し機でも使えるような銀行間ネットワークを施行しているのは、日本と同じです。インターネットバンキングを始めた銀行も数行あります。

家族計画のお話し

銀行の話しからなぜ家族計画の話しに移るかは問わないとして、しばらく前の新聞に載っていた記事からです。

全国人口と家族発展評議会が、新しく避妊措置を採用した者に関して調査した最新の結果です。この評議会は、政府系病院と家族計画協会に属する医院を訪れる患者を対象に、毎年調査しているとのこと。

新規に家族計画を受け入れた人の内訳

経口避妊薬避妊リングコンドーム注射輸卵管結束精管切除その他合計
19955866639618787172044826195579577
19975616529927661201046224183575289
19995016231116266207545330138367530

精管切除術を受けた男性の数の少なさを、ペナンの家族計画協会の幹部は、精管切除術に対して大きな誤解があるからだ、とその理由を述べています。また連邦家族計画協会の教育部門の医師は、避妊は両性の責任なのにマレーシアでは女性が避妊の役目を務め過ぎるという、非健康的な傾向が高いと不満を述べているそうです。

コンドームの全体に占める比率がぐっと低く1割以下で、ピルの比率が高いのは上の医師の言葉を裏付けていますね。しかし新規に家族計画を受け入れる者に限られるとはいえ、コンドームの比率がこれほど低いのは意外です。マレーシアは世界第3位の生ゴム生産国ですが、それとこれとは全く関係ないようですな。

火災通報は何番?

マレーシアでは救急車を呼ぶ電話番号は 999 であり、消防署への火災通報は 994 です。日本のように同じ電話番号ではありませんよ。尚消防自動車が赤色なのは日本と同じですが、筆者の覚えている限りほとんどの国で消防車は赤かった、これって万国共通なのでしょうか?それとも例外があるのでしょうか?

さて通称 BOMBA と呼ぶその消防署は都市、町には必ずあります、消防署を設置できないような小さな町、村、僻地の場合は自衛消防団の組織があるはずです。
”火災と救助庁”に属する消防士になるには、4つのクラスがあり、学歴の下からいうとPMR試験修了程度, SPM試験修了程度、 Diploma保持者 , Degree取得者 に分れます。日本でいえば中卒にあたるPMR試験修了程度で消防士になると、一般消防士職となり初任給が基本給RM486プラス手当てでRM860ほどです。日本でいえば高卒にあたるSPM試験修了程度なら見習い消防士官となり、初任給が基本給RM588プラス手当てでRM1070ほどです。 Diploma保持者 なら見習い消防長補で、基本給RM1061プラス手当てでRM1720ほどです。 Degree取得者になれば見習い消防長で、基本給RM1391プラス手当てでRM1970ほどです。

最高学歴の消防士の初任給料は低学歴者の消防士のそれの2倍半ぐらいであるように、新規採用の段階で給料にもすでに随分と差がありますね、これはマレーシアの官公と民間に共通する現象で、”火災と救助庁”だけに特徴的なことではありません。民間ではもっと顕著で、工場の新入一般工員の3倍から4倍の給料を大学新卒者が享受することは、ごく普通です。

旅行ガイドは非ブミプトラ中心

マレーシア訪問を団体旅行の形でされた方なら、きっと旅行ガイドのお世話になったことでしょう。筆者はもちろんそういう経験はありませんが、街を走っている観光バスなどを見たり、独立広場や博物館などで遭遇した経験を基に推測しています。外国人を案内できる免許を持った旅行ガイドはマレーシア人かマレーシア永住者に限られているはずです、まあ免許ナシでやっているガイドもいないことはないでしょうが。

文化・芸術・観光省が免許を与えている国内の旅行ガイド数は4432人です、その内非ブミプトラが実に8割、3528人も占めます。旅行ガイドはクアラルンプールに集中しており1413人で、次いでペナン州が628人、スランゴール州が562人、ジョーホール州が509人です。

これをみると、旅行でマレーシアにやってくる多数派は非ムスリムだから、ガイドも非ムスリム中心の非ブミプトラが圧倒的に多いということでしょうか、それとも非ブミプトラの方がこういう仕事に興味を抱くということでしょうか、残念ながら筆者にはそれを分析するだけの資料を持っていません。

首都圏高級住宅の価格

首都圏は国民の約4分の1、500万人以上が居住するマレーシア最大の人口集中地区です。その首都圏人口の400万人がスランゴール州に住んでいます。
96年から2000年までの(国家経済計画である)第7次マレーシアプラン期間中に、月収入 RM1500からRM3500と定義する中所得世帯層が伸びて、2000年には全体の37%になりました。世帯所得の平均は99年でRM2470でした。これによって不動産価格も上昇してきたのです。

スランゴーール州内にあってクアラルンプールに近接した高級住宅地域としてよく知られた地区を2つあげて、そこでの平均的高級住宅の価格をみてみます(不動産分析記事を参照)
平均的な2階建て高級住宅の価格推移
地区名価格RM1997年1998年1999年2000年
Subang Jaya最高24万7千25万25万26万9千
最低38万8千30万5千30万5千36万
UEP Subang Jaya
(通称USJ)
最高22万5千18万19万21万5千
最低35万28万34万5千38万

こういった住宅は2台ほど駐車できる広さの庭付き2階建てで、総床面積が150平米から180平米ぐらいでしょう。
いずれも97年98年の経済停滞時期に比べて、価格が上昇しています。高額住宅ほど回復が早い傾向を示しています。

国会議員の選挙は小選挙区制

マレーシアの国会議員の選挙は独立前の1955年の第1回から数えて、1999年の第11回までほぼ5年に1回行なわれてきました。この選挙はすべて小選挙区制のもとで選挙が行なわれています。つまり一つの選挙区から選出するのは1人の国会議員だけです。

この全選挙を通じて多数派つまり政権を保持してきたのは現与党連合のBarisan National です。現在はサバ州又はサラワク州だけに存在する地方政党を含めて10数党の連合体です。そのBarisan Nationalが各選挙で得た投票数と議席数を全体に対する比率で示したのが、次ぎの表です。
BNの議席獲得数と割合

1959年1969年1978年1990年1995年1999年
得票数の割合51.8%48.6%57.2%53.4%65%54%
獲得議席数の割合71.2%63.5%82.5%70.5%84.3%77.2%

注:作製はUTM大学の法学部 Shad Saleem 教授とありました

これで明らかになように、得票数より議席数がずっと高いのはやはり小選挙区制のせいなんでしょうね。マレーシア現連邦政府を支持する人の割合は議席の数ほど多くないことが、読者の皆さんにもおわかりになれると思います。

国内上映禁止の作品数

マレーシアが映像、書籍、放送の分野で厳しい検閲を実施しているのは知られたことです。それを見越して、販売する、発表する、放送する側にも当然自己規制があることでしょう。
そこで内務省の副大臣が明らかにした数字です。国内で公開・上映予定した映画、テレビ、ビデオの内、当局が公開・上映禁止にした数は、99年が534編、2000年が793編でした。禁止の理由は、暴力描写又は性的描写のためだそうです。
2000年上映・公開禁止の内訳
原産国米国香港インドマレーシアインドネシアシンガポールその他合計編数
映画館用16611------336
テレビ用69331823-----20163
ビデオ用1265413741869942594

映画の場合ですが、映画館で宣伝ポスターを飾ってその上映を予告しているのに、上映禁止で立ち消えになることが時々あります。さらに近日上映として予告編の上映までしながら、本上映が禁止になってしまったハリウッド映画を、筆者はいくつか覚えています。禁止になったとは発表されませんが、いつまでたってもそれが公開されないからです。ただこういった公開禁止映画も、夜店の屋台やショッピングセンターにある違法VCDショップで堂々と売られているのが面白いところです。

ところでビデオ用の分野で、シンガポール製が99編も禁止されたとあるのはどうしてでしょうか?筆者はその内容を知りません。

同じ頃、たまたま載っていたソフトウエアー分野での違法コピー率に関するものです。
ソフトウエアー分野における違法コピー版の使用率が昨年は落ちました。ビジネスソフトウエアー連合による最新の調査と推測では、ビジネスソフトウエアーの違法コピー使用率は2000年が66%です。これは99年の71%から落ちています。

インターネットプロバイダーと携帯電話会社への評価

調査会社AC Nielsenの行なった聴取者調べの結果です。今年5月初めの週間に、クランタン州とトレンガヌ州を除く半島部で行なったサンプリング調査、2500人対象、でわかったことは、調査期間中に最低15分はラジオを聞いた人は959万人にあたるそうです。2000年の調査時に比してわずかに落ちています。1週間で15分だけでラジオ聴取者とはとても言えないでしょうが、167万人と推定される(常時)ラジオ聴取者の平均像は1日4時間ほどの聴取時間です。聴取者数を対象の民間ラジオ局別でみると、ERA局が一番で450万人、MY FM局が190万人、Redi988局が140万人でした

国内の通信情報分野で目付け的な存在・機関であるコミュニケーションとマルチメディア委員会が行なった、携帯電話、インターネットなどに関する利用者満足度調査の結果が6月に発表されました。この調査は2月から4月にかけて行なわれたそうです。

マレーシア国内でインタ−ネットのサービスプロバイダーは、実質的にはTMnetと Jaringの2つですね、他の3つほどの無料プロバイダーは全体の5%にも満たないそうです、やはり地域がごく限られているし、最近は宣伝もぐっと目立たなくなりましたからね。市場の小さなマレーシアで無料プロバイダーが消費者を十分満足させながら存続できる条件は、結構厳しいものだと思います。

で2大プロバイダーのうちのダントツの雄 TMnetは相変わらずユーザーからの満足度が低く、この調査で行なった各調査項目中の最低獲得ポイントである6.6点でした。尚この調査では、調査被対象者が各項目に10点から1点までのポイントを付けることになっています。Jaringは7.4点で、予想されたように TMnetよりずっといい成績です。TMnetへの不満はログイン時の混雑緩和、ライン接続の安定、利用者サービスの向上の3点です、筆者も数年来のユーザーですから、まこと同感です。

携帯電話の利用者満足度では、予想されたほど不満度が高いものでなかったそうです。4大携帯電話会社への満足度は7.1ポイントで、有線電話の7.4ポイントより多少落ちる程度でした。他の小さな携帯電話会社は数が利用者少なくて調査の対象に不充分だったとのこと。
携帯電話のブランド名maxisTM TouchDiGiCelcom
利用者の満足度7.397.136.966.75


最後に、ついでに行なわれたテレビ局別に視聴者数を調べたものを紹介しておきます。世帯で大人の視聴者が見る率をテレビ局別に見ると、TV3 が一番高く83%、次いでntv7が42%と両民放が、それぞれ30数%である公営放送局のTV1と TV2 を上回っています。当然と言えば当然の結果でしょうね。



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